イク・リスマン

2023年01月28日

ビュッケブルグ歳時記 289

Kampf-panzer (高精度を持つ戦車)の登場


 先回のBlog ではウクライナへのSchuetzen-panzer (防護戦車)の提供についてお知らせしましたが、新年になっての戦争状態から、表題の高度性能を持つ戦車の要求が大きくなり、1月25日にショルツ首相が沈黙を破り、ドイツ製造の精度世界一と言われている Kampf-panzer ”Leopard 2PA6“ の提供に同意するとの発表がありました。
 アメリカからの30台の ”Abrams 戦車との合同提供への複雑な経過は日本にも報道されていると思われますので、このBlog では ” Leopard “ について知ったことをお知らせしてみます。


* ウクライナが ” Leopard “ を要求する理由は?
 今まではウクライナはロシヤ製の古い戦車を使用していたが、国際交付が進んでいる 最近はドイツ産の “Leopard2” を欲しがっていた。
 1月の初めにドイツ外務大臣が東ウクライナを訪問した折に、ウクライナ外務大臣は「この戦車を提供してくれないと、ウクライナの兵隊の死亡数は多くなる一方である」との苦情を訴えていた。
 このようにウクライナは西からの兵器に頼っている。


* ”Leopard” の価値が上がる理由は?
 ドイツで1978年から Kraus- Maffei Wegmann 社は戦車製造を始めた。”Leopard 2A7“ の重さは60トン、体長は10mで、2014年から納入が始まり現在までに3500の戦車が生産されている。
 世界の14の国々がこの戦車を使用している。

 この戦車の主眼精度は:・120Millimeter-Glattrohrkanone(直訳は120ミリメーターの円滑大砲)で、停止していても、走りながらでも数千メートル離れている敵を射撃できる大砲を持っていることである。
 このほかに・時速70kmと動きの速いこと・走りながら大砲を打てること・モーターはDiesel で動くという経済的なこと・数キロを後方運転ができる、etc。


* ドイツ国とLeopardとの関係
 ドイツで生産されたこの戦車を他の国に売った場合、「買った国がこの戦車を他の国に提供する場合には、生産国ドイツの許可を必要とする」との条約がある。

 今回はポーランドがドイツの許容なしにウクライナに提供すると主張していたが、ショルツ首相の声明にはこの許可も含まれているので、障害なし。


* 首相の提供宣言はあったが、実際の提供可能性は?
 答えを先に言うと「?」である。この戦車の製造には1年がかかるので、今、必要な戦車は連邦国防軍にあるものを提供することになるわけだが、その詳細をここで明らかにすることは自国の軍備状況を明かすことになるのでできないが、2025年までに320の戦車を、との計画があるので、古いものを整備して提供することになるだろうとの記事が、ある政治雑誌の中で読めるということです。  


* 法律上での問題はないのかとの問いの答えとしては、ウクライナは自衛の戦争をしているので、ドイツが武器を提供しても交戦団体とはならない、ということです。 


 このような状況が今のウクライナ戦争の現状のようですが、一般市民の私はやはり戦争を仕掛ける国が人間的感情を失わないようにと切に願うばかりです。

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2023年01月14日

ビュッケブルグ歳時記 288

新年、おめでとうございます!


 2年間、コロナで禁じられていたこの国の新年の迎え方、24時に一斉に打ち上げられる爆音の大きな花火が、今年はことのほか盛大に夜空を彩って、2023年を迎えました。

 世界中でいろいろな問題点がある今、ウクライナ戦争の解決が一番の難事だと思われますが、1週間前の土曜日7日に、フランス、アメリカに続いてドイツも戦車をウクライナに提供するとの発表がショルツ首相からなされたことは日本にも報道されていることと思います。
 今までにも手軽な武器や資金は救助していたのですが、”戦車”という重強な武器の救援は躊躇っていたドイツです。しかし2022年末に、仏、米の戦車援助が発表されて、ウクライナ戦争にある区切り期が来たという判定で、西の諸国との一致作戦でこの国も提供することになったのです。

 この計画が発表されて以来、新聞、TV などのメデイアにはこの決定に対する賛否の意見が毎日、多く掲げられています。その模様をお伝えする前に、次のことを前置きとして読んでいただきます。


 Panzer(「戦車」)という戦争武器のことは一応知ってはいたのですが、Schuetzenーpanzer(防護戦車。戦闘地域を保護する)と、Kampfーpanzer(飛んでくるミサイルなどを破壊したりする高度性能を持つ戦闘戦車)という2種類があるということは知りませんでした。
 そしてこのことが今回のウクライナ戦争終結には大きな役目を担っているということも初めて知ったことです。
 今回、アメリカとドイツが提供するのは防護戦車で、フランスは高機能を持った戦車ということです。
 ドイツは40台を提供するということです。ただ、提供後、この機械の操縦法をウクライナ兵たちは学ばなければならないということで、戦争に実際に使用されるのはその後ということです。


 重武器、”戦車”の提供についていろいろ報道されている意見の中から3つの例をあげてみます。
 
1。現在、与党のアンペル連立党の意見。
 多くの犠牲者を出しているにもかかわらず、今だに終決の気配が見えないウクライナ戦争に、重武器である戦車を提供することは、ドイツが戦争政治国と見られる可能性もあるので避けたいことではあるが、多くの犠牲者のことや、Putinの意向を考えると止むを得ない処置である。

2。ある一作家の意見は [Stop the war - Start negotiation!!] と、話し合いを奨励しているのです。
 この意見に対して、あるウクライナ女性が次のような彼女の意見を発表しています。
 「もしドイツで戦争が始まって、ドイツの大きな都市が次々に破壊されてゆく状況を考えてみてください!そうすれば、多くの犠牲を避けるための重武器が必要であることがお分かりいただけると思います!」

3。最後は、50歳後半の男性の意見です。
 「このウクライナ女性の話は僕達の青年時代の寓話です。国は戦争の準備に励んでいた時代で、高校のクラスの半分は”赤の国に生きるぐらいなら死んだ方がマシだ”
という意見でした。そのような中でブレヒトが理想であった僕は、兵役義務を退けました。そして時間が経って、犠牲者の血を見ることなく、東西は統一されました。
ここから自分はやはり”赤の国で生きることを死ぬことより選ぶと思います」


 戦車提供に対する国民の意見は、賛否半々のようです。

 Kampf-panzar(戦闘戦車)の問題が出ない前に、ウクライナ戦争が終わるることを切に願いながらのBlogです。

aokijuku at 00:30|この記事のみを表示コメント(0)

2022年12月24日

ビュッケブルグ歳時記 287

2022年の終わりに・・・

 2022年は、パンデミーも、ウクライナ戦争も終わらず、温暖化対策も具体的に良い改良例も見えないなど、世界中がなんとなく暗い方向に向かっていた(る)ような年末のように思われます。
 そんな中のドイツの出来事をお伝えしてみます。


1。 LNG ( 液体化された天然ガス)
 エネルギー問題は世界中が晒されている問題だと思いますが、特にこの国では冬になって暖房が大きな問題点となっているのです。周知のことだと思いますが今まではロシアから買っていたのですがウクライナ戦争をきっかけにこの方法が不可能になってしまったのです。ガス不足を補う様々な方法が考慮されていたのですが、12月17日の午前8時38分に最初のLNG - Terminal が動き出したのです。 

 この装置とは、液体ガスを積んで輸送し、その船内でLNG を天然ガス状態にする操作ができる船のことで、このターミナルがあれば、ガス配達ネッツ組織を持つ港に入港することで広範囲のガス供給に応じることができる形のことなのです。
 今回、W. 港で最初に動き出した『Hoegh Esperanza」号は 165000立方メートルのLNGを輸送することができ、この量は5万の家庭の1年間の使用量に値するということです。

 この装置を北海、東海に作ることで2024年には、これまでロシアから買っていた30Milliarde 立法メートルの供給に応えることができるということです。
 LNG はノルウェー、オランダ、フランス、ベルギーから購入するとあります。 

 この装置ができたことによって、プーチンがドイツを脅迫していたガス問題は解決したことになると、自国の技術者の功績と、連邦主義、チームワークに対してショルツ首相は最大の賞賛を述べています。


2。 大学生及び実業専門学校生への応援
 への暖房費として一人当たり200ユーロが給与される。
 2022年12月1日に大学及び実業専門校に学籍登記している生徒に支給される。
 ”学ぶ若い人たち” を尊重する国、に感心するのです。


3。「究極のゼネレーション」
 最近はこの呼び名で政府に対して反抗している団体のデモや、アウトバーンの入り口での座り込み、大臣との会談要望などの記事が多くなっているのです。
 この団体は2021年にドイツとオーストリアで、政府の環境保護に不満を持つ若い人たちが立ち上げたグループで、自分達こそ民主主義を守るグループであるとして、そこここで話題を投げているニュースが多くなっているのです。


 4。Reichsburger
 と呼ばれる、ドイツ連邦共和国を拒否し、またドイツ帝国に戻ることを顧望するグループが逮捕され、驚かされる場面もありました。


 このように、良い方向にも、悪い方向にも国全体が動いていることが窺える2022年だったように思われます。
 

 ブログを書くことで学んだことがいっぱいあります。
 その中で忘れないようにと思うのは民主(主義)ということで、この政治の主義は良否を問わず『民が主』ということなのだ、と気付いたことが今年の収穫のような気がします。

 応援してくださった皆さまに心からの御礼を申し上げます!!!

aokijuku at 19:59|この記事のみを表示コメント(0)

2022年12月10日

ビュッケブルグ歳時記 286

アンペル(信号機の色)連立党が持ってきたもの

 このブログでは、昨年の選挙で長く続いた保守党による政治が終わって、昨年の選挙で社会党とみどりの党が主な党首になったドイツで、来年から実施されるこの国のプロレタリア層を保護する制度、『Buergergeld(市民資金)(以後 B .-geld と記す)」をご紹介してみます。
 
 今から20年前の社会党政権の一時期に、やはりみどりの党と共に、貧困層の救済制度としてHalz IV という名の制度が作られ、今まで仕事を探す人や国家からの救援資金に頼る層の人たちを助けてきた制度があったのですが、この制度が行き着いたのは”貧困”という層に留まるだけであったとして、今季の社会党の労働と社会事業省大臣が、”貧富の層を乗り越えてお互いを信用することと、助け合うことで貧富の差を小さくしよう” との目的で、救助組織を新しく改革したのです。

 改革された事項とは:

* B.ーGeld を受けながら、その上に少しの収入を得るために他の職に就く人ちは、その収入が500−1000ユーロであれば、その30%を、追加収入として得ることが許される。

* 今まで貯蓄してきた貯金額は40000ユーロまでは財産として持つことが許される。この額は家族構成によって異なり、四人家族の場合は85000ユーロを持つことが許される。

* 反対にネガテイブな面では、適当と思われる職につかない人は、 B.-geld が10%減らされる。このような場面が2回めになると20%となり、3回までは受け入れられるが、その後は援助は受け入れられない。

* 今までの方針は1日でも早く職を与えることが目的であったが、今回の改革は求職者に合った、長く続く職場を探すことを目的とする。これは、現在、この国では  ”Fachkraeftemangel“ ( 専門家不足)に悩んでいることから、求職者が専門知識を習う学業をして専門家になる意欲を持つようにすることが、改革の目的でもある。
 これは”習う”ということを尊重して実践することを通して、市民の学習への意欲を
進めることにもなるだろう。そして成功した場合には、救助を受けていた一人の市民が、下層階級から抜けて上の階級の生活ができるようになるという結果になるのである。

* このような目的のためには Jobcenter と長期求職者の間を綿密にする必要があり、例えば、長期求職者が専門家になった場合には150ユーロが増額されるということで、学ぶことと、生活費の促進につながる.。

* 今回の改革にあるもう一つの困難は Jobcenter の仕事が大きく増えることである。原因は非常に多数のウクライナからの戦争避難民の世話が原因で、事務仕事が非常に多くなることと、約61万人に生活保護量を支払はなくてはならないことが原因である。

 これらのことが原因でこの改革には賛否意見が多くあるようですが、アンペル連立党の政治には低い市民層を思う政策が見えて、上層だけを高める保守党を野党にしたドイツの市民の意思表示には民主主義があるように思えます。


aokijuku at 15:06|この記事のみを表示コメント(0)

2022年11月26日

ビュッケブルグ歳時記 285

「Eine WM zum Weggucken - 目を逸らしたい世界選手権試合」

 これは、昨日カタールで行われたサッカー世界選手権大会で、2:1で日本に敗れたこの国のある朝刊新聞の見出しです。
 このようなドイツに反して日本では多分、強豪ドイツに勝ったと喜びに溢れていることと思います。
 ウクライナ戦争、依然として蔓延るパンデミー、エネルギー問題など暗いことの多いこの頃、今回のサッカー国際大会はもう一つ、この国に暗い陰を作った出来事のように思われます。その様子をお伝えしてみます。
 この記事にはただの試合結果だけではなく、スポーツを通して政治にまで広がるさまざまな問題がうつされているように思われるのす。

 今までは、4年毎に行われるサッカーの世界選手権大会は決まって夏(ドイツ・リーグが終わった休暇期間)に行われていて、サマータイムでもっと日の長い夏の夜を、並木道に大きく貼ったスクリーンを見ながら、テーブルと椅子を外に持ち出した喫茶店で大勢の観衆が皆で観戦して楽しんでいたのです。
 今回は開催国カタールの気候から、ドイツでは冬に入り口の11月末なので、観戦者が非常に少なかったと言うことです。多くの居酒屋も観戦者用の用意をしなかったということです。

 なぜ開催がカタール国に決まったかということが次に出てくる質問なのですが、
Fifa( Federation International de Football Association) という、スイスに本部をおくサッカー国際競技会の管理やコントロールを受け持つ機関の中心人物と、西の国から見ると不法の国カタールの政治家との、ある意味では買収 ととれる話し合いで決まったと報道されています。
 Fifaという国際機関がこのような不純な取引をすることに驚きます。

 カタールが不法の国(Unrechtsstaat) という言葉がどのようなことを示しているかは次の例でお分かりいただけると思います、大きく写されたドイツチームの十一人が皆右手で口を覆っているのです。
 例えばこの国では人権が認められていないのです。ホモホビー、ユダヤ人排斥、人種差別主義、人権侵害、婦人選挙権をも認めない国なのです。サッカー選手でも人権に関することを口に出してはいけないという意味で口を覆っているわけです。
 One-Love- ゴールキーパー上腕布(虹色に染められた布の上に、One-Love と書かれたもの。日本ではジェンダー・フリーだと思う)も使用禁止で、つけているキーパーには黄色のカードが出され、退場を命じられるという具合だったのです。
 競技者の口も行動も監視されていたわけです。

 このように今回の WM は、ファンとサッカー競技の間を大きく広げてしまい、またリーグの形も大きなところだけが威力を持ち、選手の契約金額は上がり、若いファンと地方のクラブとの関係も薄れるばかりだろうと、未来に対する見解が暗い、最悪の批判をしているのす。

 ただ最後に「この事情を救う助けは外から来なければならない。サッカーファンが少なくなることかから、スポンサーが神経質になり、これまでのように商売として利益の多い競技をさせるようになれば、それが救いとなるだろう。
 これはカタールWMがカタルシス(Katharsis = 悲劇などによる観客の心の浄化効果)となって、サッカーの未来を救うことになるかもしれない」と、記事を締めくくっています。

 このような状態がWM2022 の最初の戦いに負けてしまったサッカー王国のドイツの姿です。


aokijuku at 00:30|この記事のみを表示コメント(0)
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