2018年09月08日

ビュッケブルグ歳時記 186

混沌混迷・・・


 最初に、今回ブログの標題について弁解をさせていただきます。
 歳時記184で日独の男性医学生奨励について書きましたが、その中で、一学生ルーカスが選抜方法に疑問ありと裁判にかけ,勝ったので、Numerus clausus 規制が緩められたと書きましたが、このことが持つ意味が後になって重要に見えてきたのです。一市民が国家の重要な規約を変えることが出来るということは、民主主義の本質ではないかと気がついたのです。国民主権ということの見本ではないかと思ったのです。勿論、ルーカスの場合は男性医者を増やしたいとの社会状勢が背景にあったので実現したこととは思いますが。
 政治的なデモクラシーなどは、主婦のわたしには難し過ぎて判らないのです。
一般市民の主婦が希望する民主主義は、一人の市民の声を聞く耳を持つ政治をする国なのです。


 このようなことを書こうと思っていたところへ、またこの国を揺さぶる事件が起こりました。
 先々週末に、旧東ドイツザクセン州の3番目に大きい都市ケムニッツで右派のデモ暴動が起こり、その余波が今週のこの国での大きなニュースでした。
 ドレスデンとライプチッヒ市が史跡などで知られている都市ですが、ザクセン州はどちらかといえば貧しい州なのです。ということは経済的発展が少ないということで、そこへ避難民が送り込まれると職場確保の心配が起こり、それが外国人疎外に繋がり暴動となる理由の一つといってよいかと思われます。
 前に書いたペギダ(外国人憎悪グループ)の発祥地がこの市でもあるのです。   
 先々週、ケムニッツ市で右派の人達たち、例えばホリガン(ならず者と辞書にありますが、この国ではスタジオンで暴力行使をするサッカーの熱狂ファンを対象によく使われています)やネオ・ナチスに属する人々によるデモが行われたのです。800人ほどで始まったのが、ネッツで広まり翌日は2000人のデモになって、暴力行使となり、35歳のドイツ・キューバ人の青年を殺害するという結果になってしまったのです。
 右派 ということは今のドイツでもいろいろな意味を持つように思えます。
 今回の選挙で、右派のAfD(ドイツのための選択肢党)が多数の票を集めたことは日本でも知られていると思いますが、ケムニッツの今回のデモもこの党を抜きにしては考えられないわけです。
 この国では外国人疎外問題は、非常に重大視されるということは前にも書いたと思います。ですから今回のケムニッツ暴動は政治的に大きな問題となっているのです。各州で秘密警察機構によるAfD への観察が強化されていると伝えられました。


 このような政治的対策や全国からの警察派遣などで問題点の行く先が示され、暴動が一応治まった先週末には、普通の(!)市民が右派反対のデモを行ったり、夕刻には 名のあるグループによる屋外コンサートが行われたり、教会からのコメントなど、反対意見を持つ集団の意志表示も盛大に行われました。このようなことを見ると、正悪両方の意見が主張できる社会なのだと思い、暴力さえなければ民主的な社会だと思えるのです。


 今はドイツだけでなくアメリカをはじめ多くの国が右に傾いている時代のようです。一方、中近東やアフリカの国々の発展を考えると、先進国との共存も重要なことにも思われて頭が混乱してくるのです・・・。一つだけはっきりしているのは、
暴力はいけない、その代わりとなるのが「対話」ということです。


aokijuku at 00:30│コメント(0)

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