2023年03月25日

ビュッケブルグ歳時記 293

ドイツ連邦共和国大統領の転換

 
 この表題からはなんとなく異様な感じを受けられる読者の方が多いかと思われますので、まず、「大統領」について簡単に説明をします。


 大統領とはドイツ連邦共和国の国家元首で、ドイツに住み、連邦議会の選挙権を持つ40歳以上の人で、5年に一度、連邦会議で選挙される人物のことです。

 首都ベルリンにある Bellevue城 が住処。

 大統領は2度のみ、再選されることが可能。


 大統領の役目とは、内外の国家元首の受け入れ及び訪問。諸大臣任命、連邦裁判官任命、新法律認知署名、囚人の恩赦を決め、発表する。

 大統領は政治に中立です。議員である場合は、大統領である期間、議員職は休職とする。
 政治家だけではなく俳優、スポーツ人、芸術家などからも選ばれた人たちの中から二人を選び出し最後は連邦会議で演説をし、その結果で選出される。

 このように大統領とはある意味ではこの国のすべての上に立つ人で、(良い例ではないかもしれませんが)日本の天皇に相当する人物と言って良いかと思われる職種です。


 現在の大統領は 2017年に選出され、2022年に再選されたFrank ー Walter Steinmeier(以下 St.大統領とする)です。議員時代はSPD党員。

 彼は、首相が SPDのシュレーダー氏の時代に、外務大臣として活躍していた人で、彼の時代にはロシアも、西側と友好関係にあった時代のようで、ヨーロッパを「ロシアも入れた家」として建て直そうという外交関係を志し、仕事をしていた人だということです。

 それが今のような、ロシアがプーチンを指揮する国となって、ウクライナを取り戻す戦争を始める時代となり、St大統領の「ロシアを入れたヨーロッパの家」の建築の夢は消えてしまったわけです。

 そこから去年の4月に大統領 St 大統領は「私が Nord Stram 2 に希望を繋いでいたことは間違いであった。また「ロシアを入れたヨーロッパ家」を建てようと夢見たことも間違えであった。
 プーチンは、ロシアの経済、政治、道徳倫理上の没落を自分の失敗とは認めるような指導者ではないことも見逃していた。その結果がウクライナ戦争という形になったことを認識できなかった」
と、自分の無力さを明らかにし、武器を用いない外交を夢見た自分の間違えを公にしたのです。


 一つの国の指導者の重要さを知る一例のような気がしたので、書きました。

aokijuku at 00:30│コメント(0)

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