2021年06月26日

ビュッケブルグ歳時記 251

最後の一巡

 オリンピックを控えている今の日本では、サッカーのヨーロッパ大会はたいして興味の的にはならないと思いますが、サッカーが国技のこの国では仏、伊、英国などの国とともにこの大会は国中の興味をそそる大きな催しものです。特に今年はパンデミーでイヴエントが制限されていた直後の開催ですから尚更です。
 そして今回の大会はもう一つ、国民にとって他の年にない理由があるのです。今回のプログではその様子をお伝えしてみたいと思います。

 表題の「最後の一巡」の意味を説明すると、2006年から今年までの15年間をひと回りとして、その最後の年のことを意味しているのです。Angela Merkel と連邦トレーナーJoachim Loew(ブログ237で6:0で負けた対スペイン戦のことをお知らせしました。その時に書いた彼のニックネー ム ヨギを以下使わせていただきます) の二人が、それぞれこの国の政治とサッカーの先頭に立って、国民の生活の実際面と、精神面の機嫌を牛耳って(ここに当てはまる適当な言葉が思いつかないのですが・・・)きて、そして今年の秋に、ほとんど同じ時に、二人が公の舞台から引退することになったのです。
 この二人が国民に与えた功績に対する感謝の念が、この一節に多く入っているのです。

 2006年の夏にサッカー世界選手権を催したドイツで、国民は新しいメルケル首相がサッカーファンで、当時連邦トレーナーであったクリンツマンの助手であったヨギと一緒になって、ブラウスの袖をまくり上げて選手に応援を送る姿を見たことから、彼女への信頼感を大きくしたとも言われている様です。またサッカーが分度器の役目を果たして、新しい愛国心に富む自国の姿を世界に知らせる役目を果たしたとも言われている様です。このことは、当時ドイツ・テイームには二人の肌の色の濃い選手が加わっていたということに現れていると言われています。

 そして避難民洪水の時期には危機救助首相として成功したメルケル首相はドイツをEU 圏の中で確固とした地位を築いたとされています。

 この様な政治の中にあってサッカーも安定した年を持ち、2010年にはヨギの指揮のもとで Oezil(トルコ)、Boateng(ガーナ)、Khedira (チュネジア)などの外国人の選手を含むテイームで、2010年には南アフリカで行われたワールド・カップで3位という好成績を収めています。
 2014年のワールドカップにはメルケル首相は開会式に出席のためブラジルに飛び、アルゼンテインとの対戦の後に撮った選手たちとの交流写真は、ドイツのサッカーファンの首相と、連邦トレーナーヨギとのしっかりした共同性がドイツの若人たちの輝かしい未来の姿を描いているとして、名を馳せたということです。

 昨夜、9日の21時から、暫時大雨に見舞われたミュンヘン競技場で行われたハンガリーとの戦いにはとても興奮させられました。
 対フランスとの第一回戦は 1対0でフランスの勝利、二回目の対ポルトガル戦は、選手一同の動きがわたしの様な素人にも分かるほど、競争心に溢れた機敏な動きにあふれたもので、2:4でドイツの勝利。
 三回目の昨夜のハンガリー戦ではあっという間に1点を取られて、目が覚めたという様にドイツ選手の動きが敏捷になったのですが、点を入れるには時間がかかり過ぎたという感じでした。そしてまたハンガリーが得点。これでヨギの時代は終わったかと思われたのですが、終了の少し前に、ドイツの若い選手が1点を入れて、同点となり、準準準決勝の対英国戦に進めることになったのです。ヨギの引退が引き延ばされるわけです。

 この様に、あるスポーツ(家)と政治家との一巡りはある意味ではとるに足りないことかもしれませんが、国民が彼らの功績を讃える気持ちには、心が温まる感じがある様に思えます。ドイツチームが勝ち進んで、ヨギの任期が長引き、メルケル首相とほぼ同じ時に引退となることを望みつつ・・・


aokijuku at 20:43│コメント(0)

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