2015年04月25日

ビュッケブルグ歳時記 107

民主政治とは ー 国民との対話


 4月の初めに、「我が国をより住み良い国にするためには?」という標題の下に、メルケル首相と経済相のガブリエル氏によるイヴェント「150回にわたる国民との対話会」が行われると発表されました。
 これは、「この国で幸福な個人となるには何が重要か」「将来のドイツ国には何が必要か」を、国民に聞こうという会です。
 「将来の我が国を、そこで生活する国民が満足する国にするにはどうしたら良いかと考えるとき、政治家として国民の声を聞くことが大切であると思う。往々にして国会に閉じこもった政治、例えば何もかも国民総生産が一番大切と考える政治となりがちだが、そうあってはならない。実際の生活を見失わない政治でなくてはならない。そのためには国民の声を聞くのを忘れてはならない」と首相。「選挙前に、実現不可能な約束することなどで国民の顰蹙を買い、それによって選挙率低下になったりすること、また時代とともに大きく変化する国民様相を考えるとき、政治は民がぬし(主)という、民主主義の意味を改めて考え直さなければならない」という社会党党首の考えが基になって計画された会です。


 期間は5月から10月迄の6ヶ月で、その間、28箇所で150回の市民との対話会が催されます。政治家、テーマにそった専門家数人と、それに対する市民は、個人から環境保護会や イスラム教中央委員会などの公共団体などで、その中には生徒会の代表者との会談も含まれています。これが示すように上から下迄の広範囲な層の市民が対象です。
 協力組織の中での主力は市民大学です。この、スカンデイナヴィアを起原とする、地方の公共費によって経営されている学校は、既に仕事に就いているとか、文盲者とか、外国人とかなどの区別なく、勉学を希望する全ての市民が勉強出来る形式の学校です。全国に約900校あります。


 どのようなテーマが取り上げられるかは誰でも参加出来ることから多種多様になると予想されますが、すでに名乗りを上げている例は次のようなものです。モスレム団体も、この機会は異教間の相互理解を深めるのに最適として、異教徒同士の生活を平和に保つ機会にしたいとの意気を示しています。また、ピンクリボン団体も同病の仲間との助け合いを奨励し、民間のこの病気への理解を深めようと企画を練っています。 


 「話し合いの結果は、専門家の助けを借りて具体化し、判断によっては政策として取り上げられる場合もあるだろうし、果てには、それが基本法(憲法)を変革させることになるかもしれない。私としては話し合ったことを” Nimmerleinstag=永久に来ることのない日” とする気は毛頭ない」と、首相は云っています。


 結果はともあれ民主主義国として、このような企画のある政治は手本と云ってよいのではないでしょうか。


aokijuku at 00:05│コメント(0)

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