2021年01月09日

ビュッケブルグ歳時記 240

Das Superwahljahr (スーパー選挙の年 )2021年 !

 ワクチンの接種が始まり、徹底した Lockdown が1月の終わりまで続くということで今世界中に蔓延っているパンデミーも人間が征伐できるという段階になり、ドイツでは前年のコロナ被害から抜け出す方法が勢いを得て詮索されています。ちょうど今年、2021年が、連邦制度のこの国では数多くの選挙が行われるということもこの兆候を煽っているのかもしれません。

 パンデミーの後始末や、これからの政治方向を決定する選挙として非常に重要視されている6つの州議会、2つの地方選挙、そして16年間のアンゲラ・メルケル首相の引退となる11月の連邦議会の選挙について簡単にお伝えしてみます。

 まず1月半ばにCDU (キリスト教民主同盟党)の党首の選挙が行われます。三人の立候補者があり、ここでの当選者は11月の首相立候補者の一人となり得る。
 3月には2州の選挙があり、ここでの注目はみどりの党が野党から与党へとの飛躍を望んでいることで、女性の党首立候補者は若い東独出身者。男性党首も若い政治家。このみどりの党の野心を見ると、ドイツの政治の若さに感心します。
 対コロナ政策で民主主義が云々されることになっている現在ですが、議員に女性の多いこと、年齢の若いこと、出身地方を問わないことなど、平等という点でも民主主義に近いことが目につき、この国の政治は本当に民がしているという感じがあるのです。 

 そして11月の連邦議会の選挙となり、上記の通りメルケル首相の引退となるのです。2020年の大晦日の市民に対する首相のTV新年挨拶でも引退を述べていましたが、彼女の引退を惜しむ市民が多いだろうとの情報が多く耳に入ります。
 2005年11月に東独出身の若い女性が、ドイツ初めての女性首相として、世界でも上位の工業国家の首相としての地位につき、ドイツが ヒットラーの時代を後にしてNeutrum(中性的国家)であることを世界に知らしめた首相であることを称賛する市民が多いのです。  
 そして次には恐慌救済マネージャーとして、経済、EU恐慌、ギリシャ問題を解決してきたのです。
 次に彼女を襲ったのは避難民の救援事業で、彼女の政策に反対も多かったということですが、彼女の態度がある時は保守的であり、ある時は社会的であり、ある時はリベラルであることから、キリスト教的人間像が浮き彫りにされて、国内だけではなく世界の国々からの、時間をかけての同意を得られたと解されているのが今だと言ってよいと思います。
 これで終わりではなく次にはSara-CV-2が来たわけですが、この病害についての彼女の態度も、信用のおける、期待のもてる、真面目なもので、その中には皮肉な影や効力を欲しがる意図が皆無だったことで国民の信用を得たのです。

 ここで一つ、知ったことをお知らせしたいと思います。
 連邦議会の選挙を終わっても、与党の連合(Koalition)などが成立しない場合の過渡期が発生した場合には、基本法の69条の3条に、「新政権が確立するまでは、選挙前の首相と議員は新政権確立まで、それまでと同じように仕事を続けなければならない。ただし首相の権利は持てない」との条項が記されているそうです。
 新首相が絶対的票数を獲得できないことになればメルケル首相が在籍することはできるのではないかと、わたしのような素人は思うのですが、よく考えてみると首相の権限なしでは無意味であるわけです。でもこれほど彼女の引退は惜しまれているのです。

 このように、コロナ感染者が大幅に減っているわけでもないにもかかわらず、新年、未来への抱負を大切にしているドイツです。


 あけた今年が日独両国にとってことさら良い年になることを願いつつ・・・ 

aokijuku at 10:58│コメント(0)

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