2012年02月18日

スペイン体験記 その18

本当に運良く、音楽院で勉強を続けることが決まり、短期間のうちに天国と地獄の気分を味わいました。

音楽院に入るのも大変でしたが、入ってからも大変でした。

基礎的な学科、例えばソルフェージュなどは小学生高学年〜中学生ぐらいまでにはクリアーしている学科のひとつでした。
合唱Iともなるとクラスメートはほぼ、小学生低学年の子が集まる授業でした。とにかく、音楽的な背景がない私は更に上の学年を目指す上でもこうした基礎的な授業を受けて消化しなければいけませんでした。
正規の学生とは違うので本来なら聴講のみだけだったのですが、幸いにも試験を受けることが許されました。

こうしたアバウトなところでは苦労もした分、とても助かった面もありました。

合唱Iで、今でも思い出すのは、7、8才ぐらいの品の良い女の子がとても優しく話しかけてきてくれました。大人は私を含めて3人、しかも東洋人は私だけだったのでめずらしかったこともあるのでしょう。
合唱担当の先生が来ると、それまで収拾がつかないほど騒がしかった空気がピッタリと止みました。女の子の情報だと、とても厳しい先生だということでした。確かに厳しそうな雰囲気を持った先生だということは一見してよくわかりました。

まず、声部を分けるために一人ずつ、檀上で発声を行っていきました。
私の番になり、先生は訝しげに「スペイン語がわかるのか?」 と、質問してきました。私の中では分かるほど分かってないし、分からないってこともないという、非常に微妙な状態だったので答えあぐねていたところ、先ほどの女の子が「その人はスペイン語、分かるよー」と、助け船を出してくれました。

ところが、今度は周りの男の子が「あっ、あいつ、あいつのこと好きなんやー!!」と、大騒ぎになり、女の子は泣き出し、先生は喚きちらし、女の子にはとても悪いことをしたなーと、思っています。
その後、その女の子は私に話しかけてくることはありませんでした…。

最初の1年は皆がそれなりの年齢で抜けてきたところをとにかく、駆け抜けた1年になりました。



aokijuku at 00:03│コメント(0)

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