2021年12月25日

ビュッケブルグ歳時記 263

オミクロンという巨大な波浪 !

 クリスマスも間近になって聖日を家族と共に祝おうとする雰囲気が満ちているにもかかわらず、パンデミーがその勢力を拡大して、この国を牛耳るかのような気配がある今日この頃のドイツです。
 南アフリカで発生したコロナヴィールスの異形オミクロンのことは日本にも報道されていると思いますが、この異形が爆発的に広がり、パンデミー第5波となって感染の速度と数で挑戦して来るとの報道に、国民だけでなく、新しい政府もその対策に苦労していることが報道されています。

 オミクロンは短い時間に多数の人に ー 接種者や全快者にも ー 感染することが特徴で、その結果が爆発的な感染者数となることは明白であり、この現象はこれまでの感覚とは違う次元として対策を計らなければならない。加えて、この国では国民成人者の接種者数が今一つという状態なので ー 上記の通り、接種者にも感染する ー オミクロン感染者の数が急増することは想像に難くない。 

 これらの状況に対する対策は、とりあえず「コンタクトを制限拘束すること」であるとして、12月28日以降は、私的会合は接種者及び全快者10名までを許可。接種をしていない人が混じる場合は、2名までと制限が非常に狭くなっています。
 そして来年の1月からはクラブやデイスコの開店は禁止。またサッカーの連邦競技は観客なしとする、などの人間同士の接触機会が狭められる対策が発表されています。

 ここで、起こるのは「オミクロン患者が出ているのなら、なぜ、このコンタクト制限を今、即刻始めないのか」という疑問だと思います。ロックダウンをしてしまえば損害が少なくなるのにと思うのです。
 ドイツはデルタ・ムタシオン までの対策を接種奨励でやり続けてきたのですが、この国の人にとって人権侵害は非常に重大なことなのだと驚くことが多いのです。
 例えば、接種奨励に反対者が多いのは、国家には全国民に接種執行を強制する権利は無いとして接種をしないのです。 

 少し話が飛びますが、12月半ばに、ザクセン、ブランデンブルグなどの旧東ドイツの州で、接種反対デモが行われ、政治家を脅したり、警察との撹乱が多くあったという事件があったのです。
 東ドイツにはコロナ感染者数の多い州が西に比べて非常に多いのです。そこから人間間のコンタクト制限や、その他の自由侵害規定も形が大きくなるわけです。それを個人の自由が侵害されるとして、接種反対者が多くなるという結果になっているのかもしれません。
 このような事件を聞くと、ドイツ統合はまだ完全に全うされていないのかと思ったりしたのですが、バイエルン州や隣のバーデン・ウエルテンブルグ州のような豊かな西の州でも接種反対者が多いということは、やはりデモクラシーの持つ人権尊重主義を重視する国だということに行きつきます。
 この事件を西側は「旧東ドイツの民主主義の文明社会に対する目覚め」として解釈し、話すことで理解を深めることが、長い期間、民主主義国家として過ごしてきた西側の義務であるという一政治学者の言葉で締めくくっています。                                                                                                                                  このような国がドイツ国なのです。


 この、残念ながらクリスマスらしくないブログで今年も終わります。
 この一年、わたしの文を読んで応援してくださった方々に心からの御礼を申し上げます。

ありがとうございました !


aokijuku at 17:48│コメント(0)

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