2023年04月

2023年04月25日

【From America】「ソフトシェルクラブ(カニ)」

アメリカのウインドゲイト緑です。
皆さんは、ソフトシェルクラブ(脱皮したての殻が柔らかいカニ)を召し上がったことがありますか?
私の大好物の料理ですが、アメリカが本場のカニ料理です。これはアメリカ東海岸に生息するブルークラブ(ワタリガニの仲間)で脱皮したての皮というか殻というかそれがまだ柔らかい状態なので、殻も全部食べられる状態です。

ソフトシェルクラブカニと言えば固い殻を割って中の身を食べるのが日本人のカニ料理の食べ方ですね。しかし、あの作業はなかなか大変です。アメリカ人は「そんな面倒くさいことをするなら、殻まで食べてしまう方法を探そう」と思ったのかもしれません。
脱皮したてのブルークラブに軽く粉をまぶしてから揚げにします。その上にソースをかけて食べます。カリカリの殻と甘い味の中身を両方楽しめて実に美味しい食べ方です。ソースは様々でホワイトワインソースだったり、タルタルソースだったり、いろいろですが、和風のポン酢で頂くのもまた美味です。

シーズンとしては4月から9月までと言われていますが6月前後が一番のピークです。
アメリカ東海岸メリーランド州のチャサピーク湾ではカニ祭りが開催されることで有名です。私も一度は行ってみたいと思っています。

日本ではなかなかお目にかからないソフトシェルクラブですが、一度お試しになってみてください。きっと忘れられない味になると思います。

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2023年04月22日

ビュッケブルグ歳時記 295

自由で、正直なこの国の政治のあり方


 ドイツでは4年ごとに連邦議会選挙が行われます。今の議会は2021年に行われた選挙でアンペル連立党が政権を得て、政治を施行中ということは周知のことです。

 首都のベルリンは、市だけで他の州のような働きを持っている制度なのですが(このような制度はベルリンの他にハンブルグ、ブレーメン市が同じ)、2021年の選挙の折に、選挙準備に支障があり、選挙場の不備のため選挙権を持つ市民の中のある人たちは選挙が出来なかったという支障が起こったのです。そこで1年半後の今年の3月に選挙をやり直したのです。
 その結果、これまでベルリンを統治していたSPD党がわずかの差でCDU党に負けてしまったのです。


 この結果は、2021年の選挙後の1年半を”赤い市庁舎”として有名な建物の中で、良い政治家として市民からも愛されていた女性市長 Franziska Giffey(以後、F. Gi 氏とする)氏に、二つの政治街道のどちらかを選ばなければならないという基点に立つという試練の場となったのです。

 その基点とは F. Gi 氏が、

1)2021年から今までの1年半をみどりの党と左の党との連立党としての”赤い市庁舎の主、女性市長”という大きな支配権を持ち続けることを選ぶか、

2)女性市長の権利を放棄して、CDUとの連立政治を選ぶか、という歴史的とも言える決断を迫られたわけです。

 2)を選んだ場合には今までの市長としての権力を失うだけではなく、”赤い市庁舎の市長室”も立ち退き、事務室勤務となり、退職手当も支給されないという経済的にも大きな犠牲を伴うという選択だということが新聞紙上に掲載されています。

 このような状態を経て4月の上旬に、F. Gi. 氏の選択、2)が発表されたのです。


 以下は新聞に載った彼女とのインタビューの一部です。

ジャーナリスト(以下 J.): あなたが政治家になる道を選んだ理由は?
 
F. Gi. : ベルリンのNeukoelln 区を変えようと思ったからです。この区に住んでいる恵まれない青少年達と、女性の境遇を見たとき、その貧困の大きさと前途の見えない未来を救いたいと思い、24年前からSPD が適しているという確信から政治界に入ったのです。
 この区では、郊外に住む住人と、中心部に住む住人との間には倫理的な差が大きいと言われることが多いのですが、このよう差は無いことを証明しようと思ったことも、政治に向かった私の目的です。

J. : 今回の結論、CDU の下で働くという決心はメルケル前首相に相談しましか。
 
F. Gi. : 相談はしませんでしたが結果は電話で 報告しました。

J. : 彼女の反応は?

F. Gi. : 脱帽! と言われました。


 選挙をやり直す、ということも初めて聞くことでしたし、その結果もある意味で新鮮な、未来が明るくなるような政治が市民の近くにあるような話なので、お伝えします。

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2023年04月18日

【From America】「アメリカの桜まつり」

桜アメリカのウインドゲイト緑です。

日本では桜前線が北上していると思います。桜は日本人の心に響く特別な花ですね。
アメリカのワシントンDCにあるポトマック川のほとりに美しい桜があるのは日本の皆さんも良くご存知だと思います。これは日米の友情のシンボルとして1912年に日本から3000本の桜の木が贈られたことから始まっています。しかし、ワシントンDC以外にも「吉野桜」をめでる桜祭り(Cherry Blossome Festival)があります。アメリカ西海岸の桜まつりは日本人が多いことからも分かりますが、その他の州の桜まつりは、アメリカに30年も居る私にも実はびっくりすることでした。

私が現在住んでいるアメリカ東海岸のコネチカット州ニューヘイブンのWooster Squareにも桜祭りがあるそうです。ニューヘイブンと言えばイェール大学があることで日本の皆さんもご存知かもしれませんが、カリフォルニアに比べて決して日本人が多く住んでいる場所とは言えないと思います。そこに吉野桜が多く植えられていて、しかもこの桜まつりは今回で50回目というのにも驚きました。

桜をめでるという習慣がアメリカ人にも浸透して、蕾の桜、満開の桜、そして桜吹雪(これを英語ではpink Snow と呼んでいます)それぞれの美しさを堪能しましょう、と呼び掛けています。アメリカの人々が桜の美しさを知って、それを愛でるフェスティバルが開催されていることに、なんとも嬉しい気持ちになりました。

日本のように「花見」と銘打って木の下で飲食をする形までは行きませんが、桜並木を散歩しながら食べ物、飲み物、を味わうフェステイバルの期間はたくさんの人々が訪れて桜の美しさを堪能して頂きたいものですね。

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2023年04月08日

ビュッケブルグ歳時記 294

ドイツが麻痺状態となった3月27日(月曜日)


 麻痺状態となったのは全国の交通機関(汽車、電車バス、など)が、月曜の0時から24時まで警告ストライキ(以下、スト)に入ったことが原因なのです。

 翌日の新聞紙上で、地方鉄道の小さな駅で汽車を待つのは冬の名残りの雪だけという寂しい写真を見た時にはこの国のストの強硬さに驚きました。

 日本で、全国を通じて汽車が走らないという日があるとは思えないので、”そのことがある” この国の ”社会” をお伝えしてみます。


 先ず、ストについて。

 労働者が昇給や勤務時間の短縮を望んだ場合、雇い側の会社と協議するのはその会社の労働組合ということは、西側のどこの工業国でも同じことだと思います。

 この国では
 IG Metall (IGM) = 自動車製造会社のようなメタルに関係した会社連 と
 Ver. Di = バスの車掌、病院の事務関係労働者、幼稚園の指導者などが大きな組合として挙げられます。
 公務員、ある種の教師などの職には組合はないということです。

 労働組合ができたのは160年前という長い歴史があるということです。
 初めの頃は会社側からの圧力が強かったということですが、労働者の組合入りが多くなると共に、組合の力が大きくなり、今回のように全国を通じての交通機関のストにまでなったわけです。

 経営者だけが権力を持つ時代の会社が、労働者も権力を持つ時代となり、労働者の持つ一番大きな圧力がストライキというわけで、今回の全国にわたる交通機関のストとなったわけです。
 今回の24時間ストは実に31年振りということです。


 今回のストでは 2.5Millionen の IG Metall の労働者側からは10.5% の昇給と一度の500ユーロの現金支払いが要求された事項だということです。

 経営者側からは、これから来る27ヶ月には5%の昇給、2500ユーロを一回インフレ対策費として支払う、との案が出されているそうです。

 又は、少し前に行われたポスト(郵便局)Ver. Di のストの解決策、従業員全員が1回のみ1020ユーロを受け取り、インフレ対策として2023年の5月から2024年の3月まで180ユーロを支給されるという方法も解決法として示されていることも発表されています。

 そして、今回のような民間人に迷惑をかけるストが行われたことを遺憾とするとの言葉もあったようですが、会社側からは組合に罰を与えることや労働者の退職扱いなどは出来ないということです。


 最後に全国を麻痺状態に導いた今回のストを、国民の55%は ”良” として受け取り、38%が ”否” として受け取ったという結果もお知らせしておきます。

 このような国民一人一人が自分の権利を主張することが出来る国は自由のある国、民主主義の国と言って良いと思うのですが・・・

aokijuku at 00:30|この記事のみを表示コメント(0)
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