2020年07月25日

ビュッケブルグ歳時記 231

興味ある数々の示唆

 コロナは依然として蔓延っています。アメリカとブラジルを先頭に世界中に猛威を奮っているヴィルスですが、ドイツはあれこれとあったにもかかわらず、ちょうどコロナの期、2018年から連邦健康大臣の役についていたCDU(キリスト教民主同盟で、SPD( 社会民主党)との大連党で現在の与党)に属するJens Spahn (イエンス スパーン 以後 SP と略す)大臣の処置に大方の市民が満足しているとの声が大きいドイツの現在の様子をお伝えしたいと思います。

 コロナ以来、健康大臣(日本ではこの名目を聞いたことがないように思われるのですが)SP氏とは国民全部がメデイアを通じて知り合いになったと思われるとき、ある新聞記事に40歳とあり、ずいぶん若いのに良い活躍をしているのだなあと感じて、彼の経歴を見てみました。

 Abitur( 高校卒業及び大学入学資格試験)の後、大学には行かず、仕事と勉強を同時に行う, ドイツ特有のDuales Berufs Ausbildung システム で、銀行業を学び、傍ら、政治学を学んだとあります。そして1997年にCDU に入党、2014年に議長の席につき、2018年に健康大臣に任命されたというのが彼の大雑把な政治関係の履歴です。
 ここで注目するのは大学学習だけが学習方法ではなく、仕事と勉学を同時に行う二進法が同じ価値を認められているこの国の社会を認識するのも示唆ではないでしょうか。

 SP氏のおおよそのコロナ対策は次のようなものだということです。
 *2020年3月半ばに大きな模様し物の開催を禁止。*次いで幼稚園、学校、を閉鎖。*口と鼻からの感染予防のためにマスク着用を義務とする。*Handy Ortung適用。

 そして第2の示唆は「2017年12月22日に、配偶者夫のD. F. 氏と結婚届けをしている」との経歴を読んだときには、この国は民主主義の国だとの意識を強めたことです。ちなみに同性カップルが認められたのは2001年で、結婚が正規になったのは2017年の10月からです。 

 ここで思い出すのは2001年にベルリンの市長であり州長(ベルリンは市が州の役割をする)となった Wowereit 氏が当選発表の席で、「わたしはゲイです。そしてそれで良いのです!」と公表した最初の政治家であったのです。
 彼の outing の後、5年後には国民の79%がホモ大臣を認めるという世論になっているとのことで、 SP 大臣の同性との結婚もこの国ではどうということもなく受け取られているのです。

 こんなときに、少し古いのですが、2017年5月の日本の新聞が目に止まりました。「性的少数者の授業」という見出しで、男性の体で生まれ、女性として生きる学生を日本女子大が受け入れるかどうかの討論記事なのですが、「女子大入学拒否は違憲?」との見出しを見たときは驚きました。日本では人が自分として生きる
権利は持てないのか、と思ったからです。性がどうあっても、その人の教育を受ける権利は国民の持つ根本権利ではないのでしょうか。
 トランスジェンダーは認めても、教育の自由は認めないというのはどこかに間違いあるように思われます。性的少数者への教育自由は当たり前のことではないのでしょうか。1日も早くこれが認められる日本であるように願います。これが次の示唆です。

 最後の示唆としてあげたいのは、「パンデミーがわたしちに教えてくれたことは、一つの国は Sozialstaat( 社会主義的国家)でなければならない。例えば健康管理や看護に関しても、費用に関係無くその人に合った待遇を受ける権利を我が国の国民は持っている。これは世界中でも珍しいことである」とのSP 氏の言葉から、保守政党に属していても社会的な階級段差を避けている言葉として受け取ると、良い示唆のような気がするのです。

 数々の示唆を挙げましたが示唆の真意が正確に理解されることを願いつつ。



aokijuku at 00:30│コメント(0)

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
月別の記事一覧
最新コメント