2013年04月30日

【From America】 「エコ・バッグ」

アメリカのウインドゲイト緑です。

Eco_bag エコバッグ世界中で「エコ」が叫ばれています。日本では、スーパーで買い物をした時に入れてくれるビニール袋を少なくするために、消費者が自分で買い物荷物を入れる袋を持参する動きがあります。「エコ・バッグ」と呼ばれる小さくたためるビニール製のバッグ(時には布製や綺麗なレースバッグもありますが)をハンドバッグに入れて買い物に行き、商品をそのバッグに入れて自宅に持ち帰る方法です。

アメリカでは以前からスーパーで買い物をすると、レジで会話するのはたった一言「Paper or Plastic?」と質問されるのが普通でした。これは買い物荷物を入れるのに「茶色の紙袋にしますか? それともビニール袋にしますか?」と聞いてくるのです。アメリカ映画などの買い物シーンには、買い物荷物を茶色の紙袋に入れて自宅に持ち帰る場面が多かったのを覚えていますか? とてもアメリカ的なシーンとして記憶に残っています。しかし、最近はアメリカでも環境問題を考える動きが出てきて、カリフォルニア州ではスーパーのビニール袋をやめて茶色の紙袋だけにすると決めたそうです。紙は再生できるからですね。

しかし、消費者が袋を持参すれば、もっと袋を節約できるわけです。そこで、大手スーパーでは安価な布製のバッグや内側に保冷保温効果のある素材を張った袋を売り出し、それを買い物の時に持ってきてもらおうとしています。アメリカは日本と違って車で買い物に行きますので、日本のように小さくたためる、可愛らしいデザインなどは必要がないようです。何回も再利用できる実用的な大きなバッグです。雑誌などで、「エコはクールだ」と呼びかけていますが、いまいち普及していないようです。

この動きが今ひとつ広がらないのには訳がありそうです。前にもこのブログでご紹介したと思いますが、アメリカの鶏肉にはサルモネラ菌が付いていて、鶏肉の取り扱いには注意が必要です。鶏肉を切るまな板は他のものと別にする。鶏肉を触ったらすぐに石鹸で良く手を洗う。鶏肉を扱った後はキッチンのカウンターを良く消毒する。など細心の注意が必要です。卵も同じ事なので、生卵を食べるなんてことはアメリカでは出来ません。
エコ・バッグを何回も使うということは、この鶏肉の肉汁が中にこぼれてしまった場合や、間違って卵が袋の中で割れてしまった時に、他の商品に菌が移ってしまうのではないか? という懸念があるでしょう。スーパーのビニール袋なら、すぐにゴミ箱に捨ててしまえるので便利です。一方、それなら買い物をした後、自分でエコ・バッグを洗濯するか、袋の中を消毒すれば良いでしょう、と雑誌などでは呼びかけています。

また、スーパーのビニール袋は自宅に持ち帰った後、多くの人がゴミ箱の内側に敷いて再利用しています。ゴミ収集の日には、その袋ごと捨てれば、ゴミ箱の中はいつも清潔です。一方、雑誌などでは、ゴミ箱の内側にビニール袋を敷く必要はありません。ゴミを捨てた後でゴミ箱の内側を消毒すれば良いのです、と訴えています。

ある消費者は、買い物に行く時にエコ・バッグを持って行くのを忘れてしまうことが多い、と言います。それなら、買い物メモを書くと同じように、習慣付ければ良いのです、と雑誌では呼びかけています。

さて、こんな雑誌の呼びかけはどこまでアメリカのエコ・バッグ普及に貢献できるでしょうか? 最終的にはエコ・バッグを忘れた人は、有料で紙袋を買って荷物を入れるようにしてください、というルールが普及するまでは、エコ・バッグの全面的な普及は難しいのではないか? というのが私の見解です。
エコの意識を高めてもらうのには、長い時間と消費者を動かす賢い知恵が必要なようです。


aokijuku at 00:30│コメント(0)

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