2019年04月27日

ビュッケブルグ歳時記 201

エレクトロキッカー(電動スクーター)への期待


 自動車国にもかかわらず車生産につまずき、深刻化する地球温暖問題など多くの
困難との案配を考えながら、市民の移動を循環にするために、今この国で期待されているのが標題の、”(短い距離用の)電動交通器具”です。

 エレクトロキッカーとかエレクトロ・ステー・ロラーとかいろいろな名前で呼ばれるこの器具は、12ー20km/時速、50キロ以下の、見た目には子ども達が遊ぶ、片足で道路をけって走るスクーターのようなものです。違うのは速度を出すのが足動ではなく電動という事です。保険証を機械に貼付ける事は義務。運転免許証を持つ必要は無い。 
 このような短距離を徒歩よりも短時間で、安い価格で移動できるこの器具は、今までは公道での使用は禁止されていたのですが、今春から公の道路での使用許可が下りるという事に期待が寄せられているのです。勤務人は、家から駅までと、降りた駅から勤務先まで(公共交通機関への持ち込み可能)を歩かなくてよいので時間短縮になるとか、主婦達は小さな買い物に使用できるとか、今まで自転車を使用していた学生達にも歓迎の声が大きいようです。

 「公道の何処を走らせるか」ということが残る問題のようです。

 ここで、平地の多いこの国の交通道路の模様をを少し書いてみます。
 都会では車道に歩道が付いています。そして、主要道路の歩道には自転車用の道路が示されているのです。ある都市では、自転車道を色の違った煉瓦で敷き詰めたり、ある市では自転車道の両端を太いペンキで塗って存在を示しているのです。この道路巾は歩道の巾によって違いますが、狭くても一台の自転車が充分通れる巾を持っています。ベルリンのソニー会館前の大道りの自転車道は2台の自転車が並行して通れる程の巾で、自転車王国の感じがあります。ベルリンがドイツ最大の自転車都市を目指している結果かもしれません。
 信号では自転車道が車道の次にあるので、歩行者は自転車道を避けて信号待ちをしなければなりません。うっかりして自転車道路上で待っていると、近付いて来る自転車の呼び鈴で下がるように促されます。
 自転車道を歩道に造れない場合には車道の端をペンキで自転車用として区別してあります。
 地方の街でも自転車に対する道路への心配りはきちんとされています。特に近くの街や都市から休養に来る人の多い村などは、自転車道路を良く整えています。これは近くの学校に通う、村の生徒達への考慮があるのかもしれません。 

 因みにこの国では小学校4年で自転車乗りの試験が行われ、子ども達に自転車運転免許状を与えます。大人の車運転免許証と同じように、交通標識、街路上の交通規則、救助法の理論試験と、路上での自転車運転の実技が試験され、受かると自転車通学も許可されるのです。この試験は通常、警官と交通関係の役員の指揮で、それぞれの学校の校庭で行われます。そして最後に、警官と指導者と合格者全員による集団自転車ハイキングが街に出て、そこで、腕による軌道変更法や、追い越し法などが教えられるのです。 

 4月初めの新聞に、日本の地方のある都市でも電動スクーターが取り入れられたとの記事を読みましたが、日本の行楽を中心とした使用と、この国の、街角をスイスイと行く業務的移動器具としての使用とでは違うように思えます。国によって平地の大小の違いから来るこの差は当然ですが。
 もう一つの違いは、歩行者と自転車乗り人への優先がドイツでは明瞭のように思われます。これも道路を広くとれる国だからかも知れません。 


aokijuku at 00:30│コメント(0)

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