2022年04月23日

ビュッケブルグ歳時記 271

キエフに戦車を供給することについて・・・反対、賛成、場合によっては?

 依然としてロシヤのウクライナ攻撃が続いている現在、重装備の戦車をウクライナに供給することについてドイツ国民は政府の意向がはっきりしないことに戸惑っています。ショルツ首相は現物ではなく援助金額を増やすことを表明しているのですが、戦車や、この国で Schwere ( 重装備の) Waffen ( 武器 )* と言われている武器 の現物供給には保留の態度を崩していないのです。欧州東側の国やその他の国が既に行っている重装備武器の供給に、はっきりした態度を表わさない政府に国中が戸惑っているのです。 

 昨日は、ウクライナの次にソ連がまた社会主義国に戻そうとする可能性が強いラトビヤ国の首都リガで、外務大臣と面会したドイツの外務大臣に寄せられた第一の質問が「ドイツの重装備供給方針の行方」だったと今朝の新聞に報道されています。
 ベヤボック独外務大臣の答えは :  1. ある種の武器、例えば戦車防御武器は既に提供済み。2. その他の武器はドイツ自国の軍隊からの提供となり、これは自国軍隊の縮小となることを意味するので不可能。3. その他の武器についてはヨーロッパの国々と順繰りに提供することになっている。
 このようにべヤボック外務大臣は、現状を正確に示し、できないことを約束するのは意味のないことであるとの意見を率直に述べています。

 これに反してショルツ首相は、ウクライナ軍隊がロシア軍と戦えるに足る軍備を整える準備を手伝うのがドイツ及び同盟国の役目であるとして、救助金を多くすると表明しているのですが、武器そのものの給与についてははっきり言及はしていないのです。(これは、武器そのものを供給することは ”戦争政党” となることになるので、それを避けて援助金給与とする、ということにするのだということを耳にしたことを書き添えておきます。)
 この首相の態度についてウクライナ大使は「ドイツ政府の態度はウクライナ国民にとって苦味と失望をもたらすもの」という苦い内容のコメント を表明しているようです。
 が、現在のドイツの軍備も充足している状態ではなく、 Nato 関係の出動とかスロバキア共和国のBattle Group参加など、また万一の場合に備えて戦車のような重装備武器を手元に置くことも忘れてはならないことであるので、100台の戦車を全部ウクライナに供給することは不可能なことである。また現状は持っている戦車の半分が活動できる状態であることも忘れてはならないという内情も発表されています。

 また現在、ウクライナは USA から砲兵、戦車、ヘリコプターを給付されているし、英国からは AntiーSchiff ( 船)ー ロケット弾 、カナダからは歩兵の持つ武器を、オランダからは戦車が給与されている。これに反してドイツから給付されたのは5000個のヘルメットだけで、防護戦車もハウビツツ戦車も隊員移動用戦車も給付されていないのが現状ということも明らかになっています。

 この様にこの国は今の所、政府の意向として武器援助ではなく給費援助を選んでいる様なのですが、国民の意見としては51%が攻撃武器の給付に賛成しているとの調査結果も発表されています。 

 ドイツが武器の援助をすると、ロシアがドイツ攻撃を始める可能性もあるから、という見解も耳に入ったことも書き添えておきます。

 Schwere Waffen* と言われる武器の種類区別もよく知らないわたしなのですが、なにしろ武器による戦争は早く辞めて、言葉による戦争になってくれることを願う毎日からのブログです。 


aokijuku at 09:13│コメント(0)

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
月別の記事一覧
最新コメント