2018年02月24日

ビュッケブルグ歳時記 173

腑に落ちない事ごと ーー Kooperatives Lernen


 今回は歳時記171に書いた、今この国で注目されているKooperatives Lernen
(以下 Ko. Lernen)=「協力して学ぼう」 について簡単に説明したいと思います。
 

 この授業形式は、今までのように教師が生徒に授業をするのではなく、生徒達で授業を作り上げるという形のものです。(したがって教師の形質も変わってくるわけで、これについては又の機会に)
 Ko.Lernen の基礎要素としては次のような点が挙げられています。
 学習テーマは教師が作成する。そのテーマの学習には全ての生徒が関わりを持つことが必修。

1. そのためクラスはグループに分けられ、グループ毎にそれぞれの役割りが分担される。それをまた分割した事項が生徒一人一人の義務となり、各自、分担分を責任を持って遂行しなければならない。ここで個人としての責任を学ぶ。

2. 次は、ある目的に達するには全員が一体感を持って協力する事が要求される。そこから良い意味での級友同士の依存(従属)意識を持つことが促される。これは言い換えると目的到達には自分の責任だけではなく人の責任にも必要であれば協力することに繋がり、協力の精神を学ぶことになる。

3. soziales=社会性を学ぶことはこの授業法の最重要点である。人の話を聞くこと、励まし合うこと、褒め合うこと、コト(授業)を上手く進めること、助けを申し出ること、などをすることから、生徒間での信頼関係が築かれ、これ等の経験は後に続く社会生活に対する良い準備とおもわれる。

4. 最後に、全員がコミュニケーションに参加出来るような席順にすること。


 この授業法は昔行われていたプロジェクト授業に似ている形ですが、前提として社会に出る準備を重視することが加わって、学校教育が更に一歩前進した感じがします。教育も少しづつ変わってきているようで、そこから、学校というものの定義がこの国では社会生活への準備所となってきているという感じが強くなります。
 今思いついたのですが、歳時記171で書いた、日本のTV教育番組のアクテイブ・ラーニングもこのような形なわけで、もしかしたら日本の方が先端を行っているのかもしれません。ただ、解説者が「新学習指導要領は学習量を減らすことなく・・・」と云っていたことが耳に残っています。また社会性を学ぶなどの解説もありませんでした。


 この授業法では知識集積度は低くなり、今までの授業法の結果との差は大きくなると思います。ただこの形式の基礎要素を知ると、いじめとか登校拒否とかの学校否定意識を少なくする教育に向いているような気がします。修身教育が授業に溶け込んで並行しているような気がします。そのような教育よりも、知識集積教育がまだ重視されているような気もして、そこからまた腑に落ちない、という感じが出て来るのです。わたしの時代からずっと続いている学歴社会、これは知識蓄積教育の成果といえる、を無くそうとする声がうすい気がするのです。それとも学歴社会否定説は取るに足りない少数意見なのでしょうか。


 何時だったか「周辺に確固たる同盟国の存在が見当たらない日本」という一文を読んだ記憶があるのですが、今のうす暗い霧が立ち籠めた世界状況を考えると、近隣の国々との外交のためにも世の中を変える必要があり、それをするのは子ども達で、その子ども達のためにより良い教育をといつも思うのです。これは世界中の子ども達に対しての願いです。


aokijuku at 10:33│コメント(0)

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