2023年08月26日

ビュッケブルグ歳時記 303

ドイツの学校休みについて


 温暖化のためか高温度に晒された今年の8月を、苦もなく過ごしている生徒の夏休みを見ると、「休み」ということの意味が日本と違うように感じられるので、今回はこの国の学校休暇についてをお伝えしてみます。

 ”学校休暇” とはラテン語の ”feriae” = 祝祭日からきた言葉で、元気回復とか休養を意味し、これは勉強に励んだ生徒達への言わばご褒美を意味する言葉なのです。
 教師側へに見方は、休暇ではなく”授業無しの時期” を意味し、さらに勉強をする期日、関係する会議に参加すべき機会、次の学期のための準備 をするための時期という休暇とは言えない日々を指しているのです。


 歴史的に見るとドイツが工業国になる前は、多くの国民が農業に携わっていたので両親の畑仕事を手伝うために作られたのが学校休暇の始まりだということです。例えば5月ー6月には乾し草作り、次は穀物収穫、その後じゃがいも収穫と、子供を含めた全家族が農仕事をしていたわけです。
 これはドイツだけでなく、オーストリアとスイスも同じだったので、学校休暇は今もこの3国が協力して決めているということです。


 また北ヨーロッパの人たちがイタリア、フランス、ギリシャなどの南ヨーロッパに休暇のために車移動をする時の高速道路の混雑を避けるために、夏の休暇はドイツでは州ごとに日付をずらしています。
 これはその年の休暇前の5−6年前に各州が話し合って決められるということです。

 この国の学校休暇は1964年以来、1年に75日=15週間と決められています。そのうちの6週間が夏休みというわけです。
 そしてここでも教師側には上記のように6週間という長い休暇が与えられているわけではないというただし書きがついています。 これは教師以外の勤め人が「教師業は休みが多くて羨ましい」とやっかむ世情に対する弁解説明のようにも聞こえますが。

 具体的な休暇は次のようになっています。

* 秋休み。この国は新学期が秋に始まるのです。じゃがいも収穫休暇。

* クリスマス休暇。12月24日付近から新年1月6日まで。

* スキー旅行などの冬スポーツ休暇。この休暇がない学校では謝肉祭休暇など。

* イースター休暇。この春の休暇は長くて3週間。

* Pfingst ( ペンテコステ)休暇。この休みは短く、州によっては無いこともあり。

* 夏休み。6月半ばから9月の半ばまでの6−7週間。

* 「動く休暇」として、学校が決める短い休暇日。

 お気づきかと思いますが、国教のキリスト教の祭日に添った学校休暇でもあるのです。


 重要なことが最後になりましたが、「宿題は無し」です。古代ローマの feriae の真意に沿っているわけです。
 勉学から離れてリラックスし、休養するのが学校休暇なのです!

aokijuku at 00:30│コメント(0)

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