2022年12月10日

ビュッケブルグ歳時記 286

アンペル(信号機の色)連立党が持ってきたもの

 このブログでは、昨年の選挙で長く続いた保守党による政治が終わって、昨年の選挙で社会党とみどりの党が主な党首になったドイツで、来年から実施されるこの国のプロレタリア層を保護する制度、『Buergergeld(市民資金)(以後 B .-geld と記す)」をご紹介してみます。
 
 今から20年前の社会党政権の一時期に、やはりみどりの党と共に、貧困層の救済制度としてHalz IV という名の制度が作られ、今まで仕事を探す人や国家からの救援資金に頼る層の人たちを助けてきた制度があったのですが、この制度が行き着いたのは”貧困”という層に留まるだけであったとして、今季の社会党の労働と社会事業省大臣が、”貧富の層を乗り越えてお互いを信用することと、助け合うことで貧富の差を小さくしよう” との目的で、救助組織を新しく改革したのです。

 改革された事項とは:

* B.ーGeld を受けながら、その上に少しの収入を得るために他の職に就く人ちは、その収入が500−1000ユーロであれば、その30%を、追加収入として得ることが許される。

* 今まで貯蓄してきた貯金額は40000ユーロまでは財産として持つことが許される。この額は家族構成によって異なり、四人家族の場合は85000ユーロを持つことが許される。

* 反対にネガテイブな面では、適当と思われる職につかない人は、 B.-geld が10%減らされる。このような場面が2回めになると20%となり、3回までは受け入れられるが、その後は援助は受け入れられない。

* 今までの方針は1日でも早く職を与えることが目的であったが、今回の改革は求職者に合った、長く続く職場を探すことを目的とする。これは、現在、この国では  ”Fachkraeftemangel“ ( 専門家不足)に悩んでいることから、求職者が専門知識を習う学業をして専門家になる意欲を持つようにすることが、改革の目的でもある。
 これは”習う”ということを尊重して実践することを通して、市民の学習への意欲を
進めることにもなるだろう。そして成功した場合には、救助を受けていた一人の市民が、下層階級から抜けて上の階級の生活ができるようになるという結果になるのである。

* このような目的のためには Jobcenter と長期求職者の間を綿密にする必要があり、例えば、長期求職者が専門家になった場合には150ユーロが増額されるということで、学ぶことと、生活費の促進につながる.。

* 今回の改革にあるもう一つの困難は Jobcenter の仕事が大きく増えることである。原因は非常に多数のウクライナからの戦争避難民の世話が原因で、事務仕事が非常に多くなることと、約61万人に生活保護量を支払はなくてはならないことが原因である。

 これらのことが原因でこの改革には賛否意見が多くあるようですが、アンペル連立党の政治には低い市民層を思う政策が見えて、上層だけを高める保守党を野党にしたドイツの市民の意思表示には民主主義があるように思えます。


aokijuku at 15:06│コメント(0)

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