2014年12月13日

ビュッケブルグ歳時記 98

大学生となったレナ5 ー 職業選択


 レナは、最近、頓に多くなっているアフリカからの避難民管理の手伝いをしたいと思っていた英国でのFsJの1年間に、ゆっくり将来の仕事の選択をする積もりだったようですが、これが無くなり、どうするのかと気にかかっていたのですが、ある日、「将来はヨーロッパ議会関係で働きたいと思うので、政治学部に行くことにしたの。未来性があると思うし、報酬がすごくいいから」と、話してくれました。「報酬の良いこと」が条件となっているのは、今までの環境の影響かと頷ける気がしました。
 レナがとった優秀な成績から、待ち時間無しで、希望の学部に入学することが出来た時、残ったのは学費の問題だったのですが、ある日、この時ばかりは嬉しそうに「Oma(おばあさん)が4000ユーロを、遺産の先渡しとしてあたしの通帳に払い込んでくれたの! 学費に使うようにって」と話してくれました。そして「両親も部屋代とKindergeld(=児童手当て*)は、毎月払ってくれることになったの。だから、わたしは本代と食費と、ゼメスター毎に大学に払う事務費200ユーロを工面すればいいだけになって安心したのよ」と、稀な笑顔を見せてくれました。そして「食事はお昼は大学のメンザで食べれば安く済むし、毎週末、家に帰ってくればその間の食費は要らないし。汽車代は大学生には無料証明がでるし。大学にはいろんなスポーツクラブがあって、タダで出来るから、あたしはジャズダンスを選んだの。ただ本代がすごくかかると思うから心配だけど」と、綿密にかかる費用を計算して見せてくれました。「あなたが家計簿を持つようになったら、相手は大安心ね」と、褒めました。


* これはドイツの社会厚生事業の一つで、子供を持つ全ての市民に育成補助金として支払われる児童手当金です。18歳までは全ての子どもに、18歳以上の子どもは、職業訓練もせず、上級学校にも行かない子どもには21歳まで、大学などの上級教育上にある子どもに対しては25歳まで、障害児には無限期、保護者に支払われるのです。第1子と第2子には、月に184ユーロ、第3子には190ユーロ、それ以上は215ユーロです)


 そして「学費の問題も一応解決してよかったわね」と云うわたしに「でも、アリ(アパートの分割住居人)の方がお金があるのよ。彼はBafoeG(奨学金)がもらえるから」と、羨ましそうに云っていました。


 ここで、ドイツの奨学金制度について簡単にお知らせします。
これは1971年、社会党の施政期に作られた連邦奨学資金法により支払われる奨学金で、社会厚生事業の一つです。生徒(小学生から高校生までの総称)、大学教育を受ける学生と、前に書いたDualsystem=職業実習と職業学校の連合法で、職人からマースターまでの修業をする青年の学費の援助をします。注意を引かれるのは、このように大学教育と職業訓練教育が同等に扱われていることです。したがって、社会もこの2種の教育を終えた人物の受け入れに区別をしないのです。
つづく






aokijuku at 00:05│コメント(0)

トラックバックURL

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
月別の記事一覧
最新コメント