2015年11月07日

伊賀の正月堂 

                                        
芭蕉と忍者で有名な伊賀上野市街の北西に島ヶ原という山間地があり、地域の中央に木津川が流れている。川の北面の山地に至るなだらかな傾斜地に古いお寺、観菩提寺(かんぼだいじ)が建っており、その本堂を正月堂という。

ご本尊の秘仏十一面観世音菩薩の三十三年に一度のご開帳が11月1日から8日まであるという。次には109歳になり無理ではないかという気がしたので、とり急ぎ5日にお参りをした。おだやかな秋日和、紅葉と銀杏に彩られた寺の石段を上がって、近隣のご老人たちや遠来の人、青い目の外人も詰めかけている。幼稚園児も列を組んで来た。土地の人が正月堂の法被をきて、500円の拝観料徴収と受付案内に忙しい。境内の出店では猟師が鹿の角、鹿肉の燻製、猪のスペアリブを売っているのも山寺らしい。

ここでは東大寺の二月堂の修二会(しゅにえ)の一か月前に、規模は小さいが奈良の水取りと同じ錬行を行う。二月堂、三月堂に対して正月堂と呼ぶ由縁である。
東大寺の良弁僧正の弟子でインド渡来僧の忠実和尚が、観菩提寺の正月堂建立、本尊安置を行い、東大寺二月堂を同じお水取りの行を始めたと伝えられている。
ご本尊の印象については白洲正子さんの「十一面観音巡礼」の記述を引用させていただく、
「本尊は六臂の十一面観音で、藤原初期の作ということだが、山間にある十一面の中では、もっとも古様で、重厚な姿をしている」。



aokijuku at 16:59│コメント(0)

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