2010年02月03日

【JAL問題(5)】

JALは1月19日に会社更生法の適用申請を行い、法的整理が決まった。負債総額は2兆3千億円で金融機関を除く事業会社では過去最大とのこと。法的整理の決定までに時間がかかり、ここまで負債が膨れあがったのは、次のような理由によるものである。
昨年6月に資金繰り悪化で経営危機が表面化したときに、まもなくの衆院議員選挙を控えて自民党政府は思い切った手を打てなかった。
9月から民主党政権の手にゆだねられたが、JAL問題はマニフェストに掲げられていない課題であり政権内部での焦点が定まらなかった。
また労働組合を支持基盤とする民主党内部の問題として、再建のための思い切ったリストラに対するJAL8組合の反発も大きかったと推測される。
JAL再建は、企業再生支援機構の主導下で、京セラ稲盛会長が2月1日に最高経営責任者A(CEO)に就任し経営の采配を振り、歩み出すことになった。
企業再生支援機構は、JALを2012年3月期には営業黒字に転換させて、3年間で事業再生を実現し、保有株を売却し投下した公的資金に損失はきたさないとしている。ただし会社更生法適用による債権放棄で、日本政策投資銀行融資のうち政府保証分の400億円強の国民負担はただちに発生する。もし企業再生支援機構がJALの事業再生に失敗すればさらなる巨額の国民負担が生じる。
これまでマスメデアが報じてきた、JALの年金問題や私的整理か法的整理かなどの問題は全て内部事情である。燃料高とテロ・感染症による国際間の移動不安、さらにリーマンショック後の不況などによる旅客需要の落ち込み、収支悪化という航空輸送業界を取巻く厳しい環境、またオープンスカイ化による空の規制緩和と低価格航空会社(LCC)の台頭による競争激化という外部事情を克服しうる経営でなければ、現今の航空会社は生き残れない。全日空といえども昨年4月〜12月の決算は減収減益で、赤字である。
国民の足がなくなると困るとして、政府はJALを救済したわけであるが、もとから認識が間違っている。JALが経営に失敗して飛べなくなりそうであれば、参入を希望する航空会社にどしどし門戸を開き、空のベンチャーを育成して新たに国民の足を確保することで混乱をきたさないように政策を立てることが政府の役割である。そのことにより、競争力のある日の丸LCCが生れアジアの空を飛び回るかもしれない。JALの撤退した地方空港を生かしてそのような新たな空のビジネスが出現するチャンスもある。国際的に異常に高い航空燃料税と空港の発着料の引き下げ、発着枠規制の透明化などの思い切った行政措置をとり作りすぎたとされる地方空港を遊ばさずに逆に活用することで、日本の空の競争力は蘇る可能性がある。
しかし、政治が自民から民主に変わっても、頭が内向きから外向きに変わらない限りは、国民はまたツケを払わされることになりかねない。(JAL問題おわり)


aokijuku at 11:44│コメント(0)

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