2021年04月24日

ビュッケブルグ歳時記 247

Eine, die aus dem Nichts kam ! ( 無から出てきた一女性!)

 接種状況や Lockdown 政策への非常ブレーキ云々に明け暮れる毎日の中で、先週末にこの国の将来を賭した選挙についての二つの重要な決定が発表されました。
 第一は CDU / CSU (キリスト教民主同盟党)の代表者 として A. Laschet (CDU) にするか M. Soeder (CSU) 氏にするかの決定で、結果は現在までNRW州総理大臣であった A. Laschet に決まりました。これで9月の選挙には彼が保守党を率いて未来の首相を目指して選挙戦に挑むわけです。
 第2にはプログ240で触れた、党としての成長を達成したみどりの党が、初めて政治施行に参加の意志を示し、男女二人 (R. Habeck と A. Baerbock 氏)の代表者のどちらを党首とするかを選考していたのですがその結果が発表されたのです。その結果が、今回のブログの標題です。

 40歳の女性です。 

 この決定には考えるべき事柄が多く含まれている様に思えますので少し詳しく内情を書いてみます。

 みどり党は77年に「環境保全」をモットーとしてH.市の地方議会に一席をとったことが発端で、80年に「原子力反対」と「平和宣言」をスローガンにかかげて連邦党と結成し、連邦議会総選挙で1.5%の成績を挙げたということです。
 84年にはS PD ( 社会民主党)と提携を決議し、85年にはヘッセン州議会でFischer 氏が環境大臣となる。90年に党も統合され同盟90/ グリーン党となったというのが党の歴史です。なお、表題はこのFischer 氏の言です。

 この党の党首として今回、大舞台に躍りでたAnnalena Baerbock 氏の履歴と政治に対する考えは次のとうりです。
 1980年にハノーバー市で生まれ、トランポリン跳びで連邦大会に参加した生徒時代の後、政治学と公法学を、ロンドンでは経済学を学んだあと、ジャーナリズムやEUでの知識も習得して、2005年に入党したということです。
 なお彼女は4歳と8歳の子供の母親で、夫の助けがあり、家庭生活と政治活動は両立するということです。

 彼女の政治に対する態度は次の様に言われています。
 戦闘的で、集結的で、意志強固で、目的とすることは決して忘れない。
 彼女の体制、紀律、実行、団結、チームワーク精神などには信用が置けるという評判です。
 そしてみどり党の政治策はまず第一に全日制託児所と学校の改善。第2には介護問題の解決。次は国のデジタル化の促進も忘れてはならないということです。
 そしてこの考えをまとめると彼女の目的は、政治的にMitte (中間)に立つということを意味しているということです。メルケル首相は右から左へ動き、みどりの党はその反対に左から右に動くということです。

 そして「変化に満ちた、豊かな、力のある我々の国に、より良い未来が来ることを信ずる時、それに対する気力に満ちた新しい政治が必要で、それができるのはみどりの党であると確信したことが、今回の私の新進の動機である。 Macht (力、支配権力)とは、それを得るために戦うことではなくて、それとともに働くことを意味し、それができるには”皆と一緒に、話し合って”ということを忘れてはならない」が、彼女の党首決定時挨拶です。

 たった一つの議会席から、44年たった今、未来の首相が生まれるかもしれない党が育ったという政治の動きを知らされると、この国では本当に国民が政治をしているという感じがするのです。”つむじ曲がりのグループ”があっても、これは民主国家の政治と言えるのではないでしょうか。


aokijuku at 00:30│コメント(0)

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