2009年10月26日
【From America】 「英語が出来ない方が得?」
私は日本への一時帰国に米国系航空会社を利用しています。本当は日系航空会社を利用したいのですが、お値段の関係でお財布と相談の上、いつも米国系になってしまいます。
最近のある一時帰国の時のお話です。ラスベガスからロサンゼルスまでの国内線は順調にゆき、ロサンゼルスから成田への国際線に乗り換えました。皆、シートベルトを締めて、さあ出発、という時に機内アナウンスがありました。「窓際のお客様は窓からご覧になっていたかも知れませんが、今、空港内の小さな車がこの飛行機のエンジンにぶつかってしまいました。これから修理をしますので、恐れ入りますが皆様手荷物を持って一旦ロビーにお出になってください」乗客は皆あわてることもなく静かにロビーに出ましたが、パイロットやフライト・アテンダントが荷物を持って降りてしまったことから察して「これは簡単にはいかないだろうな」ということは素人の私にもすぐにわかりました。
案の定、エンジンの修理不能、代替の機体見つからず、と言うことで、その日の成田行きフライトは欠航となりました。係員の指示に従って、チェックインした荷物をターンテーブルから引き取り、次のフライトの予約を取り直すことになりました。家族や友人と一緒の人たちは、手分けをして荷物を受け取りにいく係りと予約を取る係りとの二手に分かれました。しかし、たった一人の私は先ず荷物を取ってから予約の列に並んだら、最後から10人目くらいになってしまいました。
次々にこのフライトの乗客達は、同日夜出発の便に振り替えてもらい、休養をとるべく航空会社の用意してくれたホテルへと向かいます。しかし、列の最後のほうに並んだ私の番はなかなかやってきません。やっと予約カウンターが見えてきた辺りで、日本人の若い女性4人組が自分たちの番が来ているのに、後ろの人達に「お先にどうぞ」と手招きをしています。いよいよ私の番になりました。「アナタ達どうぞお先にいらしてください。さっきから随分大勢の人を先にして上げているじゃないですか」と言いました。すると「いいえ、私たちは英語が出来ないので、日本人係員の応対してくれる順番を待っているのです。日本人の人は一人しかいないので、その方があくまで待っていますから、いいんです。どうぞお先に」私はお礼を言って、その人たちより先に予約係に振り替えのフライト手続をお願いしました。最初の提案は2日間もロサンゼルスに滞在した上にロス-ダラス経由-成田の便しかない、と言います。他の方法はないのですか? と尋ねると「ちょっと待ってくださいよ。ああー、一席だけ明日の朝6時の便でシカゴに行って、そこから成田に行く便に空席があります。良かったですねえ」と言われ、私はなんと運の良いことか! とばかりに大喜びでその提案にOKを出しました。
その後 やっと航空会社の用意してくれた空港近くのホテルにチェックインをしました。もうヘトヘトです。「明日の朝は6時のフライトだから午前4時に空港に来るように」と言われたので、目覚ましのセットは午前2時半くらいかなあと思いながら、航空会社から貰った10ドルの食事券を片手にロビー階へ行こうとすると、エレベーターの前でばったりあの四人組に会いました。「あら、またお会いしましたね。先ほどはありがとうございました。貴女方どうされました?」ニコニコ顔の四人は「はい、お蔭様で私たち明日の昼出発の日系航空会社ロス-成田直行便で帰ることになりました。今から明日の昼まで、このホテルで大いに楽しむことにします」「あら、良かったですねえ。私は明日の朝4時に空港に行って、シカゴまで飛んでそこから成田なんですよ。私も貴女たちと一緒に、日本語しかできない、って言って、日本人の係の方にお願いすれば良かったかしら。失敗しちゃったわ。でも、お互いに無事に日本に帰れることになって良かったですね」といって別れました。
予期せぬ緊急事態が発生した時、日本の「菊のご紋章」が付いたパスポートは水戸黄門様のご紋章と同じで大いに力を発揮するのですね。そして「日本語しか出来ませ〜ん」と開き直ってしまうのも一策であることを学びました。しかし後から考えると、エンジンから火が出たりしたら一大事でした。不幸中の幸いで、どのルートであれ無事に日本にたどり着けたことに感謝しました。
midori_windgate at 11:59│コメント(0)│