2013年09月28日

ビュッケブルグ歳時記 69

わたしの経験した選挙


 メルケル首相の勝利に終わった選挙結果は、メデイアの専門的なコメントで報道されていると思いますので、ここでは外国人の一主婦が経験した選挙を読んでいただければと思います。 

 勝利の素は、国民が8年間のメルケル首相の統率力がなし得た業績を認め、これからの4年も彼女に託そうとする信頼票だと思われます。国の借金が少しづつでも減っていることや、ユーロ圏内の経済困難国家への救済姿勢は規模が大きいことですが、市民に近いことでは、市民の貯金が確保されているということが挙げられると思います。リーマンショックの時、「あなた方の貯金は国が保障します」と国民に約束したのです。利子は激減しているとはいえ、ギリシャのように44%が戻って来ないということではないのです。このようなことが信頼層を厚くし、任された首相も、20年以来の喜ばしい結果に、責任を持って当たることを約束するとの言葉を返しています。

 今回の選挙では3つの事が特徴あることでした。第一は、みどりの党の支持率が減ったことです。原因は、リ・ショック以来、国倒産を予測し、対策として増税をモットーとしたことが一つ。もう一つは統率者の年齢が上がったことから、若年層の票が減ったことが考えられます。
 第二は、自由民主党が惨敗して、議会から姿を消すことになったことです。結成以来、連合党として60年間政治をしてきた党なのです。この党はリベラルという名の通り、全てのことに国家の拘束を少なくする自由政策を唱え、産業も自由経済にということで、税金を重くしないと云っていたのです。ここから産業界との掛かり合いがコロプトに見られたことが大敗の素かもしれません。他には、ドイツが今ほど自由だったことはない。従って自由主義は必要なしという意見も多いようです。
 第三は、「ドイツのための選択肢」という新党ができたことです。5%に満たなかったので、議席は得られませんでしたが5番目に票が多かった党です。この党は経済学者などの知識者によって結成され、モットーは「ユーロ圏廃止。それぞれの国の貨幣に戻ろう」です。困難国に対する援助に反対の人達の票を狙ったと云われています。また、ユーロ反対派には右翼の人が多いことも、注意が必要とも云われています。 

 キリスト教民主同盟党(バイエルン州のキリスト教社会同盟党も含む)が過半数に満たないため、連合党を、社会党、みどりの党、左党から選ぶ仕事が残っているのですが、現実に施行出来るのは社会党との連合だということです。これは、メルケル首相の第一期の4年間が社会党との連合だったので、よりよい未来の4年間が期待出来るように思えます。

 一つ書き加えたいことがあります。選挙が終わった次の日から、教えている小学生に、「選挙の結果をどう思う。もし君たちが選ぶとしたら、どの党をえらぶ」と尋ねたのです。ほとんどの子どもが、特に男子生徒が、とうとうと選ぶ党について話し出します。それで、その子の家族の政治系統が判るのです。家族がオープンに政治の話をしていることがわかり、これが即ち政治教育となり、政治に興味を持ち、後に社会構成に係わり合う積極性を養う地盤になっているのだと思います。




aokijuku at 08:03│コメント(1)

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この記事へのコメント

1. Posted by 飯田 博   2013年10月07日 03:45
5 このブログで一番参考になったことー
小学生も大人の選挙について意見をもっている。
日本とドイツは全く違った国であることがわかる。
ちかにみ投票率はどうなっているのだろうか。

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