2021年07月24日

ビュッケブルグ歳時記 253

Hochwasserkatastrophe(洪水禍)

 先週、西ドイツの2地方を襲った ー 被害地を視察したメルケル首相が「我々の国語、ドイツ語では言い表せないような悲惨な超現実的な被害現場」と形容した ー 天災は日本にも報道されたと思います。

 秋の連邦選挙を控えて、Friday for Future が大きな課題となっているところへの水災で、原因から損害補償保険にいたるまで色々と取り沙汰されているこの頃なのですが、多くの国民は地球の温度が高くなっていることは身をもって経験していても、雨の降り方が違ってきているなどの専門的なことは知らないというのが現実の状況だと思えます。
 今回の想像を超える水害をきっかけに、天気予報を伝える形も、それを聞く市民の注意力もより綿密となることを願って、この国の新聞などに載っている事項を参考までにお知らせしてみます。日本の存在する国土は特殊で、天災に対する対策は日本の方がずっと発展しているとは思うのですが・・・。

 第一に、170名を越す死亡犠牲者を出した今回の天災に、一番先に出されたのは、災害の起こる前に適切な予報ができなかったのかという天気予報者への不満訴えでした。
 この訴えには、「地球温暖は例えば30年前に既に、ゆっくり降り続く雨より、一度にひどく降る洪水型の雨降りが多くなるとの予想があり、公表されていた。これは次のような物理的原因から出た答えである。気温が一度高くなるということは即ち空気がこれまでの受け入れより7%多い水蒸気を受け入れるということで、これは雨につながるということである。この状況が高所水流となって地方での洪水豪雨となったのである」との、科学者の答えが読めました。
 温暖化が集中豪雨を多くするなどの専門意見は、洪水の経験のある地域に住む人は別として、普通の市民は聞き逃している人が多かったと思われます。

 そして次には将来に備えての集落や町づくりについて、それに関わる水の処置についての改正案が目に入りました。スポンジにように集まる水を貯めて、例えば公園や駐車場を多く作ることで自然の街にする。これは夏の高温を凌ぎやすくする効果もある。そしてこの装置は水害が起こった場合には水の吐口となり、これが谷の堰堤につながり排水を容易にし、洪水から人家を守る。
 しかし河のほとりに、人が住む町ができるのは昔からの習慣で、そのため、雨が多く降った時の排水の機構を人間の住む集落が狭めていることも、水害を大きくする原因でもあるとして、町づくりの基礎、例えば小川のまわりの居住を制限または禁止し、排水可能を保つようにとの注意を促しています。
 そしてこれは、温暖化により気温が高くなる地球上での気温低下のための建築材の考慮、例えば金属やガラスの代わりに木材や日乾煉瓦を使用するようにとの注意意見に繋げられています。

 このように今回の水害は「地球の住人である人間が作ってしまった温暖化」がもたらした想像外の天災として国全体がショックを受け、対策に多くの人々が貢献していることも小さくても希望を持てることのようにも思われます。
 S. 大統領、M. 首相、次期首相候補者の州知事などの政治家だけではなく、軍隊、消防関係の従業員など、多くの人々が後片付けの手伝いや、その他の手伝いをしていることが中継されています。続いて示されるのが援助募金の番号です。そして事実上の、連邦と州からの最大の援助金400Million ユーロの即刻支払い約束がメルケル首相から出されました。総理の場を退いた8月に、再度の彼女の慰問訪問の約束とともに。


aokijuku at 00:30│コメント(0)

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