【ドイツ在住ピアニスト】

2024年03月09日

ビュッケブルグ歳時記 316

武器提供について


 今、この国を沸かしているのはある種の武器をウクライナに提供するかしないかの問題です。

 ここで問題になっている武器とは、ドイツとスエーデンが作ったTarget Adaptive Unitary and Dispenser Robotic Ubiquity System 「TAURUS」(ラテン語で雄牛の意) と呼ばれる自動操縦のロケットです。空中及び地上の巡航ミサイルということです。この武器は、

* 5mの長さと1400kg の重さを持ち、1つの歯車装置と4つの航法(ナビゲイション組織)を持つ。

* 距離間隔が自由で(100km飛べる)強固で低いところにある建物、例えば兵器倉庫とか軍事相談所などを爆撃出来る。

* KEPD ー350は500Kmの所にあるものを近寄らずに攻撃することが可能なのでパイロットの安全が保証される。

* Tornado と Eurofighter と同等の力を持つ。

* 80Kg の弾頭システムなので、敵機の下を飛ぶことができる。

* 1機の値段は1 Million ユーロ。

* この武器が完成した当時、ドイツは600機を購入し、その中の150機は今でも活動可能。残りの機は整備が必要。


 この武器をウクライナの首相が欲しいと願ったのです。そしてその返事に困っているのが今のドイツなのです。

 理由は色々取り沙汰されているようですが、この武器をドイツが提供した場合は、第一の理由としてドイツが戦争に参加するというか、戦争を肯定するという立場に置かれる可能性があるということのようです。


 そしてまた、ウクライナの操縦員がこの機を操縦できない場合にドイツの兵隊がウクライナの戦場に出ることも不可能であることも理由の一つに挙げられています。

 そしてTaurusロケットの飛行及び目的地がモスクワまで届くという結果になると、戦争国がソ連対ドイツとなるわけで、提供は不可能になるなど、色々取り沙汰されている今日この頃です。

 TVの政治番組でも専門家や政治家や市民がそれぞれの意見を発表して、活発に討論及び論争しています。


 ショルツドイツ首相は「提供できないと」と明言しています!

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2024年02月24日

ビュッケブルグ歳時記 315

痩せ細って帰ってくる子供たち!


 こんな表題の、今年の1月の新聞記事が目に止まりました。よく見ると子供たちは日本の子供たちです。お正月の休みの後に、子供達が母親と共に、無料でもらえる食物店に群がっている大きな写真も目に入ります。


 内容は今の日本政府がしている社会政治についてです。内容を縮小してお知らせしてみます。

* 現在の政府のやり方、特にシングル・マザーに対して行っている政策は、救助政策イコール自力救済と言えるもので、一人で子供を育てている母親への援助は皆無に等しい。

* この政策の結果は、2023年の出生数が2022年の記録よりも少ない726000人という結果になっている。

* 2022年の日本の出生率は1.26。ドイツ1.46。

* 日本の人口は125millionen。この数では老人が多くなっている一方で子供の出生率が少なくなっているという不均衡が目立つ。

* ”私は離婚したのですが、離婚相手からの手当金は皆無” と、仕事として看護人と事務手伝いをこなして子供育てているA子さんは言っている。”どの政治家になっても同じこと。現在の政治家たちは私たちの境遇には目を止めてくれないから” と言っているのはB子さん。

* 日本は ”G〜7 国々の中ではただ一国として「両親権」が生きている国である。 この「権」とは「子供が欲しくなければ、出て行ける」という権利である。
 ということは離婚になると子供は母親が引き取るということになるという終末の権利なのである。その結果、離婚者の半分の母親は非常に貧乏困窮者になるというのも特徴として言えるのである。

* そして離婚家庭の24%の子供たちは1日の食事は2回、というのが当たり前である。

* また、休暇が明けた時に学校に来る生徒たちのうち、父親のない家で育った子供たちは体重が減って、痩せていることが多いのも明白なことである。

* 「このように ”働く男性” を中心に置く現在の日本社会を”子供たち”を中心に置く社会にするのは長い時間が必要とは思われるが、その動きの出発が今始まったと思われることに希望が持てる」と、子供たちに食事を与える食品店の責任者のT.さんが話してくれた。


 この記事では触れていませんが、近頃の日本では結婚する人が減っている。子供の数が減ってゆく、というのは今までにも耳に入ってくる事柄でした。そして民主主義の権法を変えようという前首相の意見も聞こえていました。

 平和と子供達を守る日本であってくれますように願いながらのBlog です!

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2024年02月10日

ビュッケブルグ歳時記 314

地球温暖化対策団体を巡って


 2月7日の新聞にはEUが温暖化対策として、電気自動車の増産及び販売増進、原子力発電、CO2排出制限促進を2040年までの目的とするとの記事が挙げられていました。

 そして次の日8日の新聞には、この国の対温暖化団体が今までの対策を再考して、新しい方向を示すという記事が載ったのです。
 Greta Thunberg さんの発想から、もう充分以上の年月が経った今、疑問符が多い と思われる若い世代に代表されるこの国の対策変更案です。興味深いと思われますのでお知らせしてみます。


1. ” Fridays for Future“

 この団体は上記のThunbergさんの意見に賛同して作られた団体で、若い人たちがある意味での政治活動に参加するようになった団体の呼び名です。
 そして今までさまざまな温暖化阻止の案を実施してきたのですが、残念ながらその成果は満足できるものではなかったわけです。
 その結果、今回は この国で一番大きな労働組合 ver di と行動を共にすることを発表しました。生徒たちを含めた若い人たちのデモだけでは温暖化を防ぐことが出来ないことからの案だと思われます。

 「 多くの労働者は家と勤務所を毎日行き来しているが、我が国の近距離鉄道は全部が完備して乗り心地が良いとは言えない。それを向上させることが一つの目的である。また反対側から労働者の給料や労働条件を向上促進することも、鉄道と労働者間をスムースにする仕事であるから、これも一つの大きな仕事である。3月1日は Klima(環境)ストライキ 日であるので、この機会に労働組合と働く所との関係を向上させる努力日として参加する」

 これが Fridays for Futur の変更事情です。


2 . ” Die Letzte (=last) Generation“ 団体

 この団体は車を通らせないために、高速道りの入り口に座り込んで、自分達を道路に貼り付けたりした団体です。
 この団体は2024年にヨーロッパ議会に立候補する計画を発表したということです。ただし、この希望は100人の助ける人たちと5万ユーロの援助金が集まれば可能であるとの、今の所おとぎ話のような形のようですが。


 Blog313 の右翼党反対デモと今回のBlog でお知らせしたことは、この国では政治を行っているのは政府だけではなく、多くの国民がそれぞれの形で政治に関わっているということをお知らせしたかったのです。

 この国では政治家を国会に送り込むだけではなく、国民もデモなどの、それぞれの形で政治に関わっていると思われるのです。
 これは文字通り民が主の、民主主義だと思うことからのBlogなのです。

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2024年01月27日

ビュッケブルグ歳時記 313

不穏な動きのあるドイツの2024年


 今年の予算についても、またウクライナ援助についてもなんの解決策も聞かないまま新年になったのですが、そこにまた一つの大きな難事が襲ってきているという感じのするドイツの今日この頃です。

 トラクターによる農民デモが平和に終わったとあと、先週末に特に西ドイツの大都市で老若男女10,000人による大きなデモが行われたのです。
 このデモは、昨年から主に旧東州ドイツの政治を支持するようになったAfD*という党を阻止するための、民主主義尊重のドイツの国民による大きなデモです。


 ( ”政治思想” について説明するのはとても難しくて躊躇するのですが私の知識以内で知ったことを書いてみます)

 今、この国の政治を行なっているアンペル連合党・・社会民主党+自由民主党+みどりの党・・は、左翼の政治です。この政治に反対して特に旧東独の州に、AfDという超右翼党が進出してきているのです。
 AfD=Altenativ (二者択)fuer (ための)Deutschland(ドイツ国)という ”ドイツのための選択肢党” という名の党は、2013年に右翼極端派の党として発起され、2014年にヨーロッパ選挙に、2017年に12、6%を得て連邦議会に進出した党ということです。


 ネオナチと言ってもいいほどの排外的性格を持つこの党は、既に旧東ドイツの州の30%の議席を獲得しているということです。
 このことは旧東ドイツの市民が、SPDのショルツ首相の政治に不満を抱いていることからくると言われています。

 このような現象に対しての市民の反対デモとして、ミュンヘンでは20000人、ハンブルグでは80000人が集まって氷雨の中でデモをしている様子がTVで見られました。その他の西ドイツの格州の首都でも大ががりなデモが行われたのです。
 「AfD 党はナチの党である!」と、右翼過激派の党から身をひいていたのは西の産業州の市長でした。


 そして次の場面は 寒さを避けるため、頭から襟までを大きなスカーフで包んだ歳をとった男女市民が「我々が1945年に獲得した民主政治を2度と破壊されることには強く反抗する」と、差し出されるマイクロホンに激しく反対意見を言っている風景には頭が下がる気になりました。
 ”デモクラシー” ということの大切さを意識している国民の姿に頭が下がるのです。


 このように西の市民は、この党を拒否しているのですが旧東の州では反対に、勝利を飾っているのです。
 この事実は本当にドイツの将来に心配をもたらすように思われます。

 この国の民主主義が奪われないように祈るのみです!

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2024年01月13日

ビュッケブルグ歳時記 312

新しい年になったドイツの近況


 大晦日0時きっかりに盛大に打ち上げられる爆音の大きい花火に、今年の幸運を託して新年が迎えられたドイツですが、それが止んで静寂が戻った元日は休日なので、日本で言われる寝正月というのが、この国の仕事を持つ人々の元旦風景と思えます。

 2日からはまた普通の勤務日に戻るわけですが、今年は暮れに政府から出された政策に不満を持つとの農業組合の 抗議で、「農夫抗議デモ」が盛大に行われると報道されていたのですが、その通りベルリン付近の道路はトラクターの行列で、一般交通が阻止されている報道がありました。そして1週間後の今はトラクター抗議デモは全国に広がり、アウトバーン(高速道路)やその他の行道が見渡す限りのトラクターによって通行止めになっているのです。


 ここで新聞に載っているこの国の農夫の生活状況をお伝えしてみます。

* この国の農夫は平均して1年、115000ユーロの収入があり、この額は決して少なくではなく、この10年間農夫の生活水準は満足できる額であるはずなのに、世界的にみた場合や自然保護法などを考慮すると不満が出てきて、デモの動機となっている。

* また、これだけではなく、農機具としての車にかかる税金も免除されている。同時に農業ジーゼル車にかかる税金免除も2026年まで伸ばされた、という外から見ると大きく優遇されているように見えるのであるが、”農業がなければ、スーパー・マルクトも、レストランも無くなる”ということを盾にとって、農業デモが行われる。国が出す補助金の4%は農業に行き、その上にEUからの援助も大きいのである。

* 農場閉鎖は昔は1年に100000件があったのだが、現在は32000と少なくなっている。

* そしてウクライナ戦争による穀物の値段上がりで、2023年の農場の経済は今までより45%も向上したのだ。

* 最初の揚げた115000ユーロという収入額は一つの農場の受ける額であって、その農場で働き、生きる家族数によって額面が違ってくるわけで、1週間40時間の労働で、49000ユーロの報酬、というのが平均値であろう。


 このように高速道路はもちろん、小さな町の道路さえも緑のトラクターで塞がれ、交通が阻止されたというのがこの国のお正月だったのです。
 連邦農業大臣 Cam Oezdemir (みどりの党)は、「今までのところ、農業者デモは絶対的に ”平和” で ”合法” であった」とコメントしています。


 今回のトラクター・デモには色々なことが含まれているように思われます。鉄道のデモがまだ未解決で、多くの市民が迷惑を我慢している時に農夫デモも受け入れるという(国)民の政治に対する意識は尊いことのように思われます。
 そして連合農業大臣の名前をアルファベートで書いたのは、ドイツ人ではないことを示すためです。この国では政治家も国際的なのです。

aokijuku at 00:30|この記事のみを表示コメント(0)
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