2016年02月
2016年02月27日
ビュッケブルグ歳時記 126
難民へのモビングをめぐって
このところオーストリアの国境封鎖や制度改正会議の結果から、入って来る難民の数が減っきているので、国全体の国情が落ち着いている筈なのですが、先週はザクセン州のB.市とC. 市の2市で難民に対するヘイト行為がありました。C.市では用意された施設へ行く途中の難民バスを、「我々が市民だ。おまえ達には用なぞない」とのパローレをかかげた約百人の市民が運行を阻止し、警察の出動でかろうじて入居が完了した一事と、B. 市では難民を待っていた居住施設が放火により屋根に損害を被った一件です。入居前だったので人体被害が無かったことは幸いでした。
難民救済に積極的である国としての像に傷を付けたとして、国全体がモビングを非難しています。「戦争やテロから逃れてきた人達をこのように扱うことは、我々の持つキリスト教の価値や自由尊重の精神、さらに基本法を自ら土足で踏みにじることに等しい」との憤慨が、新聞の標題です。
反面、難民憎悪の市民が増えつつあるのも事実に思えます。
AfD党(「ドイツのための選択肢党」で、2013年に発足し、右翼とみられる)が急速に伸びていることや、極右のペギダ派も共感人を増やしているからです。しかし、ある世論調査による結果を聞くと安心出来るようにも思えます。「難民問題はドイツ国民を二つに割ったのではなく、国民と右翼との間に大きな溝を作っただけである」「AfDは掃除機のように、寄って来る外国人排斥者や制度誹謗者を吸い込むだけであって、全体としてのドイツ国民は、健全な政治的判断力を失ってはいない。その証拠に、難しい立場におかれたメルケル首相を国民の54%の人が支持している。大統領指示は68%に上る」などが、証として挙げられているからです。
今回の2つのヘイト行為がザクセン州で起きたことや、ペギダ・グループの発祥地が同州の首都ドレスデンということから、何故旧東の州に外国人憎悪が多いかという疑問に対する答えも興味あることなのでお伝えしておきます。 みどりの党と左翼党は「ザクセン州のCDU(キリスト教民主同盟)とSPD(社会民主党)連立議会の施政は良くない。この連党は、旧東市民が持つ東西統合への失望が、外国人排斥への暴力行為に繋がることを忘れている。この現象には裏がある。DDR時代の独裁政治が、階級や異民族間の融合を奨励することはなかったことから、外国人労働者など、自分たちより一段低い階級の市民をワルモノとする風潮があるのを考えなければならないのだ」と云っています。一応成功したと云われる東西統合のひずみが25年後もこんな所に出ているのかもしれません。
ドイツの現在はこのような状態ですが、2、3日前からアサド政権が武器休止に賛成したという報道を聞きます。決行に疑問が多いとの但し書きはあっても、火元の解決が少しづつでも進むことは、難民問題の解決でもあるので希望が見えるように思われます。そしてこれが EU圏の安定存続に繋がると思うと、核当国だけではなく世界中が結合して実を結ぶように努力するベきだと思います。
このところオーストリアの国境封鎖や制度改正会議の結果から、入って来る難民の数が減っきているので、国全体の国情が落ち着いている筈なのですが、先週はザクセン州のB.市とC. 市の2市で難民に対するヘイト行為がありました。C.市では用意された施設へ行く途中の難民バスを、「我々が市民だ。おまえ達には用なぞない」とのパローレをかかげた約百人の市民が運行を阻止し、警察の出動でかろうじて入居が完了した一事と、B. 市では難民を待っていた居住施設が放火により屋根に損害を被った一件です。入居前だったので人体被害が無かったことは幸いでした。
難民救済に積極的である国としての像に傷を付けたとして、国全体がモビングを非難しています。「戦争やテロから逃れてきた人達をこのように扱うことは、我々の持つキリスト教の価値や自由尊重の精神、さらに基本法を自ら土足で踏みにじることに等しい」との憤慨が、新聞の標題です。
反面、難民憎悪の市民が増えつつあるのも事実に思えます。
AfD党(「ドイツのための選択肢党」で、2013年に発足し、右翼とみられる)が急速に伸びていることや、極右のペギダ派も共感人を増やしているからです。しかし、ある世論調査による結果を聞くと安心出来るようにも思えます。「難民問題はドイツ国民を二つに割ったのではなく、国民と右翼との間に大きな溝を作っただけである」「AfDは掃除機のように、寄って来る外国人排斥者や制度誹謗者を吸い込むだけであって、全体としてのドイツ国民は、健全な政治的判断力を失ってはいない。その証拠に、難しい立場におかれたメルケル首相を国民の54%の人が支持している。大統領指示は68%に上る」などが、証として挙げられているからです。
今回の2つのヘイト行為がザクセン州で起きたことや、ペギダ・グループの発祥地が同州の首都ドレスデンということから、何故旧東の州に外国人憎悪が多いかという疑問に対する答えも興味あることなのでお伝えしておきます。 みどりの党と左翼党は「ザクセン州のCDU(キリスト教民主同盟)とSPD(社会民主党)連立議会の施政は良くない。この連党は、旧東市民が持つ東西統合への失望が、外国人排斥への暴力行為に繋がることを忘れている。この現象には裏がある。DDR時代の独裁政治が、階級や異民族間の融合を奨励することはなかったことから、外国人労働者など、自分たちより一段低い階級の市民をワルモノとする風潮があるのを考えなければならないのだ」と云っています。一応成功したと云われる東西統合のひずみが25年後もこんな所に出ているのかもしれません。
ドイツの現在はこのような状態ですが、2、3日前からアサド政権が武器休止に賛成したという報道を聞きます。決行に疑問が多いとの但し書きはあっても、火元の解決が少しづつでも進むことは、難民問題の解決でもあるので希望が見えるように思われます。そしてこれが EU圏の安定存続に繋がると思うと、核当国だけではなく世界中が結合して実を結ぶように努力するベきだと思います。
2016年02月23日
【From America】「ラスベガスに車産業が参入」

ラスベガスと言えばギャンブルの街、エンターテイメントの街として世界的に有名です。言い換えれば、それがこの街の産業でほかには何も産業がありませんでした。その歴史を塗り替えるかもしれない新たな業種がラスベガスに進出することになりました。
それは「電気自動車産業」です。電気自動車の会社としては「テスラ」が有名ですが、それに対抗することが出来るような新しい自動車の生産をノース・ラスベガスで始めることになりました。会社の名前は「Faraday」。写真の自動車はコンセプト・カーということですから、こんな近未来的な車を生産するわけではないそうですが なかなか素敵ですね。
今までラスベガスで生まれる雇用は、カジノの関係の仕事、或いは建設業の仕事が主でした。しかし、この会社の進出でハイテク産業の大きな雇用が生まれると期待が高まっています。新しいラスベガスの顔になるような産業に成長してくれるか楽しみですね。
2016年02月16日
【From America】「日本イメージのガソリンスタンド」

日本をイメージして作られたものがアメリカにはいろいろありますが、今回は消えて行きつつある日本風造りのガソリン・スタンドの話題です。
先日TVで「Wadham's」という会社の赤いパゴダ形屋根のガソリン・スタンドの話題を報じていました。1917年から1930年頃に流行ったということですから、かなり古いもので 今現在はほんの数軒しかアメリカ国内に残っていないそうです。どの業種でも同じことですが、お客を集めるにはアッと驚くような話題性が必要だと考え、いろいろ工夫をしていることは今も昔も変わりません。
この写真を見る限り、私には日本風というよりもちょっと中国を連想しそうな感じもします。しかし 日本の建物も中国の影響を受けたものが多いですから、屋根のカーブや赤い色は当時のアメリカ人にはエキゾチックな東洋の雰囲気が大いに伝わったことでしょう。
今でこそ、ガソリンは一円でも安いところで給油することが一番の目的で ガソリン・スタンドはどこも同じ形だと思いますが、当時はガソリンの価格より珍しい変わったところに行くことでお客を呼び込んでいたのかもしれませんね。
2016年02月13日
ビュッケブルグ歳時記 125
「選挙に行く」に関して
二つの情景に気が付きました。
一つは、日本では今夏の参院選から、選挙権が18歳に引き下げられたと聞きます。その理由を探った所、1. 世界190国の9割の国の選挙資格が18歳であること 2. 2014年の参院選で若者の選挙率が最低であったことが挙げられています。そしてあるお役人は、「政治に若者の声を活かそうとの主旨からの改正であるので、有権者の大人は皆選挙に行って若者に手本を示そう」と言って奨励していました。
二つめは、有権となる18歳若者たちへのインタビューです。そこでは「選挙には行かない」との否定意見が42%で、「どの党に入れていいか判らないから」が、最も多い拒否の理由でした。
この2つの情景の間に大きなギャップがあることに気づくのはわたし一人ではないと思います。少し飛躍するかもしれませんが、この食い違いは、政治施行者と民衆が理解し合っていないことからくる、「政治と市民が密接していない社会」にあるように思われるのです。度々書いたことですが、ドイツでは政治が生活に入り込んでいるので皆がそれぞれの意見主張をするのが普通ですが、日本では依然として政治は”政治家がするもの”として存在し、市民は選挙後は、口を出さ(せ)ないものとして、特別な集まり以外は除けて通ることが多いように感じます。ここから若い人達の政治に対する知識が不足し、関心や興味が育たないのでは、と言えないでしょうか。政治をもっと良く知ることで参加する意欲が湧くいうこともあると思うのです。
そこからギャップを無くすためには、市民が政治に参加する社会作りが必要になりますが、そのためにはそれを作る子ども達、若者を育てることが基礎となり、終点は教育となります。
ドイツの学校教育では、共同体系教育の一環として Politik 教科が行われます。「生徒の社会認識を形成し、市民としての生活資質を育てること」が目的で、政治体系や経済・法律秩序を学びます。政治の時間に教師が支持する方向を示すことは禁止されていますが、教師の服装(この国では教師の服装は、日本と違って自由です)からその教師の支持政党を憶測するのも容易です。
この教科の授業に時事問題が多く取り上げられるのも特徴として揚げられます。パリ・テロの後、小学校6年生の生徒がいろいろ話をした後で、「・・でも、ドイツは武器をあの辺の国にたくさん売っているって今日の授業で習ったンだ・・」と、疑惑のある顔つきで言ったのを聞いた時には、ネガテイブな面も教えているのだと知りました。
ポシテイブな面としての例は:M市の一高校に今学期からインターナショナル・クラスが設けられました。これは11人の難民の子ども達のためのクラスで、ドイツ語習得授業が主な目的とのことです。このクラスのために学校側からは8年生から上の在校生徒達に、Pate役(これは、子どもの洗礼の時に両親の代わりに立ち会い、子どもの成人時迄、代父(母)を努めることを約束する制度)を募集しました。わたしの教え子の14歳のエミリーも応募し、難民の子ども達がドイツに慣れる手伝いをする積もりだと云っています。
このように学校教育で実際面での社会奉仕を体験させるのです。良い意味のsozial 風景だと思います。ここから「密接な社会と市民の関係」が育つように思えます。
二つの情景に気が付きました。
一つは、日本では今夏の参院選から、選挙権が18歳に引き下げられたと聞きます。その理由を探った所、1. 世界190国の9割の国の選挙資格が18歳であること 2. 2014年の参院選で若者の選挙率が最低であったことが挙げられています。そしてあるお役人は、「政治に若者の声を活かそうとの主旨からの改正であるので、有権者の大人は皆選挙に行って若者に手本を示そう」と言って奨励していました。
二つめは、有権となる18歳若者たちへのインタビューです。そこでは「選挙には行かない」との否定意見が42%で、「どの党に入れていいか判らないから」が、最も多い拒否の理由でした。
この2つの情景の間に大きなギャップがあることに気づくのはわたし一人ではないと思います。少し飛躍するかもしれませんが、この食い違いは、政治施行者と民衆が理解し合っていないことからくる、「政治と市民が密接していない社会」にあるように思われるのです。度々書いたことですが、ドイツでは政治が生活に入り込んでいるので皆がそれぞれの意見主張をするのが普通ですが、日本では依然として政治は”政治家がするもの”として存在し、市民は選挙後は、口を出さ(せ)ないものとして、特別な集まり以外は除けて通ることが多いように感じます。ここから若い人達の政治に対する知識が不足し、関心や興味が育たないのでは、と言えないでしょうか。政治をもっと良く知ることで参加する意欲が湧くいうこともあると思うのです。
そこからギャップを無くすためには、市民が政治に参加する社会作りが必要になりますが、そのためにはそれを作る子ども達、若者を育てることが基礎となり、終点は教育となります。
ドイツの学校教育では、共同体系教育の一環として Politik 教科が行われます。「生徒の社会認識を形成し、市民としての生活資質を育てること」が目的で、政治体系や経済・法律秩序を学びます。政治の時間に教師が支持する方向を示すことは禁止されていますが、教師の服装(この国では教師の服装は、日本と違って自由です)からその教師の支持政党を憶測するのも容易です。
この教科の授業に時事問題が多く取り上げられるのも特徴として揚げられます。パリ・テロの後、小学校6年生の生徒がいろいろ話をした後で、「・・でも、ドイツは武器をあの辺の国にたくさん売っているって今日の授業で習ったンだ・・」と、疑惑のある顔つきで言ったのを聞いた時には、ネガテイブな面も教えているのだと知りました。
ポシテイブな面としての例は:M市の一高校に今学期からインターナショナル・クラスが設けられました。これは11人の難民の子ども達のためのクラスで、ドイツ語習得授業が主な目的とのことです。このクラスのために学校側からは8年生から上の在校生徒達に、Pate役(これは、子どもの洗礼の時に両親の代わりに立ち会い、子どもの成人時迄、代父(母)を努めることを約束する制度)を募集しました。わたしの教え子の14歳のエミリーも応募し、難民の子ども達がドイツに慣れる手伝いをする積もりだと云っています。
このように学校教育で実際面での社会奉仕を体験させるのです。良い意味のsozial 風景だと思います。ここから「密接な社会と市民の関係」が育つように思えます。
2016年02月09日
【From America】「スターウォーズ映画」

世界中に映画「スターウォーズ」のファンがたくさん居ることと思います。お待ちかねの最新スターウォーズが幕を開けましたね。私の周りでも、子供の学芸会を抜け出してスターウォーズのプリミアに出掛けたというお父さんの話などを聞きますので、その熱狂的な人気のほどが伺えます。
TVでもスターウォーズの話題が多く報じられていますが、先日 ダース・ヴェイダーの形は日本の侍の鎧と兜をイメージして出来上がったものだ、という話をしていました。写真二枚を見比べるとはっきりとそのシルエットが重なります。確かにスターウォーズのコスチュームも日本の着物をイメージしたことが伺えますね。
こうして考えてみると、今でこそ海外で「日本ブーム」と騒がれていますが そのずっと前から映画の世界では日本ブームが巻き起こっていたということが出来ます。
日本の皆さんも最新のスターウォーズを楽しんでくださいね。