2021年02月13日

ビュッケブルグ歳時記 242

オリムピック形成会長 森氏の発言について

 数日前の委員会での森会長の女性に対する批判的発言については、日本国内だけではなく外国からも広範囲に渡って批判の声が大きくなっているようです。
 ドイツの様子をお伝えしてみます。

 民主国家として台頭しているこの国でも女性の社会的認知が少なすぎるとして、昨年の11月に法務大臣 L.(女性)の主張により、特に政界と実業界での位置付け改正が あらためて始められました。この改正には、日本ではほとんど聞いたことのない „Quote(クオーテ) 制“ (英語ではクオータ制。以後Quote 制とします)を実施して改正されようとしているのが現状なのです。

 この Quote 制 という言葉は、これまでこの国でもあまり聞いたことがないので戸惑ったのですが、昔からの社会の習性、男性は職業を持ち外で働き、女性は家庭形成をするという習慣に、民主主義の男女平等権利をもたらせ、男女平等の実施を図る役目を課す、という意味だということを今回知りました。社会は進展を続けていてこの風習にも進展が要求されているのだと思います。
 「全ての人間は法の前では平等に同じ権利を持つ。男性と女性は同等である。国家は男女市民に同等の平等権を奨励し、不平等があればそれの除去に励む」と謳われている男女平等制への実施の方法がQuote 制 と言っていいと思います。この言葉は将来、産業国の推進のためにも多く使われる言葉だと思われます。

 この国の現在の連邦政府内閣は16名ですが、その内訳は男性9名、女性7名とほとんど平等の比率です。
 この男女平等改革は政治界だけではなく、行政界、実業界でも同じことで、株が上場されている大企業のオーバー・エタージェに女性を雇うことが企業の発展にもよい結果をもたらすとして、義務化されることも間近のように思えます。
 この女性平等参加案は長い間、連邦議会で実施案が議論されていたそうですが、大企業の上位部に30%の女性を置くようにとの奨励が出たのは2015年だそうです。
 現在、一番進んでいるのがノルウエイで実業界での40%の女性参加は2006年からの歴史があるということです。 

 資料が少し古いのですが、2017年の日本の新聞紙上では「男女格差の大きさを国別に順位付けした”経済フォーラム”の報告書では、日本は144カ国中114位と前年より三つ順位を下げた。主要7カ国(G7)では今年も最下位だった」とあります。そして同じ年に、候補者数を出来る限り男女均等にするようにとの法案に合意があったが、国会混乱や衆院解散で廃案になったとの記事を読みました。がっかりしました。が最後に、この記事について付け加えておきたいことを見つけましたのでここに書いておきます。
 「慶應大の小林教授(政治学)が125カ国について調べたところ女性議員比率が高い国ほど、民主主義の度合いやGDPに占める教育費の割合が高く、軍事費の割合が低い傾向がみられた」という箇所です。
 この軍事費が少ないということは平和につながると思うので大切なことだと思えるのです。

 Quoten 女性という言葉には、まだ女性同等が不完全であるという批判的ニュアンスがあるとは思いますが、今回の森会長の発言を読むと、スポーツ界だけではなく、日本全体の考え方が男女平等制について未開発だとする疑問を持たれることになりとても残念だと思っているところに、次のようなニュースも目に止まりました。
 「130年の歴史をもつ任天堂に昨年、女性社外取締役が誕生した。この女性の仕事は顧客に変わって投資先企業に課題の改善を働きかけるなどである」とあります。
 そして、今日11日には森会長の辞任が決まったという情報を読みました。

 この二つのニュースで日本国に被されようとした不快な雲が取り払われるようにと、切に願っています。




aokijuku at 10:03│コメント(0)

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