2011年05月15日

ビュッケブルグ歳時記 9

野菜の王様、ホワイトアスパラガス

 ドイツの5月は「歓喜がはじけとぶ月」という別名があります。長い厳しい冬がやっと去り、陽光があふれる日が一週間も続くとアスパラガスの収穫が始まります。
 日本やアメリカでは緑のアスパラガスが好まれているようですが、ドイツでは白い種類がほとんどです。
 この野菜は4500年前に既にエジプト人やローマ人が薬剤としても、美味しい野菜としてもその価値を知っていたということです。ドイツ語ではSpargel と云いますが、これはギリシャ語のsparag(ひこばえ)から来たもので、名ずけ親はギリシャ人というわけです。その後、ラテン系の人達によってasparagus(若芽)からアスパラガスと呼ばれるようになったようです。ドイツに入って来たのは1500年代です。
 アスパラガスは百合科に属し、地下水を嫌うため土を盛り上げた畝に植えられます。プラステイックに覆われているのは収穫期を調整するためです。5月の太陽の恩恵を受けると頭を出します。出した途端に収穫したものが最良とされるのです。頭がほんの少し薄い紫に色付いても商品価値が下がってしまうのです。白い種類は緑のものより少し大型です。それを傷をつけずに掘り出すのには技術が要ります。芽の脇にナイフを入れて掘るのですが、この時の姿勢は半腰です。25cm程のものを傷をつけづに掘るのには相応の力が要ることと、次の芽への移動のために腰を下ろさないのです。ドイツ人がこの重労働を嫌うため、隣の国ポーランドから毎年大勢の「堀り屋」が短期労働者として雇われます。この掘り屋への報酬もあるためか、アスパラガスは値段の面でも王様と云えます。その年の気候によって違いますが4月の終わりから始まり、何故か6月24日が掘り納めと云われています。
 こうして掘り出されたアスパラガスは一刻も早く消費者の手に渡そうとされます。新鮮であればある程価値があるのです。畑の脇にある屋台小屋で土の着いているものを買うのが一番ですが、出来ない場合は朝市で、スーパーでと、なりますが、その日のうちに売り切れるのが普通です。


 新鮮なものの料理法はごく簡単です。先頭の5cmを除いて、皮むき器でスルスルと皮を剥き、切らずに大鍋で煮るのです。砂糖と少量の塩を忘れてはなりません。春の香りのハーブを混ぜて溶かしたバターがソ–スです。好みでオランダ風ソースなどもありますが、バターだけでアスパラガスをピュアーで味わうのが一番という気がします。
 これに、塩ゆでの新ジャガイモと、付け合わせは薫製生ハムというメニュウが、この国5月の歓喜の味です!
 



aokijuku at 00:03│コメント(0)

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