2021年10月09日

ビュッケブルグ歳時記 258

新しい容貌を持つドイツの政治

 9月26日に行われた連邦議会選挙の結果と、それに続く連立党設立への 経由模様は日本にも報道されていると思います。
 予想に反してSPD(社会民主党)が CDU+CSU (キリスト教民主同盟党)を圧して勝ったのですが、普通だとこれで選挙の結末はついたと思うのですが、この勝ち数では第1党として政権を持てないのが、この国の選挙法だということです。この選挙法は難しいので、わたしの知識では皆様に良く説明できないかもしれませんが大雑把をお伝えしてみます。

 選挙法には英、米、仏が用いているMehrheitswahl (多数決選挙法) と Verhaeltniswahl (比例代表制選挙法)という二つの選挙法がある中、ドイツの選挙法は原則として後者の比例代表制選挙であるため、今回の選挙結果のようにSPD も CDU+CSU も獲得票数が50% に満たない場合とか、今回のように両党の獲得票数の差が大きくない場合などは、連立党を持たないと第一党として国を代表する党として政治をすることができないということです。そのため連立党と話し合う時間が必要で、この2週間がそのための議論に費やされていたのです。

 今朝7日の新聞には、選挙獲得票数から連立党になるみどりの党とFDP(自由民主党)が2週間の話し合いの結果、SPD を支持することに決定とあり、これでブログ257に書いた Ampel (交通信号) 連立党( SPD 赤 + FDP 黄 + Gruen 緑)が2021年からのこの国の施行政治党と決まったのです。 

 次に今回多数を獲得したSPDについての一新聞の表題「新しい容貌を示すこれからの政治」ーー2021年のドイツの連邦議会はこれまでにない735議員を擁し(これは上記の選挙法により議員数が変化するため)、同時に1.若い党員、2.女性議員多数、3.多様性に富むーーが副題の記事をお知らせしたいと思います。   

1. 若い党員が圧倒的に多いのはSPD で, みどりの党がそれに続き、CDUが次でFDP がそれに続きます。
 ここで Jusos と名付けられた「ドイツ社会党の若手急進派」をご紹介しなければなりません。この機関の長、32歳のジェシカ・R さんは、「今回、Jusos が49の連邦議会席を獲得したことでSPD はAmpel 連立党となり、Scholz 氏が首相となる結果となったのです。そこから首相と、SPD のほぼ4分の1を占めるJusos との権力要因がこれからの議会で多く展開されると思われる」と言っています。
2. 議員に女性が多いとは、735の議席の内、480が男子、255が女子で、35%の女性議員という結果を意味しています。
3. 多様性の意味は選出された議員の出身、人種、動機、その他がまちまちであるという意味です。
 記事に付随された15枚の写真には黒人あり、髭の濃いいアラブ系の男子あり、黒髪のアジア系の女性ありと、一眼で多様さがわかります。
 カメラの側で、議会初めての黒人の女性議員に行き合うと、彼女は「今まで想像できなかった扉が、黒人の女性にも開らかれたのです!」と、喜びいっぱいのゼスチュアで通り過ぎ、次に出会った31歳の R.A さんは初の避難民 の生い立ち記を持つ東ドイツ出身の議員です。また東アフリカのエリトレア生まれの47歳になる T. さんは弁護士として2009年からヘッセン州でみどりの党の党員として統合と同等化に力を入れてきたという経歴の持ち主ということです。
 このような議員たち一同が、総会に議事堂の青い椅子に座った時の様子はSurreal (超現実的)の絵のようであるということです。

 このようなことが、わたしが読んだ今回の選挙の有様です。
 結果はこれからの政治の仕方で決まるわけですが、Ampel 連立党の若い、多様な政治力はパンデミー退治にも地球温暖化対策にも今までと違った政策に力を入れて、この国の未来に希望が持てるように思われます。


aokijuku at 12:58│コメント(0)

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