2013年02月27日

TPP交渉参加の日米共同声明

安倍首相は、2月22日オバマ大統領と会談し「TPPに関する日米共同声明」が発表された。
首相は「聖域なき関税撤廃は前提でないことが明確になった」と胸を張っている感がある。しかし共同声明をよく読んでみると冒頭の項が重要であり、その重みが伝わってくる。

「日米両政府は、日本が環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に参加する場合には、全ての物品が交渉の対象とされること、および、日本が他の交渉参加国とともに、2011年11月12日にTPP首脳によって表明された『TPPの輪郭(アウトライン)』において示された包括的で高い水準の協定を達成していくことになることを確認する」
キーワードは「全ての物品が対象になる」、「包括的で高い水準の協定を達成」である。

なるほど次項には、「TPP交渉参加に際し、一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められるものではないことを確認する」と述べられている。この表現には日本が交渉に入る可能性を整えるための最大限の努力が伺える。しかし、「全ての関税を撤廃することを前提とはしない」と云っているわけではない。入り口を潜りやすい表現にはなっているが、入ってみたら全く様子が違っていたということもありうる。
その時に冒頭の前提条件が重みを増してくる。コメも例外扱ではなく「全ての物品が対象」である、現状のようなコメの輸入禁止的な高関税は許されない「高い水準の協定」となる。
声明の最後の項に、「自動車部門や保険部門に残された懸案事項に対処し、その他の非関税措置に対処し」とある。米側はきっちりと声明の中で自国の主張点を確保している。

日本の農業問題に触れないとTPPの議論にならないが、ここでは日米共同声明を読み解くだけとしたい。声明文だけでみると米側有利の姿勢は明らかであり、これからの交渉に際しては安倍政権には、なみなみならぬ覚悟が必要である。


aokijuku at 11:39│コメント(0)

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