2024年08月24日

ビュッケブルグ歳時記 327

ドイツ国と国教キリスト教について


 アメリカはもとよりヨーロッパのほとんど全部の国はキリスト教だと思われます。ドイツもそのとおりで、旧(カトリック)・新(プロテスタント)教に分かれていますがキリスト教が国教です。

 国と教会は ”別個のものである” とされているにもかかわらず、ドイツでは国が教会に年ごとに500Millionen ユーロを支払っているのです。
 
 今回はこの、世界中でまたとないと思われる教会税という組織と、その現象と由来、結果をお伝えしてみます。


* 現在の教会の主な収入源は ”教会税” です。この国では教会に席を置く市民は収入税の8ー9%を教会税として支払うことが義務なのです。
 注意していただきたいのは収入税の8ー9%(この額はもちろん収入の多い人は多額で少ない人は少額)であって、収入税ではないのです。国民で教会に席をおく勤め人は、毎月、給料の中から引かれる収入税の中から8ー9%の教会税を払わせられているのです。

* わたしの耳に入る「教会に席を置くということは教会税を払うということ」という国は世界中でドイツだけであろうという噂は多分本当のことだと思います。

* 何故、このような規律になったかは200年前の歴史に戻り、ローマ帝国が主として南ドイツ地方を牛耳った時に、土地を奪われた君主達が教会の裕福さに気がつき、そのような土地の教会の所有権を奪い、教会財産の国有化を図ったことから、教会が補償を要求したということがきっかけということです。

* 国と教会の結び合いにはどのような方法があるのか?
 この問いに対して「教会に属しているかいないかは問わず、教会税を払うという意見には反対」という意見が多いということです。

* この制度を止めることは、もう長い間試されているのだが、止めることは今までできなかった、というのが実情のようです。
 現在のアンぺル連合党も中止案を出しているそうですが「かかる費用が多すぎる」ということで、実行までには行きつかないということです。

* 原因がこの教会税のためと決めつけることは出来ないと思いますが、2023年にはカトリックでは359000人が、プロテスタントでは280000人が教会から席を抜いたということです。
 このことは、たとえば独身者の場合は未来にあるかもしれない結婚式を教会で行うことは不可能で、葬儀の道も断たれたということを思うと国家と教会の在り方に疑問が湧きます。


 そしてこの教会税を支払わなくてはならない義務が、教会脱出の原因となり、世の中が不景気になっている今、教会脱出者の数が多くなっているのが現状なのです。

aokijuku at 00:30│コメント(0)

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