2013年11月30日

かつての船旅の苦労は

先日、本屋に立ち寄った際、たまたま、岩波文庫のレザーノフ著大島幹雄訳『日本滞在日記』を少し開いてみました。これは、幕末、船に乗って日本にやってきたロシアの大使、レザーノフの日記です。幕末の日本を、当時の外国人の視点から見た貴重な歴史資料のひとつです。
目を通せたのは冒頭部分だけだったので、内容の核心に迫るまでいかなかったのですが、興味深かったのでご紹介します。

カムチャッカ半島から長崎へ向かう船旅は前途洋洋・・・とはいかなかったようです。途中港に停泊して水や燃料を手に入れるも新鮮な食料は手に入らなかった、とか、出航するも風が吹かず湾内から出られない、とか。ようやく大海へ出ると、船員たちは船の多くの水漏れを塞ぐべく格闘しています。
ロシア本国で記念日の時は、波の揺れと船修理に格闘する船員たちに、予め用意していた勲章を配り、レザーノフが演説して士気を高揚させます。記念日である今日、我らは目指すべく地をついに確認した。これは名誉である!本国の皇帝もきっとお喜びになるだろう、と。

人間味がにじみ出る内容で、昔のロシア大使を少し近くに感じるような、日記ならではの面白さがありました。そして、今でこそ、優雅とまではいかなくても、少なくとも身の危険を感じることなく安全に船に乗ることができますが、約200年前の船旅は、これで本当に無事たどり着けるのか?と言いたくなり、当時の船旅の苦労が伺えます。

さて、何とか日本に到着するレザーノフには、この先、何が待っているのか。評価も高いこの本の続きが気になるので、また機会があったら入手して読んでみたいと思います。
                               (ぴのん のぞみ)


aokijuku at 00:05│コメント(0)

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