2018年08月11日
ビュッケブルグ歳時記 184
我が目を疑った記事
先週金曜日(3日)の朝、何時ものように日本の新聞3紙のデジタル版を見ていたとき、女子受験者の点数減点との見出しが目に入りました。ある医学大学が医学部医学科の一般入試で、女子受験者の点数を一律に減点して合格者数を調整していたことがわかったという記事でした。男性医師を多くするため、入学時に女性の医学勉学意志を阻む方策が取られていたとの記事と知った時、本当のこととは思えませんでした。読み間違えかと数回読み返しました。
大戦後日本は民主国家になって、民主主義には男女は平等であると謳われているはずだと思ったからです。
ドイツでも、この2、3年、政治、経済界への女性進出奨励が云われていて、数ヶ月前からTVのニュース番組を見ていて気がついたのが、あるニュースが読み上げられ、それについての短い説明があるとき、解説者として女性の起用が多くなったなあと思っていたところだったのです。昔は殆どが男性でした。また、3月に任命された大臣16名の内訳が男性9、女性7名ということも平等に近いと思われます。これに反して俸給平等や企業内でのマネージメント地位が同等ではないという問題は未だ大きく残っているようです。
このような一般における男女平等ではなく、今回は医学部進学から、医者稼業にまつわる平等問題についてこの国の事情を簡単にお伝えしてみます。
ドイツでは今までは(ここの 今までは には下線が引かれているとお取り下さい)医学部進学を決定するのはアビチュアー(高校卒業および大学入学資格試験。以下Abiとする)の成績でした。医学、法学など、その時によってNumerus clausus(入学許可数制限。以下Ncとする)がおかれ、これに値する成績を取った学生が即時の入学を許可されていたのです。医学部は平均点が1からせいぜい
1.5(ドイツでは日本と反対で1が最優)までという高成績が必要です。年々、20%がNc で、20%のNc に至らなかった学生が空き席待ち、あとの60%は、志望する大学との話し合いで進学するというのが現状でした。
ここで新しいことを知りました。この国ではAbi の総計は女生徒が男性徒よりも優っているということです。ということはNc に値する生徒は女生徒が多いことを意味し、したがって医学部進学は女性が男性より多いということになります。この結果から来る男性医師を多く!と声を大きくする要求問題は、日独同じで現実の社会問題になっているというわけです。
そこでこの問題解決にこの国が取っている、または取ろうとしている方法を不充分かもしれませんが書いてみます。
最初の段階としてNc の規約を緩和しました。これは人間医学部入学希望者で成績が満たなかったハンブルグのルーカスという学生が、Nc による選抜方式に疑問があるとして改革要求を裁判にかけたのです。Abi の結果だけで決めるのは人間の持つ要素を全部見ていないのではないか。成績優者だけが偉い医者になるわけではない。大学の独自性が大きすぎるのではないかなどの点を訴えた結果、ルーカスが裁判に勝ったのです。そこからNcの改良が考慮され、規約が緩くなったのです。そして よい医者となるためにはAbiの成績だけではなく、人間として医学に向いているかをよく見るための精神的テストを重くみる。また生理科学や社会心理学への関心が深いかをも重視し、介護実習を義務とする。また、前にコミュニケーションの重要さを書いたブログに、医学部の授業改革に「話すことを学ぶ」が加わるとあったのを思い出します。そして長い医学部学習期間の途中で学業をを中止する学生には裁可(処罰)として弁償を課すなどで、男性医師育成を奨励していることをこの国でも考えているのを知ったのです。新しいことでした。
この方法で医師の男女同数問題を解決できるかどうかは別問題として、日本の一大学が取った受験女子の成績減点という方策は、現代の民主国家として世界に対して恥ずかしいことに思えます。女性は学問希望学科選択も同等に取り扱われないなんて!
先週金曜日(3日)の朝、何時ものように日本の新聞3紙のデジタル版を見ていたとき、女子受験者の点数減点との見出しが目に入りました。ある医学大学が医学部医学科の一般入試で、女子受験者の点数を一律に減点して合格者数を調整していたことがわかったという記事でした。男性医師を多くするため、入学時に女性の医学勉学意志を阻む方策が取られていたとの記事と知った時、本当のこととは思えませんでした。読み間違えかと数回読み返しました。
大戦後日本は民主国家になって、民主主義には男女は平等であると謳われているはずだと思ったからです。
ドイツでも、この2、3年、政治、経済界への女性進出奨励が云われていて、数ヶ月前からTVのニュース番組を見ていて気がついたのが、あるニュースが読み上げられ、それについての短い説明があるとき、解説者として女性の起用が多くなったなあと思っていたところだったのです。昔は殆どが男性でした。また、3月に任命された大臣16名の内訳が男性9、女性7名ということも平等に近いと思われます。これに反して俸給平等や企業内でのマネージメント地位が同等ではないという問題は未だ大きく残っているようです。
このような一般における男女平等ではなく、今回は医学部進学から、医者稼業にまつわる平等問題についてこの国の事情を簡単にお伝えしてみます。
ドイツでは今までは(ここの 今までは には下線が引かれているとお取り下さい)医学部進学を決定するのはアビチュアー(高校卒業および大学入学資格試験。以下Abiとする)の成績でした。医学、法学など、その時によってNumerus clausus(入学許可数制限。以下Ncとする)がおかれ、これに値する成績を取った学生が即時の入学を許可されていたのです。医学部は平均点が1からせいぜい
1.5(ドイツでは日本と反対で1が最優)までという高成績が必要です。年々、20%がNc で、20%のNc に至らなかった学生が空き席待ち、あとの60%は、志望する大学との話し合いで進学するというのが現状でした。
ここで新しいことを知りました。この国ではAbi の総計は女生徒が男性徒よりも優っているということです。ということはNc に値する生徒は女生徒が多いことを意味し、したがって医学部進学は女性が男性より多いということになります。この結果から来る男性医師を多く!と声を大きくする要求問題は、日独同じで現実の社会問題になっているというわけです。
そこでこの問題解決にこの国が取っている、または取ろうとしている方法を不充分かもしれませんが書いてみます。
最初の段階としてNc の規約を緩和しました。これは人間医学部入学希望者で成績が満たなかったハンブルグのルーカスという学生が、Nc による選抜方式に疑問があるとして改革要求を裁判にかけたのです。Abi の結果だけで決めるのは人間の持つ要素を全部見ていないのではないか。成績優者だけが偉い医者になるわけではない。大学の独自性が大きすぎるのではないかなどの点を訴えた結果、ルーカスが裁判に勝ったのです。そこからNcの改良が考慮され、規約が緩くなったのです。そして よい医者となるためにはAbiの成績だけではなく、人間として医学に向いているかをよく見るための精神的テストを重くみる。また生理科学や社会心理学への関心が深いかをも重視し、介護実習を義務とする。また、前にコミュニケーションの重要さを書いたブログに、医学部の授業改革に「話すことを学ぶ」が加わるとあったのを思い出します。そして長い医学部学習期間の途中で学業をを中止する学生には裁可(処罰)として弁償を課すなどで、男性医師育成を奨励していることをこの国でも考えているのを知ったのです。新しいことでした。
この方法で医師の男女同数問題を解決できるかどうかは別問題として、日本の一大学が取った受験女子の成績減点という方策は、現代の民主国家として世界に対して恥ずかしいことに思えます。女性は学問希望学科選択も同等に取り扱われないなんて!
aokijuku at 13:35│コメント(0)│