2020年10月24日

ビュッケブルグ歳時記 235

パンデミーのもたらす変化 = 変化する労働環境

 日本の事情はよく知らないのですが、この地ではパンデミーの蔓延とともに盛んに耳に入ってくるのが Homeoffice という言葉です。
 これは多分 ー Digitarisierung(デジタル化する)という言葉と共に使うことでこのブログの意図する意味を持つのだと思いますが ー「自宅事務所」(以後Homeoff とする)で働く会社員が多くなり、企業家は会社を小さくして、会社員は事情の許す限り自然のある近郊に引っ越すということになり、勤労環境に自由が大きくなるという構成の変化を意味する言葉といって良いと思います。

 3−4年前からドイツの大都市では居住建物が居住希望者数に追いつかず、家賃の値上がりが膨大となり、XX法が新しくされたという事情もあり、市中の土地、住宅問題は深刻になっていることもお知らせしておきます。
 2019年の大都市の市中事務所の 使用料金は、1平方メートルあたり18−25Euro だとされています。 したがって一人の事務員を雇うと、その他の諸費を計算に入れると年間に6500−9000Euro、ベルリン、フランクフルトなどでは15000Euro が掛かるそうです。会社員が Homeoff で働くことになるとこの金額が節約できるわけです。この節約がコロナ騒動の残す経済不安定への一つの解決策と考えられているのかも知れません。

 そこからTelefonica とか Siemens などの大会社ではすでに、会社員は週に2−3日 Homeoff で務めを果たすという社則にすると決めたということです。また名の通った Hugo Boss 社でも 90%の従業員がここでも週に2−3日はビュロー以外のところで働くことを望み、そうすることでストレスが少なくなり、家族のための時間も増えるという賛成意見が多いということです。
 この様に事務所と移動性のあるHomeoff での勤労を両立させることは、スタッフが満足することを意味し、会社の営業に好成績をもたらすとしているわけです。

 しかしこの様に社員が仕事場を自由に選べるということは、その後の都市に大きな影響を与えるだけではなく、仕事場に大きな自由が入ってくることになり、社員一人ひとりの人生計画の変革にも大きな影響を与えることでもあるので、企業界全体が文化変遷をすることにも繋がるとして、今のところ簡単に結論付けることは避けているようにも思えます。

 今まで都会住まいをしていた勤労者の60%は、深刻な温暖化を憂うことや、通勤の混雑を嫌ったりすることから、緑の多い郊外に住むことを望んでいて、事務所通いが少なくなれば少し遠いところからの通勤でも我慢できるとの意見が多く、これは同時に都市周辺の郊外の発展のためにも良しとしているのも事実です。
 日本の厚生省とでもいうようなドイツの年金を扱う省は、数年前から書類に紙を使うことを止めて、事務全体をデジタル化しているそうですが、そこでも
Homeoff が、特にコロナ騒動以後は率先して行われているそうです。最後に、そこでの経験談をお知らせしてみます。

 第一にはやはり高年齢になる程、デジタル化には抵抗を持つ人が多いという統計が出ているそうです。50歳見当の大部分のスタッフは、 Homeoff の成果や、機械を通しての会議には 懐疑感を持つ人が多かったということですが、結果はその反対で、成果は良かったという結果が出たそうです。特に会議は、今までの一室に集まる形式には ”無駄話” が混じることがしばしばだったが、デジタル会議では主題に徹底して好成果が出たということです。
 もう一人は仕事とプライベート生活を混同することには反対ということで、仕事場でのデジタル化には賛成、Homeoff には不賛成という意見でした。

 コロナ騒動直後に思った社会層変化のことを思い出します。今、第二波に襲われているこの国が、1日も早く、H omeoff を含めた良い社会変化を成し遂げるように願いながらのブログです。


aokijuku at 12:22│コメント(0)

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