2024年01月13日

ビュッケブルグ歳時記 312

新しい年になったドイツの近況


 大晦日0時きっかりに盛大に打ち上げられる爆音の大きい花火に、今年の幸運を託して新年が迎えられたドイツですが、それが止んで静寂が戻った元日は休日なので、日本で言われる寝正月というのが、この国の仕事を持つ人々の元旦風景と思えます。

 2日からはまた普通の勤務日に戻るわけですが、今年は暮れに政府から出された政策に不満を持つとの農業組合の 抗議で、「農夫抗議デモ」が盛大に行われると報道されていたのですが、その通りベルリン付近の道路はトラクターの行列で、一般交通が阻止されている報道がありました。そして1週間後の今はトラクター抗議デモは全国に広がり、アウトバーン(高速道路)やその他の行道が見渡す限りのトラクターによって通行止めになっているのです。


 ここで新聞に載っているこの国の農夫の生活状況をお伝えしてみます。

* この国の農夫は平均して1年、115000ユーロの収入があり、この額は決して少なくではなく、この10年間農夫の生活水準は満足できる額であるはずなのに、世界的にみた場合や自然保護法などを考慮すると不満が出てきて、デモの動機となっている。

* また、これだけではなく、農機具としての車にかかる税金も免除されている。同時に農業ジーゼル車にかかる税金免除も2026年まで伸ばされた、という外から見ると大きく優遇されているように見えるのであるが、”農業がなければ、スーパー・マルクトも、レストランも無くなる”ということを盾にとって、農業デモが行われる。国が出す補助金の4%は農業に行き、その上にEUからの援助も大きいのである。

* 農場閉鎖は昔は1年に100000件があったのだが、現在は32000と少なくなっている。

* そしてウクライナ戦争による穀物の値段上がりで、2023年の農場の経済は今までより45%も向上したのだ。

* 最初の揚げた115000ユーロという収入額は一つの農場の受ける額であって、その農場で働き、生きる家族数によって額面が違ってくるわけで、1週間40時間の労働で、49000ユーロの報酬、というのが平均値であろう。


 このように高速道路はもちろん、小さな町の道路さえも緑のトラクターで塞がれ、交通が阻止されたというのがこの国のお正月だったのです。
 連邦農業大臣 Cam Oezdemir (みどりの党)は、「今までのところ、農業者デモは絶対的に ”平和” で ”合法” であった」とコメントしています。


 今回のトラクター・デモには色々なことが含まれているように思われます。鉄道のデモがまだ未解決で、多くの市民が迷惑を我慢している時に農夫デモも受け入れるという(国)民の政治に対する意識は尊いことのように思われます。
 そして連合農業大臣の名前をアルファベートで書いたのは、ドイツ人ではないことを示すためです。この国では政治家も国際的なのです。

aokijuku at 00:30│コメント(0)

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