2012年01月07日
ウィーン留学体験記
今月から新たに、現在「ウィーン国立音楽大学ポストグラデュアーレコース(ピアノ)」在籍中の石井絵里奈さんの「ウィーン留学体験記」がはじまります。
今年の3月には帰国されるとのこと。これからのご活躍が楽しみです。
ウィーンに音楽留学して一年半。ウィーン便りを書いてみませんかと河辺さんからお誘い頂き、文章を書くという音楽家にとって一番縁遠いものに、今チャレンジしている私は、パソコンに向かいながら、本当に人生とは不思議なものであると感じている。
4歳からピアノを始めた私は、ピアノがうまくなりたいというただその一心で弾き続け、気付けば、東京芸大、そして大学院へと進み、その後ウィーン音楽大学に留学したわけだが、ここまで来てまさか、夜中にパソコンに向かって原稿を書くことになろうとは予想だにしていなかった。しかし、元来、私は新しいことにチャレンジするのが大好きで、人とのご縁で自分の人生は広がっていくと思っているので、拙い文章になるのは覚悟で、(皆様もご覚悟のほどを・・・)ウィーンの様子が少しでも皆様に伝わるように、書いてみたい。
音楽の都「ウィーン」。よく耳にする言葉であるが、住んでみて本当にぴったりの言葉であると感じる。まず文化レベルの高さに驚いた。初めて国立オペラ座にオペラを観に行った時のこと。人気の演目だと、まず立見席のチケットを買うために数時間前から並ぶわけだが(立見席はなんと3〜4ユーロと破格のお値段!!)、かなりご高齢の方も椅子を持参して並んでいた。そのことだけでも驚きだったが、終演後、全く知らない人同士がその日の出来について、あの場面の歌いまわしがどうやら、あの歌手の音楽性がどうやら・・・と感想を言い合っていたのだ。また、その日の主役の歌手の方は世界的に有名な方だったのだが、その日は調子が良くなかった。その代わり、あまり名前を知られていない歌手が非常に素晴らしい出来であったため、最後のブラヴォーは、その主役には全く出ず、その無名な歌手に贈られたのだ。有名、無名に左右されず、その日の出来で判断するのは、「本物」を知っているウィーンならではのことだろう。日本との違いに、またも驚いた私であった。他にも、大道芸人のヴァイオリンのうまさに驚嘆したり、駅のホームに貼ってあるポスターがほとんどクラシック関係だったことにも驚いた。こういう所を見ても、いかにウィーンでは、クラシック音楽が国民に根付いているかがよく分かる。
また、ちょっと気分転換にと散歩するのでも、この道をシューベルトも歩いたのだろうか・・・この景色をベートーヴェンも見たのだろうか・・・などと思いを馳せながら歩くだけでも楽しい。素晴らしい音響効果を持っている教会での合唱を聴けば、バッハの音色に対しての考えも深まるというものだ。毎日、素晴らしい体験をして、日本では絶対に味わうことのできない感動を知り、日々感性が研ぎ澄まされていく。また、逆に海外で生活してみてこそ分かる、日本という国や日本人の素晴らしさに気付くこともできた。こんなに幸せなことは他にないと思うが、やはり、初めての海外一人暮らし、はじめは慣れないことも多く、寂しさに負けそうになった時も多々あった。常々、私は「人は一人では生きられない」と思っているが、その想いは留学してみて一層強くなった。親元を離れてみて初めて分かる愛の大きさだったり、ウィーンで右も左も分からない私を、嫌な顔一つせず支えてくれた友人たちには感謝してもしきれない。残り僅かの留学生活ではあるが、日々感謝の気持ちを忘れず、日本人としての誇りを持ち、音楽のみならず異国の地で触れ、見て、聴いたものすべてを吸収し、毎日を生きていこうと思っている。
皆様も是非一度、音楽の都ウィーンへ・・・。
次回は、私が経験したウィーンでの行事や、感動したことについてお話できればと思っている。
今年の3月には帰国されるとのこと。これからのご活躍が楽しみです。
ウィーンに音楽留学して一年半。ウィーン便りを書いてみませんかと河辺さんからお誘い頂き、文章を書くという音楽家にとって一番縁遠いものに、今チャレンジしている私は、パソコンに向かいながら、本当に人生とは不思議なものであると感じている。
4歳からピアノを始めた私は、ピアノがうまくなりたいというただその一心で弾き続け、気付けば、東京芸大、そして大学院へと進み、その後ウィーン音楽大学に留学したわけだが、ここまで来てまさか、夜中にパソコンに向かって原稿を書くことになろうとは予想だにしていなかった。しかし、元来、私は新しいことにチャレンジするのが大好きで、人とのご縁で自分の人生は広がっていくと思っているので、拙い文章になるのは覚悟で、(皆様もご覚悟のほどを・・・)ウィーンの様子が少しでも皆様に伝わるように、書いてみたい。
音楽の都「ウィーン」。よく耳にする言葉であるが、住んでみて本当にぴったりの言葉であると感じる。まず文化レベルの高さに驚いた。初めて国立オペラ座にオペラを観に行った時のこと。人気の演目だと、まず立見席のチケットを買うために数時間前から並ぶわけだが(立見席はなんと3〜4ユーロと破格のお値段!!)、かなりご高齢の方も椅子を持参して並んでいた。そのことだけでも驚きだったが、終演後、全く知らない人同士がその日の出来について、あの場面の歌いまわしがどうやら、あの歌手の音楽性がどうやら・・・と感想を言い合っていたのだ。また、その日の主役の歌手の方は世界的に有名な方だったのだが、その日は調子が良くなかった。その代わり、あまり名前を知られていない歌手が非常に素晴らしい出来であったため、最後のブラヴォーは、その主役には全く出ず、その無名な歌手に贈られたのだ。有名、無名に左右されず、その日の出来で判断するのは、「本物」を知っているウィーンならではのことだろう。日本との違いに、またも驚いた私であった。他にも、大道芸人のヴァイオリンのうまさに驚嘆したり、駅のホームに貼ってあるポスターがほとんどクラシック関係だったことにも驚いた。こういう所を見ても、いかにウィーンでは、クラシック音楽が国民に根付いているかがよく分かる。
また、ちょっと気分転換にと散歩するのでも、この道をシューベルトも歩いたのだろうか・・・この景色をベートーヴェンも見たのだろうか・・・などと思いを馳せながら歩くだけでも楽しい。素晴らしい音響効果を持っている教会での合唱を聴けば、バッハの音色に対しての考えも深まるというものだ。毎日、素晴らしい体験をして、日本では絶対に味わうことのできない感動を知り、日々感性が研ぎ澄まされていく。また、逆に海外で生活してみてこそ分かる、日本という国や日本人の素晴らしさに気付くこともできた。こんなに幸せなことは他にないと思うが、やはり、初めての海外一人暮らし、はじめは慣れないことも多く、寂しさに負けそうになった時も多々あった。常々、私は「人は一人では生きられない」と思っているが、その想いは留学してみて一層強くなった。親元を離れてみて初めて分かる愛の大きさだったり、ウィーンで右も左も分からない私を、嫌な顔一つせず支えてくれた友人たちには感謝してもしきれない。残り僅かの留学生活ではあるが、日々感謝の気持ちを忘れず、日本人としての誇りを持ち、音楽のみならず異国の地で触れ、見て、聴いたものすべてを吸収し、毎日を生きていこうと思っている。
皆様も是非一度、音楽の都ウィーンへ・・・。
次回は、私が経験したウィーンでの行事や、感動したことについてお話できればと思っている。
aokijuku at 00:03│コメント(0)│