2016年09月24日

ビュッケブルグ歳時記 140

またの不安


 先週の始めから爆撃から逃げまどうアレッポ市民の姿がニュースの画面から無くなり、ほっとしたのですが、この武器の小休止は1週間しか続かず、また破壊された救済トラックの間を子ども達をかばいながら逃げる母親の姿が映し出されて、戦争を止めない、止められない人間に失望する毎日です。
 少し狭義的な考え方かもしれませんが、避難民問題が原因で揺れているドイツ国情、そしてこれ又揺動するEU圏問題に思いが行き不安が広がります。


 ドイツの事情をお伝えします。
 来年の選挙を控えて、メルケル首相の難民政策に大きなひびが入っています。
”我々には出来る”をモットーに始めた難民政策が、誰にも予想出来なかった、様々なその後の事情から強い影響を受けて、いろいろな難点が出てきていることは日本にも報道されていると思います。
 先週の始めに北ドイツの小さな町で、未成年者を含めた3人のテロ組織の手先が逮捕されました。IS国からドイツでのテロ準備者として送られてきたということですが、問題はこの人達が難民者として入国しているということです。シリア・トルコ間が組織している、”難民送り込み組団”を使って、正規の通路で難民として入ってきているということです。これは、ドイツ国の難民アイデンテイテイ確証が不充分であるとして非難されています。難民はきちんと身分を確定後、入国させるべきであるとの意見です。もっともな意見です。
 そして先週末には、ザクセン州(旧東ドイツ)にある住民4万人の町で、難民と
右翼団との衝突が暴力化し、国民の不安感を煽りました。この衝突は難民に対して夜間の外出とアルコールの禁止令が出されて終末となりました。
 旧東の州に難民受け入れ反対意見が多いということが先ず目につきます。こんな所に東西統合のゆがみが依然としてあるのかとも思わされます。そして、これの
波紋が選挙に大きく反映することが問題なのです。例えばNPD(右翼政党)とAfD(ドイツのための選択肢党)へと投票率が2年前の地方選挙よりも驚くほど高くなっているのです。ということは行く末、右翼の国となり、メルケル首相の政治続行が危ぶまれるということです。
 

 このような二つの例から、難民受け入れに対する賛成と反対意見から、国が二分されて来ているということが伺えます。そこへまた、難民問題の元素のシリア和平が脅かされると思うと不安が大きくなるばかりです。ようやく武器使用休止政策によって、原因である難民出現国平和への尽力が始まったと明るい希望が見えたのですから、それをまた黒い雲で隠さないで欲しいとの願いは、多くの人の願いだと思われます。
 自国の戦争から逃げ出す難民を文句なく受け入れたドイツも今は、相応する対策を作る余裕も出来、身元に確信のある難民のみの受け入れということで、その数にも自ずと制限が出来ることで反対者の数も少なくなると思います。そして経済国として難民融合政策も模範的にしていることで、ドイツやカナダの難民救助は世界で認められていると思います。
 この政治を続けるためには、難民を出す原因を解決することが第一の筈です。
ですから今はシリアの休戦に世界中が努力することを願って止みません。


aokijuku at 14:00│コメント(0)

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