2016年01月23日

ビュッケブルグ歳時記 124

新年への願望


 ほとんど1ヶ月遅れましたが、皆様、新年、お目出度うございます。今年も引き続き皆様に読んでいただけるに足るブログにしたいという大望が標題になりました。よろしくお願いいたします。


 昨年は、特に年末になってISテロ騒動や水爆実験などの禍々しい事件が多発し,世界の平和が脅かされるような気のする年でした。日本は特に隣国による水爆実験により、ドイツは難民問題で政情が大きく揺動されている折り、気になるのが両国の憲法です。
 ブログ63で、ドイツが住み良い国となっている理由は、この国が憲法に書かれている通りの国であるからだろうという意見を書いたことを覚えていて下さる読者の方も居られると思います。復習してみます。
 1949年に制定された西ドイツ憲法の20条には、「Die Bundesrepublik
Deutschland ist ein demokratischer und sozialer Bundesstaat」とあります。
何故ドイツ語で書いたかというと、ドイツ連邦共和国は民主主義、までは訳せるのですが、次のsozialer Staatをどう訳したらよいかわからないのです。辞書には
sozial は社会上の、社会的な、社会福祉の、などなどの意とあります。Staatは国の意。この国ではsozial何何という言葉がとても多く使われるのですが、この言葉の起原がここにあるのだとわかります。そしてこの言葉はその時々と対象によって多くの意味を含んでいるので、どの訳が一番当て嵌まるのか判らないのです。敢えて言えば「(国民が)社会を育てていく連邦国」が一番適切かもしれません。そこから独文の訳は「ドイツ連邦共和国は民主主義をもって国民と共に社会を育てて行く国である」でしょうか。


 前置きが長くなりましたが、今回気が付いたのは、この国にはこの憲法の主旨が行き渡っていると感じることです。しっかり根をおろしているのです。ここから憲法の大事さを知らされます。
 又63の重複になりますが、社会的国家とは、「全ての国民が、社会面でも政治面でも行動して、それぞれの安全と権利を守るために努力をする国」とあります。この情景は一主婦のわたしの目にもあらわなのです。日本と違ってこの国では政治が透明なため、何か問題が起きると皆がそれぞれの意見を言い、議論が行われるのです。起った問題が結果に行き着く迄に国民も口を挟める機会があるのです。これは憲法のもう一つの主旨、民主主義につながることだと思われます。また社会的ということは自分に係わることは他人ーー社会にも係わることという観念であるように思えます。これは経済的に恵まれない社会階級低の国民のことも忘れない政治が行われるという解釈も出来ます。この精神が難民受け入れの基盤となっていると云っては云い過ぎでしょうか。


 日独両国の憲法は両方とも敗戦後に制定されたものだと思います。現在、一つは改定が云々され、一つは定着しているという相違が目に入ったので、この定着がどのような所に見られるかを今年のブログ目標にして、皆様にお伝え出来ればと思うのです。sozial主義の範囲の広さを知ることは、「選挙に行く」場合の手がかりとしても無駄なことではないと思うのです。

aokijuku at 04:46│コメント(0)

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