2012年02月22日

拝啓 中央区長さま

拝啓 中央区長さま

 中央区の広報、そのほかで貴方様のお顔を拝見するたびに何と雅なお顔の方だろうと思いを馳せておりました。ご先祖はお公家さんかしら、ゆったりとしたふくよかなお顔は庶民から親しまれる将軍か、、、とも。

 私は1970年代から30数年ものながきにわたり中央区にお世話になってまいりました。京橋に始まり銀座2丁目、8丁目、そして現在は7丁目と。小さな画廊を始めまして社会の変遷も見てまいりました。戦後、人々のたゆまざる努力でちいさな島国であり貧しかった日本が世界第2の経済大国になろうとは誰が想像したでしょうか。

 日本の人びとは本来そのような大きな力を持ち世界に比してまいりました。心の繊細さ、相手を思いやる気持ち、義理人情、謙虚さ、忍耐力など素晴らしいものを個々の人びとは持ち日本を支えてきたのではないでしょうか。
 経済面でも科学の面でも、そして私が携わる美術の世界でも他の国にはない特殊な美を作り出してまいりました。工芸の世界で職人といわれる熟練した業を培ってきた人びとにより作られてきたものを日常の道具として私たちはごく最近まで生活の中で使用していました。
しかし、これらの道具はいまはガラクタとして捨てられて誰からも見向きもされません。私は度々ニューヨークに行く機会がありブルクリンにある"渋い“という骨董店をそのたび訪れるのですが。ここには日本でかつて使われた生活用具などが所狭しとならべられています。
 竹籠、商店の看板、ボロとよばれる労働着、火鉢、たんす、陶器類、番傘、下駄,漆器類、神棚、灯篭、あげれば枚挙がありません。
 ここで昨年とても可愛らしい大正時代につくられたという針箱を買いました。
その昔、人びとが着物を日常着としていたころ、女性は誰もが着物をぬうことができたそうな、、そういえば私の母も新しく反物を買うとよく針仕事をしていたものでした。

 今は全てが便利になりそして人々の絆はうすれ味わいの薄い環境となってきたように思うのは私だけでしょうか。

最近銭湯をよく利用させてもらうようになりました。銭湯もいきつけますと店主とけつこう親しくなり話をするようになるものですが私は日本古来の銭湯の継続が危ぶまれていると感じるのです。
 常に入浴者が少なく最近とくに子供に会うことがありません。子供たちは銭湯で大人に混じり作法も学んだものだときいています。
 とくに子供は自分の身体の変化を知りゆく課程で銭湯でいろいろな年代の人びとを見ることにより人間としての成長も学び安心するようにおもいます。浮世絵などにみるお風呂は色々な年齢のひとびとが交わり賑やかで話し声まできこえるようです。楽しく人との出会う場所でもあったのでしょうか。

どうか、区長様もときどき銭湯にいかれてはいかがでしょうか。そしてどうか銭湯の灯を消さないでいただきたいのです。
 区長さまのバツクグランドはジャーナリストでいらっしゃるとお聞きしています。銭湯のことなど政治の世界からいいましたら小さなことかもしれませんが古くから伝承されてきた素晴らしい日本の文化の賜物だとおもうのです。
 063銀座にも金春湯というのがありますがご存知でしょうか。150年の歴史があると先日店主の方からお聞きしたばかりでした。私は銀座は和光などをのぞいて
全て戦火で焼かれ灰燼に帰したのかと思いましたら焼けなかったのだそうです。

 銀座には老舗といわれる店が沢山ありましたがそんな店さえも時代とともに姿を消してゆくのを見るのは悲しいことです。

 区役所は築地ですから銀座まで歩ける距離にあります。そして確か午後1時から金春湯は開いていますのでどうかお時間をつくられてお越しいただけたらと思います。
 私はもっと多くの人に銭湯のこと特に地元の金春湯の事を知ってもらいたく、区長さんにお知らせしたいと考えました。もし金春湯を体験していただいて何かのおり区役所の広報などにそのことが語られていることを知ることになればどんなにかうれしいことでしょう。
 2月の半ばをすぎましたが厳しい寒さがつずきます。どうかご自愛くださいまして政務にお励みくださいますよう、そしてお健やかをお祈りいたしております。
                                                敬 具



aokijuku at 00:03│コメント(0)

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