2023年04月08日

ビュッケブルグ歳時記 294

ドイツが麻痺状態となった3月27日(月曜日)


 麻痺状態となったのは全国の交通機関(汽車、電車バス、など)が、月曜の0時から24時まで警告ストライキ(以下、スト)に入ったことが原因なのです。

 翌日の新聞紙上で、地方鉄道の小さな駅で汽車を待つのは冬の名残りの雪だけという寂しい写真を見た時にはこの国のストの強硬さに驚きました。

 日本で、全国を通じて汽車が走らないという日があるとは思えないので、”そのことがある” この国の ”社会” をお伝えしてみます。


 先ず、ストについて。

 労働者が昇給や勤務時間の短縮を望んだ場合、雇い側の会社と協議するのはその会社の労働組合ということは、西側のどこの工業国でも同じことだと思います。

 この国では
 IG Metall (IGM) = 自動車製造会社のようなメタルに関係した会社連 と
 Ver. Di = バスの車掌、病院の事務関係労働者、幼稚園の指導者などが大きな組合として挙げられます。
 公務員、ある種の教師などの職には組合はないということです。

 労働組合ができたのは160年前という長い歴史があるということです。
 初めの頃は会社側からの圧力が強かったということですが、労働者の組合入りが多くなると共に、組合の力が大きくなり、今回のように全国を通じての交通機関のストにまでなったわけです。

 経営者だけが権力を持つ時代の会社が、労働者も権力を持つ時代となり、労働者の持つ一番大きな圧力がストライキというわけで、今回の全国にわたる交通機関のストとなったわけです。
 今回の24時間ストは実に31年振りということです。


 今回のストでは 2.5Millionen の IG Metall の労働者側からは10.5% の昇給と一度の500ユーロの現金支払いが要求された事項だということです。

 経営者側からは、これから来る27ヶ月には5%の昇給、2500ユーロを一回インフレ対策費として支払う、との案が出されているそうです。

 又は、少し前に行われたポスト(郵便局)Ver. Di のストの解決策、従業員全員が1回のみ1020ユーロを受け取り、インフレ対策として2023年の5月から2024年の3月まで180ユーロを支給されるという方法も解決法として示されていることも発表されています。

 そして、今回のような民間人に迷惑をかけるストが行われたことを遺憾とするとの言葉もあったようですが、会社側からは組合に罰を与えることや労働者の退職扱いなどは出来ないということです。


 最後に全国を麻痺状態に導いた今回のストを、国民の55%は ”良” として受け取り、38%が ”否” として受け取ったという結果もお知らせしておきます。

 このような国民一人一人が自分の権利を主張することが出来る国は自由のある国、民主主義の国と言って良いと思うのですが・・・

aokijuku at 00:30│コメント(0)

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