2019年12月28日

ビュッケブルグ歳時記 217

今年起こった良いこと

 記憶にあるだけでも2、3回は下に向かって訂正された景気予報、 EU国間の不調和、決して無くならない、どこかに上がる爆撃の煙、いじめから人種間の憎悪まで、今年も世界は薄闇に包まれていたという感じがあります。その年も終わりに近づき、ブログも最後の回になりました。せめて最後の回には、心が温かくなるようなテーマをお知らせできればと努力してみます。

 まず思い浮かぶのが祖国日本での新天皇即位です。上皇の退位希望が叶えられ、新天皇が生まれたことは、薄暗い世界の中に明るい光を放った第一の出来事だと思います。天災のために延期された即位行進も滞りなく終わり、健やかな皇后さまと共にあるお姿は、これからの日本が平和であるという象徴のように見えました。
 そして「明日の皇帝」の題でお知らせしたナルヒト天皇即位と、この国での新天皇への格別な尊敬感と友好感情についてのブログに読者の方々から拍手をたくさんいただいたことは、わたしにとってもとても嬉しいことでした。読者の方々への
御礼ををここに書かせていただきます。ありがとうございました!

 次に、滞在国、ドイツにあった良いことを探してみました。
 第一に挙げたいのは基本年金の給与実施が決まったということです。
 東西統合の困難で右翼が勢いを増したり、また初めから困難の多かった大連党の政治の行方が危ぶまれていたのですが、この間、連合党の意見がようやく一致して「基本年金」行使が決まったとの、少し明るいニュースがありました。

 基本年金とは、長い間ーー最低35年間ーー低賃金で働いて、年金掛け金もきちんと払い込んでいた人が定年になってもらう年金額が、生活費用に達しない場合に、その不足分が給与される、という形の年金のことです。
 このような境遇に陥る人とは、低賃金で働いている理髪(美容)師や、一人で子供を育てている看護婦などに多く、したがって基本年金の行き先は女性定年者が多いということです。例えば40年間、基礎賃金よりも低い賃金で働いてきた美容師が受ける年金額は、現在では530ユーロで、これでは生活ができない。不足額を足して950ユーロにするのが基本年金だということです。現在は120−150万人が受けられると予想されているということです。
 いろいろと難しい規律もあるのですが、それはさておいて、このような下層階級の援助制度を実施にまで持っていった政治は良い政治だと思います。
CDU/CSU(保守政党連盟)とSPD(社会民主党)の違った意見をまとめたのはやはり徹底した話合いだと思います。
 基本法にある「ドイツは民主主義とsozial(社会的な)国である」に当てはまると思うのです。
 
 もう一つは温暖化対策に少しだけでも乗り出したということです。この問題は
全世界の問題で、ドイツだけで解決できる問題ではありませんがグレタさんの呼びかけで多くの若い人たちが動くことがなかったら、この国でもなんとなく見ないふりをしていたと思われるのです。
 11月に環境保護法案が作られ次のような事項が実施されると発表されました。
1.CO2 の税金を2025年までに10ユーロから35ユーロに引き上げることで
CO2排気数を55%まで下げる。2. 通勤者の電車代を安くする。3, 航空券を高くし、汽車代を安くする。
 一方では、このような対策の成果が云々されるのももっともだとは思いますが、何もしなければ地球はもっと不健康になると思うと、少しでも具体的に取り組むことは良いことだと思うのです。

 来る年が良い年となりますように!

 来年もまたどうぞよろしくお願いいたします。


aokijuku at 00:30│コメント(0)

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