2012年02月25日
ビュッケブルグ歳時記 28
教会のしている社会福祉事業と、それに対する社会の反応(前回のつづき)
このように教会が多くの社会奉仕事業を行っているドイツは、特権を持つことで優位にあると考えられがちですが、良点ばかりではないのが現状でもあるのです。教会従業員の不満から、少し大袈裟に云うと、国家と教会の共存問題に関わることでもあるのです。
ここで*箇所の説明に戻ります。現在もこれ等の組織が私営労働法の下で経営されているということは、次のように様々な問題を抱えているのです。
先ず、雇い主が教会で,その下で働く従業員には、労働組合を作る権利も、不満な雇用条件に抗争する権利(デモやストライキをする)も与えられていないのです。従順を強いられているのです。ヨーロッパ議会要項でも特別視されてまかり通っている,不思議な規律です。
そして給与も教会が決めるのです。ドイツには,連邦公務員給与表という公的な表があるのですが、教会の給与はこれに及ばない、低いものであるのが事実です。ここでの不満がどのような形で現れているかの例を挙げてみます。
住民16万人のX市には3つの病院があり、その中で一番大きい病院の支持者はDです。先月、この病院の医師を含めた従業員が、権利がないのを承知でデモを行い、数時間ストライキをしました。「他の病院と較べて低い給料で働かなくてはならない自分たちは、まるで下等従業員のようだ。教会の持つ不思議な雇用法は過去のものである。この改正を強く望む」がスローガンです。
先週は私の住む町の病院でも同じデモがありました。3万人の住民のこの町の病院もD が支持者です。
教会の名の下で行われる社会福祉施設の経営を考えるとき、必要な費用はどこから出るのかが問題になります。
昨年最後に、ドイツの国教に付いて書きましたが、その中でドイツでは、所得税の8−9%に値する教会税が課せられることを書きました。ここから「教会はお金持ち」という印象を受ける方も多いと思いますが、この税金は教会に直接ではなく、国家に支払われるのです。国家が配分するのですが、C と D には2%が与えられるそうです。その他は連邦補助金や献金で賄われるということです。教会は必要経費の10%を持つそうです。
最後に、教会税についての批判があることもお伝えしておきます。市民の全てが教会税に賛成しているわけではないのです。
・ 「国家と教会は分離すべきである」はずなのに、国が教会税を取るのは、教会が国家のもののよう見える。
・ 公的団体である教会が税金を取るということは、他の同様な団体に対しての差別である。
など、国家と教会の共存の形が変わってゆくのも間近いことのように思えます。また、教会税そのものの行方も不明です。2月1日付けの新聞記事には、ある旧教の神父が「教会は教会税無しでも生き延びられるが、それと引き換えに減る社会奉仕事業はどうするかを考えなくてはならない」との談話を発表したとありました。教会税の行方が議論に上っていることも事実なのです。
このように教会が多くの社会奉仕事業を行っているドイツは、特権を持つことで優位にあると考えられがちですが、良点ばかりではないのが現状でもあるのです。教会従業員の不満から、少し大袈裟に云うと、国家と教会の共存問題に関わることでもあるのです。
ここで*箇所の説明に戻ります。現在もこれ等の組織が私営労働法の下で経営されているということは、次のように様々な問題を抱えているのです。
先ず、雇い主が教会で,その下で働く従業員には、労働組合を作る権利も、不満な雇用条件に抗争する権利(デモやストライキをする)も与えられていないのです。従順を強いられているのです。ヨーロッパ議会要項でも特別視されてまかり通っている,不思議な規律です。
そして給与も教会が決めるのです。ドイツには,連邦公務員給与表という公的な表があるのですが、教会の給与はこれに及ばない、低いものであるのが事実です。ここでの不満がどのような形で現れているかの例を挙げてみます。
住民16万人のX市には3つの病院があり、その中で一番大きい病院の支持者はDです。先月、この病院の医師を含めた従業員が、権利がないのを承知でデモを行い、数時間ストライキをしました。「他の病院と較べて低い給料で働かなくてはならない自分たちは、まるで下等従業員のようだ。教会の持つ不思議な雇用法は過去のものである。この改正を強く望む」がスローガンです。
先週は私の住む町の病院でも同じデモがありました。3万人の住民のこの町の病院もD が支持者です。
教会の名の下で行われる社会福祉施設の経営を考えるとき、必要な費用はどこから出るのかが問題になります。
昨年最後に、ドイツの国教に付いて書きましたが、その中でドイツでは、所得税の8−9%に値する教会税が課せられることを書きました。ここから「教会はお金持ち」という印象を受ける方も多いと思いますが、この税金は教会に直接ではなく、国家に支払われるのです。国家が配分するのですが、C と D には2%が与えられるそうです。その他は連邦補助金や献金で賄われるということです。教会は必要経費の10%を持つそうです。
最後に、教会税についての批判があることもお伝えしておきます。市民の全てが教会税に賛成しているわけではないのです。
・ 「国家と教会は分離すべきである」はずなのに、国が教会税を取るのは、教会が国家のもののよう見える。
・ 公的団体である教会が税金を取るということは、他の同様な団体に対しての差別である。
など、国家と教会の共存の形が変わってゆくのも間近いことのように思えます。また、教会税そのものの行方も不明です。2月1日付けの新聞記事には、ある旧教の神父が「教会は教会税無しでも生き延びられるが、それと引き換えに減る社会奉仕事業はどうするかを考えなくてはならない」との談話を発表したとありました。教会税の行方が議論に上っていることも事実なのです。
aokijuku at 00:03│コメント(0)│