2022年11月12日

ビュッケブルグ歳時記 284

「望ましいことではないが、是認できる事柄」

 ウクライナ戦争の行方もわからない、温暖化対策も足踏み、物価高、エネルギー欠乏等々に加えて、もう一つこの国の議会で議論がされていた中国の船舶会社 COSCO のハンブルグ港使用権について今回はお伝えしたいと思います。
 (世界中の大きな港の使用についての権利や使用料などの法則について聞いたことも考えたこともなかったので普通の家庭主婦のわたしにも勉強になったことを、前提としてお伝えしておきます)

 「中国の国家船舶会社のCOSCOは、ハンブルグ港のコンテナ・ターミナルの使用権利35%を、HHLA(ハンブルグ港論理局)に申請していたが、今回の議会でドイツ政府は24、9%の権利を与えることに決定した。25%を超えると業務執行者となり、業績とか人事に拒否権を持つことになるのを避けるための決定である。24、9%ではこのような権限はなく、入港の時に申請をしなくてよいという効果だけである。

 11月の初めに首相は中国訪問をしたが、その時の首相の言葉は「”ハンブルグ港を売ったわけではない!”」
  
 この決定について野党やその他から、下記のようなさまざまな意見が発表されています。
 
 野党の党首は「この機会に中国との関係を改めて考えることが必要で、自分としてはただの経済的な関係ではなく政治的戦略的な面から考える必要があると思う。
今回のような権利を与えることは、我が国の安全保障を脅かすことになるのではないかと懸念する」と言う意見を発表しています。

 またもう一人の議員も、「このような取り決めは我が国の経済的独立と主権を脅かすことである」として、新しい対中国政治が必要であると言う意見です。「この投資を単なる経済的問題と考えることは、今まで我々が経験してきたロシアの政治から何も学ばなかっっということの証明でもあるのはないか。新しい対中国政策は、新しい外国貿易法を作成し、これのヨ EU での同意を得て、新しい交通網での戦術を行うことが必要である」との意見を発表しています。

 「COSCO社は40年以来、ヨーロッパの8つのコンテナ・ターミナルに使用権利を持ち、世界の四大コンテナにも寄港している。
 
 先日、国家及び党首として選出された 中国の党首 XI は, ローロッパの諸国を”取引き相手”としての政策に力を入れている。
 中国は、ドイツの輸入も輸出も重要なパートナーであり、三台めの車の輸出先は中国である。この関係が崩れるということは我が国の自動車経済が(も)揺れると言うことを意味する。
 その他の部門、例えば特殊な原料を中国から買い入れるなども同様に我が国にとっても中国は取引相手としも重要な国でもあるのだ。

 ここからも中国を”締め出す”ということは、出来ないことであるし、大きな目で見ても Deglobalisierung (国家という単位を囲えて世界を一つにまとめようとする考え方の否定形)は出来ないし、してはならないことである。
 そこから出る結論が表題の「望ましいことではないが、是認できる事柄」というわけです。

 学ばせられることも大きいと思います。与党と野党と話し合って結論を出す政治は民主政治だと思います。


aokijuku at 00:30│コメント(0)

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