2010年12月01日

青森県立美術館・秋のコレクシオン展を見る。

「生誕100年記念 阿部合成の世界」を見るため青森行きの夜行高速バスに乗った。時間が節約できることと鉄道をつかうよりも価格がおやすいこともあり最近はよく夜行バスを利用させてもらう。007

 阿部合成は今年が生誕100年ということで初期から晩年に至るまでの作品を展示、創作の軌跡をたどる、とある。展覧会は28日が最終日であったのでなんとしてもこの機会は逃せないとおもっての青森行きであった。合成は「修羅の画家」という針生一郎の評伝で紹介されているが二科展に出品された作品が反戦画家の烙印をおされたことにより傷つき、戦争にも駆り出されシベリアに抑留され復員してきてからは家庭の亀裂に苦しみ自虐をふかめたが1960年代に訪れたメキシコで自分の中に眠っていた可能性をめざめさせ花開いた。2度にわたるメキシコの国立美術館での個展での高い評価は彼の生涯の中で最高に自己が解放されたときでもあったにちがいない。009

 美術館で何年振りかで見た合成のメキシコ時代に描かれた作品はどれも駄作はなく力強く凛としていた。メキシコでひつそりと個人の家にあるのもいいがこうして出生の地に、美術館の壁にメキシコで描いた作品が展示されたのを知つたとき合成はどんな思いでいるのだろうか。

 夕闇迫るころ、美術館の外はみぞれ交じりの雨が降り寒さがひとしおであった。


aokijuku at 00:05│コメント(0)

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