2021年10月23日

ビュッケブルグ歳時記 259

政治の相違

 今回のこの国の総選挙の結果を見ると、政治というものが今まで見てきたものとずいぶん違うことに気を呑まれる思いがします。
 地球温暖化対策やパンデミーの後片付けなど、この国だけではなく世界中が抱えている大きな問題解決に対して、ドイツでは多くの若い年代の人たちが立ち向かっているのです。表題の ”政治の相違” は、実は ”ジェネレイションの相違” と、正さなくてならないほどの勢いで戦いを挑んでいるのです。
 メデイアで取り上げられている数名の若い議員となった人たちの意見と、18歳の初めての総選挙に臨んだ人たちの例を読んでいただくことで、この国での政治と国民の近さを知っていただければと思います。

 * J. T (27歳、 FDP ( 自由民主党)氏は、「今回の当選に夢心地がしているが、現代の若い人たちが持っているStatus quo (現状)の不安を取り除くために働きたい。具体的には、人生での仕事や社会的向上は、この国では自分の能力だけでは得るのに困難が多い。これは国が社会福祉国家であることと税制が原因であるので、僕はそこを改善することを目指している」との意欲を示しています。
 * J. M(女) (26 歳、みどりの党)さんは、「今選挙で議員となった118人の一人になった私は、まだ、大学に入学して最初の受講に出るのと同じような緊張感の中にいます。住む部屋も、事務所も、一緒に働く人たちも決まっていないのですが、地球温暖化を止めるという目標に向かって一緒に進む、という目的があり、張り切っています」
 * D. J (39歳、FDP ) 氏は、自分個人としてはジャマイカでもアンペル連立党でも、どちらでもいいが、政権確立をできるだけ早くすることに努力している。デジタル化を1日も早く完了することが最も重要なことなので、ここでまた特別会議や委員会などで時間を無駄にしないでほしい。 Start -Up-Szene はエネルギーに溢れているので、できる事だと思う」と言っています。
 * C. S ( 36 歳, みどりの党 )さんは「私の胸の中では前から黄色と緑の鐘が鳴っていたのですが、現実はその逆でこの2色の鐘は敵のようになっていたのが残念でしたが、今回の連立党で経済界と自然界の両立が可能だと思うと働き甲斐があります」
 

 次に初めての総選挙に因んだ18歳の4人の意見を挙げてみます。
 * Emil 君は「今までの大連立は、僕たちに生きるに足る価値を社会を与えてくれなかったので、FDP かみどりの党に票を入れようと思っていたが、”MrWissen (知る)2go“ などの党新聞を読んで知識を積み、考えた結果、FDP に入れた。が、今回もSPD がBoomer として主役の政権を持つことは残念だ。
 * M. さんは環境問題が政治の第一目的であると思うので、みどりの党を押した。
 * L.さんも”これからも同じように”という標語を否定するために、デモに参加したりして、新しい社会を作りたいと思ったので、みどりの党を応援をする。
 * 20歳の O. 君は「首相候補者の誰もカリスマ(神から授かった伝道上の特殊な能力)を持っていないのでFDP に入れた。 

 このように若い投票者は新しい政治、政党、を要求していることがわかります。彼らはこの国を代表する二つの政党、CDU/CSU と SPDを否定して、FDPとみどりの党を支持しているのです。そこから3党による連立政権となったわけです。

 連立政権は一つのことを決める場合に、3党の違う意見を議論を重ねて決論を出して決めなければならないことになり、一つの与党で成り立っている政権より時間も会議力も我慢力も要求され、結論に行き着くまでの困難が予想されます。このような政治的困難が受け入れられる若い人たちは、民主主義の本質である自由を身をもって経験しているのかとも少し羨ましくなります。
 若い人たちが政治に積極的に参加している状況に本当に驚かされる今年のドイツの選挙状況なのです。
 



aokijuku at 09:53│コメント(0)

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
月別の記事一覧
最新コメント