2011年04月30日

ビュッケブルグ歳時記 8

 ウサギが卵を持ってくるドイツのイースター

 この時期になるとドイツの商店街のショウウインドはある動物のオンパレードになります。この動物はチョコレートなどで作られた甘い卵を抱えて道を行く子ども達に微笑みかけています。何の動物だとお思いになりますか。
 縫いぐるみ、瀬戸物、紙,木、日本のあんこに当たるマルチパンなど、様々な材料で作られたウサギです。ドイツではウサギが卵を持ってくるのです!これはドイツ特有のもので、春の女神がウサギが好きだったということや、卵が生命の起原であることとウサギの多産性をかけたことなどが理由のようです。
 子ども達は復活祭第一日曜日を心待ちにしています。卵探しをするのです。前の日に両親は、ゆで卵やチョコレート卵やその他の贈り物を隠しておくのです。クッションのかげ、本棚の片隅、傘立ての後ろなどです。天候が許すと庭が舞台になります。新芽がみどりに輝く薮のかげに、たくさんの卵の入った巣を抱えている色鮮やかな銀紙のウサギを見つけたときの子ども達の歓声は春の声と云っても過言ではないと思います。


 もう一つ、北ドイツで行われる民族習慣に「復活祭大たき火」があります。火は、太陽が地球に降りて来たものとして崇められていた時代がありました。これに準じて昔は、枯れ草を丸めて大樽のようにしたものに火を放ち、丘の上から転がすことが行われていたそうです。太陽を地上に、という象徴です。今はこれに代わり、地域毎に畑の真ん中などで大たき火が焚かれます。環境問題や安全上のこともあり主催者は管轄内の消防署の許可を得ます。燃やすものは枯れ木、枯れ草、古材木などに限定されます。又たき火の場所もそこに住む小動物への影響も考えられています。集められた材料は完全燃焼のために、経験者によって組み上げられます。
 そして月曜に夜に火がつけられます。5−6メートルの高さに赤々と燃える大たき火は周囲を昼のように明るく照らします。ここに光が闇を照らすという教訓が見えるように思えます。
 4月の末の夜は未だ底冷えがします。日中の温度が10度以上になっても夜間は零下という日が多いのです。この火を取り巻く群衆は暖かいアノラックと襟巻きに身を包んでいます。欠けてならないのは内から暖めるGLUEWEIN(赤葡萄酒に砂糖と薬味を加えて熱した酒)です。これを作るのは消防団の女性団員です。子ども達にはジュースやコーラが用意されています。勿論、焼きソーセージの屋台も出ています。地域によってはブラスバンドやビッグバンドが参加して、耳への楽しみが用意されていることもあります。
 このようにイースター大たき火は新年最初のオープンエアー行事として、大勢の市民の楽しみとなっているのです。ドイツの市民は楽しむことを知っているのです。


aokijuku at 00:05│コメント(0)

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