2018年08月25日

ビュッケブルグ歳時記 185

旱魃夏と収穫感謝祭


 8月も終わりになるとこの国では穀物の収穫が始まり、同時にその年の収穫に対しての感謝を表すお祭りが始まります。
 ビュッケブルグのような小都市の周りには、農業を営んでいる人家が多い村も多く、この村々がそれぞれ伝統に基づき趣向を凝らして祭りの用意をするのです。その中での主格は、穂束をたばねて作られる「収穫かんむり」とよばれる
大きな飾り物で、持ち運びも出来るように作られ、民謡服で装った村民の行進の先頭になるのもこの冠ですし、感謝行進車として飾り付けをした軽走車のてっぺんを飾るのも、その村の主婦たちによって作られた「穂束かんむり」なのです。
 数年前に訪問してくれた日本からのお友達と、この町の最も重要な見せ所のお城を訪ねた折り、丁度、感謝祭の時期で、近くの村から集まった数台の感謝祭列車が集まり、見物に集まった市民と声をかけ合いながら市内を練り走る!情景があって、愉快だったことを思い出します。


 この冠を作るのには1400から2000本の、実のついた穂が必要だそうです。


 そこで心配になったのが、この国の今年の旱魃夏の後の収穫の結果です。
 今年の夏は真っ青な空に、太陽が強烈に輝く日が続いていた(いる)のです。ある地では39℃を記録したということです。そして雨が降らなかった(い)のです。
 毎日のTVでは、大きな輸送船は航川禁止になり、痩せ細ったライン、ドーナウ、エルベなどの大河の様子が写されています。同時に煉瓦色に枯れた穀物畑と共に、穀物の穂にはほとんど実がないことも写し出されます。
 この国ではWeizen (辞書には 穀粒としての小麦 とあります)と呼ばれる小麦属の穀物類が多く栽培され、パンやビールその他の食物の原料に使われています。また勿論ジャガイモ畑も多く、その他家畜の餌としてのトウモロコシ畑、ナタネやサトウダイコン畑が耕作地の大部分を占めています。これらの大耕作地の殆どの植物が暑さと乾きに干されてしまったのです。
 このように穀物が実らないことから、感謝祭に必要な穂が集まるかなあと心配になったのですが、近くのG. 村で始まった冠作りには必要な穂が集められたようで、老若主婦たちによる冠作りのなごやかな写真が昨日の朝刊に載っていました。 


 もう一つの心配は、この夏の旱魃はドイツだけではなくフランスからロシアまでの広範囲における気候変動と云われていることです。とすると、今までのCO-2 減少政策を見直して、真剣に実行に移さないと世界中が食料難に見舞われるかもしれないとの心配です。
 昨夕、農務大臣は国と地方(連邦国の行政区画の意)と半々で、相当額を被害のあった農家に援助金として支払う意向を発表しました。
 また、すでにいろいろな農作物改革案が出されています。Weizen の代わりに大豆を、ジャガイモ生産をひかえめする。また牧草が伸びないため2度、3度刈りが出来ないことからくる餌不足を防ぐため家畜飼育を少なくするなどの案です。
 でもやはり、根本のCO-2減実行を真剣に考えるべきだと思います。
 と云うわたしですが使っている車が普通のガソリン車なのに気が咎めます・・・ 


aokijuku at 14:58│コメント(0)

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