【ドイツ在住ピアニスト】

2020年08月22日

ビュッケブルグ歳時記 233

今、一番望まれているもの

「 ここに一つの注射器があればそこから希望が湧き出すのに」
 これは8月10日の月曜日の朝刊の注視点誌面の見出しです。そして、「今は数え切れないほどの薬剤研究者が全世界で Covid-19 に対する予防注射液を発明するべく研究を重ねていて、その誰もが第一人者となりたい希望を持っているのは想像に難くない」と続いています。

 今ドイツでの研究者の頂点に立つのは  Tuebingen 市にある大学の熱帯医学部部長 P. K.氏で、彼の研究成果についての記事をご紹介してみます。
 彼は今ちょうど、CVO7050101と名付けられた、99人目の人体実験者に彼の見出した予防接種液を実験注射したところで、この予防液の将来は全てが明るい見通しだとの声明を発表しています。Tuebingen 市はこの国で予防液研究所として期待されている4つの中の一つで、最近、国から300Million ユーロの援助が支給されたということです。 

ここで Sars - CoV-2-Virus に対する予防液の今までの実際の成果を見てみると、世界健康体制機構 (WHO) が発表した先週の数字では165種の登録があり、その中の26種が臨床(人体)実験を済ませているということです。ここに示されたテンポは驚くばかりで、今までの10年から15年という条例を遥かに越しているとあります。しかしその反対の例もあることを忘れないようにとの注意書きもあります。 
 その例として挙げたいのは7月の末に英国と中国の学者が、Covid-19 病に似た病気の患者は人間の免疫反応を抹消したと発表したことが示しているように、簡単に似た症状から予防液研究の大切さを誤診する例もあることを忘れてはならない、との注意書きの後に続くのは、「予防液発見の世界的競争は、初めは同僚間での親睦感に満ちたものであったのが、今では国同士の勢力争いとお金の問題になっている」とあります。 

 そして、この発言の証拠のように2日後の8月12日の新聞には「モスクワはスプートニックVをコロナヴィールスに対する最初の対症薬として認める」=「ただし決定的なテストは行われていないが」との記事がのり、プーテイン大統領がこの予防薬を自分の娘に注射したとの記事が載りました。そして9月には毎月Million に及ぶアンプルが製造され、教師、医学関係者を最先優遇者として予防液として使用する。そしてこの成果が世界中に伸びる折はそれに応じた莫大な儲けになるとの記事です。 

 そしてトランプ大統領も11月の選挙までにはアメリカでも予防注射液が発見されると発表しているとのことです。

 EU 圏でも14Milliarden という巨額の予算が許可され、その内でドイツもすでに登録されている予防液もあるのだが、多くの感染者を救うにはそれだけの注射液を製造することが必要だし、予防注射を受ける順番の問題も解決しなければならないことであるとして、予防注射は発見だけではなく、その行く道にも問題が大きいことを示しています。

 最後に、ある新聞の政治揶揄漫画をお見せしたいと思います。
 大型軍隊トラックの上には、ミサイルの代わりに巨大な予防液の入った注射器が乗せられていて、その針先は進む方向の反対を向いています。その横には(プーテインと思われる)一人の男性がスイッチ機を持っていて、「一番!」と言いながらクリックしようとする画です。この絵の画名は「ワクチンの軍備拡張競争」です!!!

aokijuku at 18:33|この記事のみを表示コメント(0)

2020年08月08日

ビュッケブルグ歳時記 232

今年の休暇

 この国の人たちの休暇に対する考え方は全く徹底していて、多くの人は夏の休暇のために1年間働いているような感じがあります。毎月、きちんと休暇用の費用を貯金して、ほとんどの人が夏が来ると太陽と海のある亜熱帯地、例えばフランスの海岸、スペインの地中海沿岸、イタリアやギリシャの海に浮かぶ島々、滞在費の安いトルコの海辺などで2−3週間、休暇を過ごすのです。

 この長年にわたる休暇の習慣が今年はコロナパンデミーのため狂ってしまったのですが、休暇希望者側と受け入れ側の運営経済を考える必要からか、コロナ規制が緩和されると同時に格安の航空機関も飛ぶようになり、多くの人が南の方向、とくに地中海に浮かぶマヨルカ島やトルコ海岸へ出かける人々が多いことがTVで報道されると、休暇にゆく人の良識を疑いたくなります。これらの地方がコロナフリーというわけではないからです。特にマヨルカ島はドイツと英国人の好む休暇地で、この二つの国の人がそれぞれに集まって、毎夜、馬鹿騒ぎをするバラマンと呼ばれる地区があり、今年もコロナ警戒が出されているにもかかわらずアルコールの消費が大きいパーテイ騒ぎが続き、あまりの騒ぎに当地の担当者からの警告と該当国の呼びかけで、この地域のバーや飲食店が閉店を強いられたと報道されました。このような障害があっても休暇に行く人たちが居ることに、休暇欲求が深く住みついていることがうかがえると思います。 

 このような休暇に対する考えが今年は変わってきているとの報道も多くあります。43%の市民は夏の休暇を中止とする。その中の25%が他の形の休暇を考え中ということで、その多くが外国に飛ぶことよりも、国内の良い所、風光明美な所を再訪問するなど、それぞれが特徴のある案を練っているようなので、例をお知らせしてみます。
 *ミュンヘンに住むカーロとハネスのコロナ前の計画はバルカン地方訪問だったのですが、急遽変更。「バルカンの代わりにバルコニエン滞在」と変えたということです。ここにはある冗談があるのです。ドイツ語では良く国の名前に ・・・ニエンとnien がつくことが多いのです。例えばブルガリエンとかアルバニエンとかクロアテイエンというふうに。そこから自宅のバルコン(バルコニー)にnien を付けてバルコニエンとして、あたかも外国の名のような呼び方をして結局は自宅滞在を意味するというわけなのです。そして近くに住む両人の両親を訪問し、数日を彼らと共に過ごすという家族訪問休暇を計画中。

 *レアと彼女の母親の旅はベルリンとバルト海を繋ぐ湖海岸で、水、水、自然界、それに続くのは又の湖というもので、彼女たちは泳いだり、カヌー漕ぎをしたりと体力養成の健康休暇となった。
 *クラウスは毎朝早起きをして、望遠鏡を持って近くの公園に急ぎます。何が目的かと言えば、最近になって街に戻ってきた鳥を観察し、彼らの歌声を聞くためです。近くの農作地では殺虫剤が多く巻かれるため、昆虫がいなくなったことが原因で野鳥が街に戻ってきて、姿とさえずり声が多くなったからです。

 このブログを書いている途中に、コロナの第2流行を防ぐためのテスト命令が出ました。
 1 8月8日の土曜から危険性のある地域からの帰国者は全員コロナテストを受けること。
 2 ドイツのほとんどの空港にテスト場がある。
 3 出国の地でもできるが48時間以内のものであること。
 4 この事例に反した者には罰金を科す。
 5 危険性のある地域とは130の国を指す。その中でも特に注意されるのはエジプト、
   トルコ、スペイン、ベルギーの諸国。
 

 この指令でコロナ第2波が防げることを切に願いつつ・・・

aokijuku at 15:27|この記事のみを表示コメント(0)

2020年07月25日

ビュッケブルグ歳時記 231

興味ある数々の示唆

 コロナは依然として蔓延っています。アメリカとブラジルを先頭に世界中に猛威を奮っているヴィルスですが、ドイツはあれこれとあったにもかかわらず、ちょうどコロナの期、2018年から連邦健康大臣の役についていたCDU(キリスト教民主同盟で、SPD( 社会民主党)との大連党で現在の与党)に属するJens Spahn (イエンス スパーン 以後 SP と略す)大臣の処置に大方の市民が満足しているとの声が大きいドイツの現在の様子をお伝えしたいと思います。

 コロナ以来、健康大臣(日本ではこの名目を聞いたことがないように思われるのですが)SP氏とは国民全部がメデイアを通じて知り合いになったと思われるとき、ある新聞記事に40歳とあり、ずいぶん若いのに良い活躍をしているのだなあと感じて、彼の経歴を見てみました。

 Abitur( 高校卒業及び大学入学資格試験)の後、大学には行かず、仕事と勉強を同時に行う, ドイツ特有のDuales Berufs Ausbildung システム で、銀行業を学び、傍ら、政治学を学んだとあります。そして1997年にCDU に入党、2014年に議長の席につき、2018年に健康大臣に任命されたというのが彼の大雑把な政治関係の履歴です。
 ここで注目するのは大学学習だけが学習方法ではなく、仕事と勉学を同時に行う二進法が同じ価値を認められているこの国の社会を認識するのも示唆ではないでしょうか。

 SP氏のおおよそのコロナ対策は次のようなものだということです。
 *2020年3月半ばに大きな模様し物の開催を禁止。*次いで幼稚園、学校、を閉鎖。*口と鼻からの感染予防のためにマスク着用を義務とする。*Handy Ortung適用。

 そして第2の示唆は「2017年12月22日に、配偶者夫のD. F. 氏と結婚届けをしている」との経歴を読んだときには、この国は民主主義の国だとの意識を強めたことです。ちなみに同性カップルが認められたのは2001年で、結婚が正規になったのは2017年の10月からです。 

 ここで思い出すのは2001年にベルリンの市長であり州長(ベルリンは市が州の役割をする)となった Wowereit 氏が当選発表の席で、「わたしはゲイです。そしてそれで良いのです!」と公表した最初の政治家であったのです。
 彼の outing の後、5年後には国民の79%がホモ大臣を認めるという世論になっているとのことで、 SP 大臣の同性との結婚もこの国ではどうということもなく受け取られているのです。

 こんなときに、少し古いのですが、2017年5月の日本の新聞が目に止まりました。「性的少数者の授業」という見出しで、男性の体で生まれ、女性として生きる学生を日本女子大が受け入れるかどうかの討論記事なのですが、「女子大入学拒否は違憲?」との見出しを見たときは驚きました。日本では人が自分として生きる
権利は持てないのか、と思ったからです。性がどうあっても、その人の教育を受ける権利は国民の持つ根本権利ではないのでしょうか。
 トランスジェンダーは認めても、教育の自由は認めないというのはどこかに間違いあるように思われます。性的少数者への教育自由は当たり前のことではないのでしょうか。1日も早くこれが認められる日本であるように願います。これが次の示唆です。

 最後の示唆としてあげたいのは、「パンデミーがわたしちに教えてくれたことは、一つの国は Sozialstaat( 社会主義的国家)でなければならない。例えば健康管理や看護に関しても、費用に関係無くその人に合った待遇を受ける権利を我が国の国民は持っている。これは世界中でも珍しいことである」とのSP 氏の言葉から、保守政党に属していても社会的な階級段差を避けている言葉として受け取ると、良い示唆のような気がするのです。

 数々の示唆を挙げましたが示唆の真意が正確に理解されることを願いつつ。



aokijuku at 00:30|この記事のみを表示コメント(0)

2020年07月11日

ビュッケブルグ歳時記 230

歴史上最高額の対コロナ救援金

 コロナヴィールスは完全に退治されていなくても、自粛が緩和されると同時に被った様々な被害の援助のための案が提出され、特に今後の健康管理、職業現場確保、そして国の経済情勢を取り戻すための援助案が出されて、状況向上を図ろうとする努力がなされている様子を大雑把ですがお伝えしてみます。

 表題の史上最大の援助額とは、353.3Milliarden( 1Md は10億)で、そのプログラムはおおよそ次のようなものです。
1. 自営業者の社会的保安のため、相応の援助を6ヶ月間する。
2. 小自営業者(労働者十人まで)や雇用関係にない自由業者や中小企業経営者へ3ヶ月間の援助をする。
3. 最も多額を要するのが経済界安定のための大企業へのフォンズなどの援助金。
4. 健康管理としてコロナへの種痘薬発明費などの研究費などの援助。


次は税金に対する免除案で、
1. 付加価値税が今までは19%(物によっては7%)だったのが、7月1日から12月31日まで16%(5%)となる

その他の援助
1. 家族のための援助として、子供ボーナスと名付けられた、子供一人につき300ユーロが一回のみ支給される。
2. 貧困者へは家賃の援助。 

 この他に温暖化対策や未来への技術発展や消費経済復活、などへの費用への援助も挙げられています。 

 このようなプログラムに対する批判が多いことも、事情を考えるともっとだと思われます。
 自分の技術で生活を成り立てているジャズ・ピアニストは、即刻援助として2500ユーロを貰ったが、8月末までコンサートは禁止されているし、クラブやバーも閉店していては生活が成り立たないと嘆いていますし、ホステル(ホテルとモーテルが同居している宿)経営者は、開店許可が下りてもヴィールスを恐れて客は来ない。それに宿を無人にしておくと、備え付けの物質を盗まれることになり困っている。また酒場などの経営者は閉店命令と同時に8000ユーロを貰ったのだが、開店許可が出て開けてみると、客は30%しか来ないことがわかった。この状態が続けば3ヶ月後には破産閉店するより仕方がない、などの不満が実際の状況のようです。                                                                     そしてこの国は自分の国だけを援助するだけでなく、EU圏の保持のためにも援助をしなくてはならないのです。
 昨日、メルケル首相がコロナ自粛が溶けて初めての国境を超えてEU議会に出席し、EU援助の交渉スタートの演説を行ったことは日本にも報道されていると思います。

 現在1850Milliarden ,2027年には1.1 Billion ( 兆) という膨大な額のEU援助金の使用法をまとめる出発点に立って、「パンデミーは我々の持つ基本権利を奪うことはできない。これはヨーロッパが一体となって団結することによって防ぐことができる。そのためには急がなくてはならない」という彼女の演説にはオーストリア、オランダ、デンマーク、フィンランドの四つの国を除いてのスタンデイング・オベイションがあったと報道されました。

 わたしのような一主婦は、出てくる巨大な援助額に驚き、この国はお金持ちなんだなあと一応安心し、援助の効果がなるべく早く、均等に出てくるように願うばかりです。

aokijuku at 00:30|この記事のみを表示コメント(0)

2020年06月27日

ビュッケブルグ歳時記 229

新しい法規、Antidiskriminierung


 日本にも報道されたと思われるアメリカで起こった警察官による黒人殺人事件は、この国に大きな波乱を巻き起こし、コロナの残した残骸処理に追い討ちをかけるように国内の安全を脅かすような事件が続く2020年6月のこの地の近況をお伝えしてみます。


 ドイツでは、今だに第2次世界大戦でのナチスによる民族純血主義に伴う非行が影を残しているため、 Rassismus (人種差別主義)には、どんな場合にでも非常に敏感な反応を示し、この主義の駆逐に励むのがこの国の課題です。
 今回のアメリカでの事件は、被害者が黒人であったということと、 犯罪 人が警察官であったということで、人種差別と国家安全機関の警察制度という二つのテーマが、この国の政治に大きな影響を与えたように思われるこの頃なのです。

 米國の事件の後は、ドイツの数都市ではRassismus 反対の大きなデモが行われ、この国の国際友好が叫ばれていました。ただ、新聞、雑誌、TVなどのメデイアでは時折、肌の色の違う学生や、宗教の違う人や難民として入国した人々が、自分たちが置かれている本当の世相状態を告白するニュースも多々、目に入ったこともお伝えしておきます。

 このような時、6月4日に都市州のベルリンの議会で、表題Antidiskriminierung と銘打つ法規が可決されたのです。この法規の意味は、 Anti は反対とか否定という意味を持ち、Diskriminierung は人種、差別などによって不利になるような差別をすることを意味します。差別待遇禁止法律です。ですから今まで警官が、外国人や、自国人でも挙動に不審のある場合には、そのような不審点を持つ市民に対して排斥挙動をしていたことを禁止する法律が作られたわけです。 LADG と呼ばれるばこの法規はドイツで初めての形で、人種差別だけではなく階層による差別とか慢性不具者に対する挙動も含まれている、警察官への自重を促す法律なわけです。そしてこれを差別されたと思う側から見ると、市民という共同体を守る法律であり、組織上の機構に対する権利を持つことを意味するという解釈もできるわけです。
 警察官から侮蔑対応をされたと思う市民は裁判に訴えることができ、訴えが通った時には相応の見舞金というか賠償金が受け取れるということです。 


 遅れてしまいましたが、ドイツでは警察機関は、教育機構と同じように各州が全権を持つ州行政なのです。これだけが原因ではないかもしれませんが、この法規に対する各州からの賛否意見は様々で、バイエルン州からは以後、ベルリン警戒のための派遣警官送付(首都ベルリンでの外国からの来客安全装備の時とか、大規模なデモ警備には、ベルリンの警察官だけでは不足なので、他の州から多くの警官が援助のために派遣される)はしないなどと強硬な態度の州も多くあるようです。
 そしてアメリカの警察官は1年間の教育、ドイツの警察官は3年の教育期間であると優劣を云々したりすることと、警察機構の成績をコントロール(試験する)機関はドイツにもフランスにも無いが、英国では Indipendent Office for Conduct という民間の組織があり、警察仕事をコントロールしている。この国でも見本としてこのような機構を作るべきだという建設的な意見が目に止まりました。


 このような問題で混沌としている時、6月20日の夜、南のB.W州の首都シュトットガルトで、500名の21歳以下の若者による暴動が起こったのです。
この州は知的階層が多く、世界に開けた平和州として通っているところでの暴動には国全体があっけに取られたという状態なのです。Video に移された暴動群れの警官に対する暴力を見ると、上記の志向の反対を行っていることがわかり、どう考えて良いのか混沌としてしまうのです。
 コロナ騒ぎのため、スポーツクラブやトレーニングセンターなどが使えないことから、若者たちが溜まっていたネルギーを憤怒や攻撃力として発散した事件で、政治的理由は見られないとのことがせめてもの慰めですが、このようなことは法治國にはあってはならないことであるとして、24名の逮捕者、負傷警官19人という事件の行為者には重い刑罰を与えると報道されています。


 世相が、このように混沌としている今のドイツです。




aokijuku at 00:30|この記事のみを表示コメント(0)
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