【ドイツ在住ピアニスト】

2023年09月23日

ビュッケブルグ歳時記 305

終末ーRudi によって希望が戻ったーNagelsmann が建て直してくれる!


 これが9月9日に行われた日独親善のサッカー試合で4:1で日本に負けてしまった後に新聞を賑わせた表題です。
 サッカー競技はしばらくの間はドイツは強くて、国技として誇らしく扱われていたのですが、少し前からもっと強い国がー日本のようにー出てきて対策が考えられていた所だったのです。

 Blog 257に書いたようにしばらくの間、ドイツに勝利をもたらせていた連邦監督Yogi が引退した後、副監督だったHansi Flick が昇格していたのですが、その時から約5年間、成績が下がってきて、今回の対日本戦での敗北には選手だけではなく国中が大きくため息をつき、失望していたのです。


 今回計画されていた親善試合は、対日本の後、対フランスも計画されていたのです。4:1という惨めな成績をみたサッカー協会は、敗北の次の日の10日、日曜日に早速 Flick を解雇しました。

 そして対フランス戦の監督にはRudi Voellerという、昔の英雄(?)を起用したのです。この ”Rudi” と呼ばれて今でも国民から親しまれている人とは、63歳になる昔のサッカー選手なのです。
 77ー96年の間は独 仏 伊国のチームで技を磨き、1999年にはドイツを世界選手権戦で一位にした功績のある人ということです。
 2002年に日本/南コレアで行われた大会ではドイツは最後まで残りブラジルと戦い0:2で敗れ、残念ながら2位となったそうですが。
 このような経過を経て、現役を引退後は、監督役を務めたり、サッカー協会の役員も行っている人なのです。

 そして髪も髭も真っ白になった、”ドイツのサッカーの救い主 Rudi” の指導により、 今回も世界選手権2位を持つフランスとの親善競技に2 : 1 で勝つ結果になったのです。
 ”希望が帰ってきた” と選手たちだけでなく、国民もホッと息を吐き、将来のサッカー競技に希望を託している今日この頃です。


 そして次の連邦監督としてほとんど決まりかけているのが、36歳のJurian Nagelsmann になるだろうと、ある新聞が報道しています。
 その記事によると彼はすでに2024年にドイツで開かれる EM (ヨーロッパ選手権)までの契約を手にしていて、その契約によると月に400000 ユーロの契約になっているということです。(この額は前任者 Flick のもらっていた6Millionen には及ばない額であるが)とのただし書きがついています。

 サッカーをめぐる契約の話になってしまいましたが、驚いたのはNeymar がサウジアラビアに移動し、シーズンごとに150Millionen をもらう契約だととの記事です。

 競技と報酬の関係に驚くばかりです。

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2023年09月09日

ビュッケブルグ歳時記 304

性別問題・・・All Gender Toilet


 という写真付きの「今日のテーマ」という記事が、8月末の新聞に載っているのが目につきました。
 この記事の内容をお伝えしてみます。


 この記事の副題は ”性別:自らの決断” で、連邦政府のアンペル連合党は14歳になった少年少女は自分の性別を決定することが可能という新しい案で、1980年からの法の更新案を議会に提出したとの内容です。

 その内容とは:

* 今までの男女という2元規則では性別を変える場合、心理学者の鑑定書や裁判所の判定が必要であった。これらを得るには長い時間、精神的な心理状態の暴露や膨大な経費が必要であった。

* どの点を変えるかというと、上記のように医学的にも、精神的にも長い時間をかけた経過がなくても、本人の希望と確言があり、それを戸籍役場に登録すれば性の変更が認められる。

* 未成年者は自己の性別を自分ですることは出来ない。しかし保護者が性別変化の理由を戸籍役所に届ける場合は可能である。
  14歳以上の場合、その両親や保護者が子供の意に反対することは出来ない。それが出来るのは少年保護局と家庭裁判所。  

* 保守党派の意見は、この法規が通ると、さまざまな濫用が蔓延ることが心配になる。例えば男に生まれた人物が偽りの女性になって婦人用の着替え室や婦人専用救助家に入り込んだりすることで、女性を守る場所や機関などが脅かされる恐れあり、との意見が多くある。

* これらのいわば反対意見に対してのアンペル連合党の反応は、新しい法律には1年間の停止期間をもたせることを主張している。これは家宅不可侵権が性を変えた人間の要求より重いことを意味する。

* この新しい法規に当てはまる Lesbe (女性の同性愛者)、Schwule (ゲイの)、bisexuelle (両性の)などの人たちの反応はとても大きく、1日も早く議会を通ってくれるようにとの賛成意見が挙がっている。


 日本ではまだ同性間の結婚は認められてていないと思いますが、この国ではすでに、普通の結婚と同じ条件での結婚が認められているのです。

 この記事から思いつくのは人権ということです。去年の日本の新聞で、男性から女性になった人の女子大学への入学の是非を読んだことが思い出されるのです。
 憲法では教育は全国民に与えられた機関だと思います。その機関に受け入れられない性変更者の未来が少しでも早く好転するようにと思いながらのBlogです。

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2023年08月26日

ビュッケブルグ歳時記 303

ドイツの学校休みについて


 温暖化のためか高温度に晒された今年の8月を、苦もなく過ごしている生徒の夏休みを見ると、「休み」ということの意味が日本と違うように感じられるので、今回はこの国の学校休暇についてをお伝えしてみます。

 ”学校休暇” とはラテン語の ”feriae” = 祝祭日からきた言葉で、元気回復とか休養を意味し、これは勉強に励んだ生徒達への言わばご褒美を意味する言葉なのです。
 教師側へに見方は、休暇ではなく”授業無しの時期” を意味し、さらに勉強をする期日、関係する会議に参加すべき機会、次の学期のための準備 をするための時期という休暇とは言えない日々を指しているのです。


 歴史的に見るとドイツが工業国になる前は、多くの国民が農業に携わっていたので両親の畑仕事を手伝うために作られたのが学校休暇の始まりだということです。例えば5月ー6月には乾し草作り、次は穀物収穫、その後じゃがいも収穫と、子供を含めた全家族が農仕事をしていたわけです。
 これはドイツだけでなく、オーストリアとスイスも同じだったので、学校休暇は今もこの3国が協力して決めているということです。


 また北ヨーロッパの人たちがイタリア、フランス、ギリシャなどの南ヨーロッパに休暇のために車移動をする時の高速道路の混雑を避けるために、夏の休暇はドイツでは州ごとに日付をずらしています。
 これはその年の休暇前の5−6年前に各州が話し合って決められるということです。

 この国の学校休暇は1964年以来、1年に75日=15週間と決められています。そのうちの6週間が夏休みというわけです。
 そしてここでも教師側には上記のように6週間という長い休暇が与えられているわけではないというただし書きがついています。 これは教師以外の勤め人が「教師業は休みが多くて羨ましい」とやっかむ世情に対する弁解説明のようにも聞こえますが。

 具体的な休暇は次のようになっています。

* 秋休み。この国は新学期が秋に始まるのです。じゃがいも収穫休暇。

* クリスマス休暇。12月24日付近から新年1月6日まで。

* スキー旅行などの冬スポーツ休暇。この休暇がない学校では謝肉祭休暇など。

* イースター休暇。この春の休暇は長くて3週間。

* Pfingst ( ペンテコステ)休暇。この休みは短く、州によっては無いこともあり。

* 夏休み。6月半ばから9月の半ばまでの6−7週間。

* 「動く休暇」として、学校が決める短い休暇日。

 お気づきかと思いますが、国教のキリスト教の祭日に添った学校休暇でもあるのです。


 重要なことが最後になりましたが、「宿題は無し」です。古代ローマの feriae の真意に沿っているわけです。
 勉学から離れてリラックスし、休養するのが学校休暇なのです!

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2023年08月12日

ビュッケブルグ歳時記 302

ドイツの奨学金について


 8月5日の新聞紙上で『全日制託児所を改善するために、全州が 4 Milliarden を来年度の予算に組み入れた」と読んだ折、この国は若い世代への思いやりの深い国だと思ったことがきっかけで、Blog 300 に書いたこの国の奨学金 BAFOeG = Bundesausbildungsfoerderungsgesetz (連邦奨学金資金法による奨学金)を思い出しましたので、今回はこの制度についてお知らせしたいと思います。


* BAFOeGの目的は、社会及び経済的に学ぶことのできない階級の青年達の、学業または職業勉学終了までの時期を経済面で援助すること。

* 対象は、職業教育学校、補習高等専門学校、アカデミー、単科大学等の学生など。対象の一部としてドイツ人だけではなくヨーロッパ・ユニオンの外国人、移住者、又ドイツに15ヶ月居住した避難民なども条件に叶う者は対象となる。

* また、既婚者や子供のいる学生についての特別援助もあるようですが詳細はここでは省きます。

* 年齢制限は45歳まで。

* 援助金額は2022年から月額934ユーロ。(それまでは860ユーロ)

* 返済については次の通り。
 すでにお伝えしたとおり、受けた金額の半分を返済すると残りの半分は国からの贈り物と考えてよく負債なしとなる。授与した金額の半分を無利息で、77ヶ月間に返済した人はその後、負債なしとなる。なんらかの理由でそれが出来なかった人も20年後には負債なしとなる。

 ここで1事項、お断りしておかなくてはならないことは、ドイツにも Stupendium という言葉があるのですがこの国ではこの機構は返済無しの援助金を指し、ある政党や宗教関係(教会など)の機構が出資をするものを指していて、約1%の学生が受けているということです。


 このようにパンデミーやインフレの時期にも、この国の政府は BAFOeG の改革を行なっていることを知ると、ドイツは 次の時代の国民を思う国なのだあと感心します。
 例えば凍る冬に備えて学生に暖房費を支給するなど、小さなことでも未来の国を築く子供、生徒、学生を思う国だと認識させられるのです。「民が主」の国、ということを忘れていないのだなあと思うのです。

 そして教育ということを思うとき、知識を与える、得るだけではなく、ここでも人間の多様さを忘れずに、一人ひとりが自分に合った生き方を選べるような機構にしていることも、それを全うしようとする若い人たちを応援することも忘れていないのです。そのような政治は民主主義の政治だと思うのですが。

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2023年07月22日

ビュッケブルグ歳時記 301

『パートナーであり、競争相手であり、ライバルでもある・・・』


 この見出しで、今週の初めに新聞を賑わせたのが、ドイツの対中国戦術でした。
 
 『過去に居た800Million ( Million = 100万 ) の中国人口を貧困から救った現在の中国政府とドイツは、昨年だけで298Milliarden ( Milliarde = 10億 ) の商売をした業績があるが、これからの両国の経済航路は決して平坦ではない」と、みどりの党の外務大臣が議会で発表した、友好的だけではないドイツからの中国への戦術内容をお伝えしてみます。


* 協力精神を守る。 経済界での戦略を守るということは、ドイツの自由と民主主義、裕福国家、安全、他の国との協力などを確保できるということである。

* 今までは「人権」を守るということを忘れているような中国であったが、これからは北京でも「人権」を守ることを忘れてはならないと、強調する。

* 色々な原料についてだが、例えば現在、電気モーターや発電機に使う特別な「土」の98%を、EUは中国から輸入しているのだがこれを突然止めるということはできない。しかし突然中国を外すということではなく、中国に依存するということから来る『危険』を緩和することを我々は忘れてはならい。

* ドイツと中国の2国間の投資の防護であるが、これはインターナショナルの問題で、今まで決められた規約を守るということである。環境問題、労働問題、福祉関係事項、強制及び子どもの労働回避 etc. を守ることである。
 追加するのは、以後、危険の大きい商売をする場合はその担当会社が損得の責任を持つということで、これは中国側も同じ。

* Taiwan への関係は、Republik China と名乗っているが、ドイツ側からは拡大する。


 この日の社説でも中国問題がテーマで2つの面を持つ中国について読むことができました。
 「財力と接触」を何の咎めもなく振り撒くことで世界を混乱させる中国。だが、中国なしでは世界に進歩がないということも真実である。


 このような中国についての経済戦術がどこから生まれたのかと思った時に気が付いたのが数ヶ月前に知った、VW(フォルクス・ワーゲン車)が中国での販売に負けたという記事でした。
 その模様を大雑把に書いてみます。


 2023年までは ドイツのVW 車が1980年から中国の車売上の第一位だったのが、2023年になって中国の BYD 社製の車の販売が69%も上がって、VW もTOYOTA も売上13%下がることになったということです。

 中国では BYD、Pluy ~ in-Hybrien、Nino、Geely、Great Wall などの Elektro ~ Auto がよく売れているということです。

 このように中国でよく売れている E-Auto の中にはドイツ製の車は一社もなく、外国製では米の Tesla 製だけが一社入っているということです。


 この様なことが今回のドイツの対中國戦術の出どころかとも思ったのですが、社説の言う「中国なしでは世界に進歩がない」も本当なのかも、と思いました。そして、世界の国々が仲良くなるのは本当に難しいことなのだと思います。

aokijuku at 00:30|この記事のみを表示コメント(0)
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