2015年08月22日

ビュッケブルグ歳時記 115

核をめぐって ー わからない事ごと 


 7月の最終日に九州電力が川内原発1号機の再稼動を申請したとの記事を読んだときには信じられないという感じを持ちました。そして申請はあっても許可は降りないことを願っていたのですが、残念ながら願いは叶わず再稼動の運びとなりました。
 許可が下りないように願った理由は、福島の事故は人間に学ぶべき事を残したと思うのです。今の段階では原子炉は100%安全ではないということを。
 現在世界では31カ国が438の原発で電力生産をしていて、中国、ロシア、韓国などの国は原発依存度が高いようです。これに反して ドイツだけではなくヨーロッパでは原発脱出の声が大きいというのに、事故当事者の日本は何故か 脱出ではなく、再稼動に動いているという現象に合点が行かないのです。ドイツを先頭にイタリー、アイルランド、オーストリア、デンマーク、ベルギー、スペイン、スイスの国々が原発脱出の意向を持っているようですが、今回、特に感銘を受けたのはフランスについてです。今迄58の原子炉を持ち必要電力の78%を原発から得ていたフランスが、7月半ばに原発脱出を発表したとの報道があったのです。フランスは2025年迄に原子炉を現在の58から24個まで縮小し、風力や太陽光線による自然力エネルギーに向けての政策に踏み出すということです。これはオランデ首相の5年の年期の最大の改革問題に当たるそうです。これに対しての批判は多く、実現迄には相当の困難を克服しなければならにようですが、それでも核から離れようとする意志があるだけでも評価出来ます。フランスも福島の事故から学んだことが判ります。
 わからないのは、日本の政府は何も学ばなかったのかと、そこがわからないのです。事故は日本で起ったことですから、一番よくわかる筈なのに!日本国民の大部分が再稼動に反対しているとのことで、国民はわかっているのに政府はわかっていないということでしょうか。


 もう一つのわからないことは原子爆弾の核についてです。原子爆弾を体験したのはこれも日本が最初で唯一の国です。今年の終戦記念日には被爆者の経験談を中心に、この武器の成り立ちとか落下国の使用意図などについてメデイアの報道が多くありました。ここから原子爆弾のおそろしさを知らされます。そして会談が始まってから13年後の今年、イランがこの恐ろしい武器を生産しないという条約に調印したのは記憶に新しい事です。北朝鮮が禁止条約を無視していることは呆れるばかりですが、これを除いては世界が核兵器縮小に向かっているわけです。
 ”広島からの啓示”と題するドイツの新聞記事を読みました。被爆者の談義、戦争責任の取り扱い方などが内容です。日本は原爆を落とされたという受け身感覚を超えて、攻勢的に反核運動に取り組むベきだともあります。そして最後の部分にこうあります。「安倍首相はアジアにおける戦争創傷を癒すよりかえって大きくしているような感じがある。前任首相たちは好外交を行っていたように思われるが、現首相は軍隊の外国出撃が可能になるように平和憲法を言い換えようとしているようだが、これは広島から響く平和への呼び声を大きく傷つけるのではないか」
 これが外国人の見る今の日本の像だと思うと、分裂した核についてもわからなくなるというわけです。




aokijuku at 00:05│コメント(0)

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