2023年04月22日

ビュッケブルグ歳時記 295

自由で、正直なこの国の政治のあり方


 ドイツでは4年ごとに連邦議会選挙が行われます。今の議会は2021年に行われた選挙でアンペル連立党が政権を得て、政治を施行中ということは周知のことです。

 首都のベルリンは、市だけで他の州のような働きを持っている制度なのですが(このような制度はベルリンの他にハンブルグ、ブレーメン市が同じ)、2021年の選挙の折に、選挙準備に支障があり、選挙場の不備のため選挙権を持つ市民の中のある人たちは選挙が出来なかったという支障が起こったのです。そこで1年半後の今年の3月に選挙をやり直したのです。
 その結果、これまでベルリンを統治していたSPD党がわずかの差でCDU党に負けてしまったのです。


 この結果は、2021年の選挙後の1年半を”赤い市庁舎”として有名な建物の中で、良い政治家として市民からも愛されていた女性市長 Franziska Giffey(以後、F. Gi 氏とする)氏に、二つの政治街道のどちらかを選ばなければならないという基点に立つという試練の場となったのです。

 その基点とは F. Gi 氏が、

1)2021年から今までの1年半をみどりの党と左の党との連立党としての”赤い市庁舎の主、女性市長”という大きな支配権を持ち続けることを選ぶか、

2)女性市長の権利を放棄して、CDUとの連立政治を選ぶか、という歴史的とも言える決断を迫られたわけです。

 2)を選んだ場合には今までの市長としての権力を失うだけではなく、”赤い市庁舎の市長室”も立ち退き、事務室勤務となり、退職手当も支給されないという経済的にも大きな犠牲を伴うという選択だということが新聞紙上に掲載されています。

 このような状態を経て4月の上旬に、F. Gi. 氏の選択、2)が発表されたのです。


 以下は新聞に載った彼女とのインタビューの一部です。

ジャーナリスト(以下 J.): あなたが政治家になる道を選んだ理由は?
 
F. Gi. : ベルリンのNeukoelln 区を変えようと思ったからです。この区に住んでいる恵まれない青少年達と、女性の境遇を見たとき、その貧困の大きさと前途の見えない未来を救いたいと思い、24年前からSPD が適しているという確信から政治界に入ったのです。
 この区では、郊外に住む住人と、中心部に住む住人との間には倫理的な差が大きいと言われることが多いのですが、このよう差は無いことを証明しようと思ったことも、政治に向かった私の目的です。

J. : 今回の結論、CDU の下で働くという決心はメルケル前首相に相談しましか。
 
F. Gi. : 相談はしませんでしたが結果は電話で 報告しました。

J. : 彼女の反応は?

F. Gi. : 脱帽! と言われました。


 選挙をやり直す、ということも初めて聞くことでしたし、その結果もある意味で新鮮な、未来が明るくなるような政治が市民の近くにあるような話なので、お伝えします。

aokijuku at 00:30│コメント(0)

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