2021年02月27日

ビュッケブルグ歳時記 243

謝肉祭 ー karneval ー について

 日本で知られているのはブラジルでのきらびやかなダンスの謝肉祭だと思いますが、この地ドイツでもこのお祭りというか、庶民の生活のある一時期が、宗教、特にカトリック教派と結びついている宗教行事として結構大きな意味を持つものとなっていますので、その様子をお知らせしたいと思います。

 カーナヴァルは約5000年前にメソポタミアで祝われたのが最初で、この時は権力のある者と無権力の層との均等を目指して祝われたということです。*1
 16世紀なってこの考えが宗教に取り入れられ、教会で謝肉祭として祝われるようになったということです。
 そしてここから満たされた毎日の生活を謝肉祭期間として感謝して祝い、その反対の何かを我慢するという毎日への精神的な心構えの準備期間としての断食期間を置くという、祝いだけではない期限をも持つ訓練をするという教えとなっているのがこの国の謝肉祭だと思われます。
 ある州は休日となっていますが、ほとんどの州は休日とはなっていないのが特徴です。

 謝肉ということは文字から言うと肉食、言い換えれば美食、飽食に感謝するということで、これは11月11日の11時11分から始まるとされ、この日からカーナバルが始まります。この期間には個人だけではなく、それぞれの機構が持っているグループなどが準備のための話し合いとか、練習とか、制作とかを開始して、グループの中でのコミュニケーションなどを楽しみます。

 約3ヶ月を楽しんだ後にくるカーナバルの終わる最後は次のような順番です。 
 Weiber(女性の意)fastnacht 、木曜日の この日は女性特別日*2とされ、事務所で同僚男性のネクタイをちょん切ってよしとされるところから、男性は古いネクタイを、女性はハサミを持参という具合で、街は半分のネクタイ男性が多いという日です。労働時間もそれなりに短縮されたカーナバル時間となるようです。金曜日と週末を謳歌した後の月曜日が Rosenmontagで、ローゼンというのは薔薇の花という意味でモンターグは月曜の意ですが、濁った読み方で、この日がカーナバルの最高日です。この日は政治その他のニュースを揶揄した行事としての行列行進が街を練り歩く日で、中心都市のケルンでは大勢の市民が仮装をして一日中街の中を闊歩するという日です。*3  火曜日は名残り日で、Aschermittwoch と呼ばれる、灰の水曜日が快楽の全てがおしまいとなる最後の日で、ここから改悛と懺悔の日となり、謝肉祭のお祭り騒ぎが終わるのです。

 宗教上はこの日からイースター復活祭までの7週間が Passionszeit 四旬節と呼ばれる断食(精進)期間となり、4月初めのイースターまでの間、個人の意志で食事や嗜好物やアルコールなどに節制を置くという教えになっているのです。
 子供たちもこの期間はあまりチョコレートももらえないの、と言う子供が多いのです。*4


 今年の謝肉祭は丁度、コロナのLockdown 中の、先週の15日がRosenmontagで、政治揶揄行列は行われなかったのですが、カーナヴァルをこうしてみただけで、趣旨とする所は考えさせられることが多いように思います。


*1が既に市民の平等を考えたとすると、大昔に既に民主主義の芽生があったのかとびっくりしますし、
*2の女性の地位平等権も同じです。
*3も政治家とか企業家などを市民が揶揄して意見することができる社会とは差別のない社会で、自由に個人意見を持ち、それを公言できるのは理想とすべき社会といってよいのでは。 
*4も、市民の健康維持を示唆している良い政治なのではと思うのですが、このように生活と教訓が密接していると当事者の市民の実感は随分薄れてくるのではないかという感じもあります。

 というわけで、今のドイツは4月初めの復活祭まで、コロナのLockdown と節制期間を静に過ごしている(はずな)のです。

aokijuku at 10:47│コメント(0)

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
月別の記事一覧
最新コメント