2018年12月22日
ビュッケブルグ歳時記 193
希望
2018年も終わる時となりました。世界中に不穏な空気が多かったように思われる年の最後に、来る年への燭光がないかと探してみました。探すのはやはり身近なところ、住んでいる地、ドイツが属するヨーロッパ圏のことになってしまうのですが。
この国では何かの拍子に「宿敵」という言葉を聞くことがあった(る)のですが、長く住む間に、この、少し恐ろしさを含む言葉は、隣の国フランスとの間柄に使われるということを知りました。
独仏の両国は長年にわたりお互いに相容れることなく、敵愾心をもって対してきたということです。1600年代の30年戦争、その後に続く仏とプロイセンの闘い、両国の文化も関係したフランス革命など、二つの国の間には多くの争いがあったようです。その中でヨーロッパ大陸のほぼ真ん中に位置するエルザス地方の所属が大きな問題であったということです。
1950年にEG同盟が始まり、その後ド・ゴールとアデナウアー両首相によって友好関係が奨められ、1963年にエルザスがフランス領となるエリゼイ条約が諦結されたことによって両国の好意的国交が固まったといわれています。このエリゼイ契約は、民間人の大きな協力(姉妹都市を多く造ることや、仏独語の学習施設を整備する、両国共通の歴史教科書使用など)無しでは成立出来なかったといわれる程、両国民の意志と努力で成立にこぎ着けられた条約といわれています。
EU圏が働きを始める前にはこのような経過があったわけです。そして現在、EUのモーターとなるのはやはり独仏の両国であることは誰もが認めることだと思います。
今年は、英国のEU離脱に続きポーランドやハンガリーの法治国家違反やイタリーの借金問題があってEU結束が危ぶまれるようにも思われますが、EU体制の大きな業績は、同盟国同志の戦争がな(い)かったということだと思います。この状態を持続するためにはEU連合がしっかり一致団結していることが必要で、核となる
仏独の連携のためかと思われる次のような行事がありました。
ドイツでは今年が第一次世界大戦終了後100年の記念の年にあたり、これをきっかけに、11月の国民敬弔日の議会にマクロン大統領を招待したのです。歴史上最初のことだということです。そこでのマクロン大統領の演説は、わたしに判る範囲内でさえとても良い内容だったと思います。
「このような場に招待されたことに感謝する。我々の2国は、これ迄にあった闘いでの犠牲者を忘れることなく、失敗と責任を反省し、歴史の流れを避けることなく、真実と目的のために、両国間に信頼と公明を育てようと努力してきた。長い間、我々は不倶戴天の敵であったが、今はEUの主核として持(永)属する平和のための努力を惜しまない」等々。続いて、戦争無しのヨーロッパ大陸の和平のために「ヨーロッパ軍隊」を立ち上げる案などが続きました。
前置きが長くなりましたが、宿敵だったドイツとフランスが今和解をしようと努力していることに大きな感銘を受けたのです。
どの国にも、主権を持ちたいとか、相手を服従させたいという欲求はあると思います。それを圧して、あるときそれを克服しようという行動に出るということにはどんなに勇気の要ることか。双方で、この国で使われる言い方、「困難に打ち勝つには自分の影を踏み越えなければならない」を実行に移して、平和を保とうとする両国に感心するのです。
対象がEUにまつわったので国と大きくなりましたが、この教えは、個人としても人に対する態度などに応用出来ることだと思い、来年の目標にしたいと思います。
皆様、今年1年読んで下さってありがとうございました。
読者の方々、良いお年をお迎え下さい!
2018年も終わる時となりました。世界中に不穏な空気が多かったように思われる年の最後に、来る年への燭光がないかと探してみました。探すのはやはり身近なところ、住んでいる地、ドイツが属するヨーロッパ圏のことになってしまうのですが。
この国では何かの拍子に「宿敵」という言葉を聞くことがあった(る)のですが、長く住む間に、この、少し恐ろしさを含む言葉は、隣の国フランスとの間柄に使われるということを知りました。
独仏の両国は長年にわたりお互いに相容れることなく、敵愾心をもって対してきたということです。1600年代の30年戦争、その後に続く仏とプロイセンの闘い、両国の文化も関係したフランス革命など、二つの国の間には多くの争いがあったようです。その中でヨーロッパ大陸のほぼ真ん中に位置するエルザス地方の所属が大きな問題であったということです。
1950年にEG同盟が始まり、その後ド・ゴールとアデナウアー両首相によって友好関係が奨められ、1963年にエルザスがフランス領となるエリゼイ条約が諦結されたことによって両国の好意的国交が固まったといわれています。このエリゼイ契約は、民間人の大きな協力(姉妹都市を多く造ることや、仏独語の学習施設を整備する、両国共通の歴史教科書使用など)無しでは成立出来なかったといわれる程、両国民の意志と努力で成立にこぎ着けられた条約といわれています。
EU圏が働きを始める前にはこのような経過があったわけです。そして現在、EUのモーターとなるのはやはり独仏の両国であることは誰もが認めることだと思います。
今年は、英国のEU離脱に続きポーランドやハンガリーの法治国家違反やイタリーの借金問題があってEU結束が危ぶまれるようにも思われますが、EU体制の大きな業績は、同盟国同志の戦争がな(い)かったということだと思います。この状態を持続するためにはEU連合がしっかり一致団結していることが必要で、核となる
仏独の連携のためかと思われる次のような行事がありました。
ドイツでは今年が第一次世界大戦終了後100年の記念の年にあたり、これをきっかけに、11月の国民敬弔日の議会にマクロン大統領を招待したのです。歴史上最初のことだということです。そこでのマクロン大統領の演説は、わたしに判る範囲内でさえとても良い内容だったと思います。
「このような場に招待されたことに感謝する。我々の2国は、これ迄にあった闘いでの犠牲者を忘れることなく、失敗と責任を反省し、歴史の流れを避けることなく、真実と目的のために、両国間に信頼と公明を育てようと努力してきた。長い間、我々は不倶戴天の敵であったが、今はEUの主核として持(永)属する平和のための努力を惜しまない」等々。続いて、戦争無しのヨーロッパ大陸の和平のために「ヨーロッパ軍隊」を立ち上げる案などが続きました。
前置きが長くなりましたが、宿敵だったドイツとフランスが今和解をしようと努力していることに大きな感銘を受けたのです。
どの国にも、主権を持ちたいとか、相手を服従させたいという欲求はあると思います。それを圧して、あるときそれを克服しようという行動に出るということにはどんなに勇気の要ることか。双方で、この国で使われる言い方、「困難に打ち勝つには自分の影を踏み越えなければならない」を実行に移して、平和を保とうとする両国に感心するのです。
対象がEUにまつわったので国と大きくなりましたが、この教えは、個人としても人に対する態度などに応用出来ることだと思い、来年の目標にしたいと思います。
皆様、今年1年読んで下さってありがとうございました。
読者の方々、良いお年をお迎え下さい!
aokijuku at 01:10│コメント(0)│